警備員の『雑踏警備業務検定一級試験』(※国家資格)を受けてきたので覚書【2021/05/06から2021/05/07の2日間】
2021年5月7日の雑踏警備業務検定1級試験を受けてきましたので覚書です。
同業、後続の皆様御笑読ください。
【注意。警備員の試験を受けたことのない人にはわからない話題多し】
【無事合格しました】
【筆者はどのような人間か】
当日まで文言(決められた言葉を言えばいいだけ)を覚えられない。模擬問で合格点が出せない(※五択20問で90点以上)。
車椅子のフットレスト(足をひっかける場所)を引き出さずに時間切れになる(※これでも元自転車業界関係者)。
巻き結び(ポール同士や電柱などを連結する。クラブヒッチ)が遅すぎる。
業務管理書類が読めない、読んでも内容が理解できない。
文字が覚えられない。『迂回』の二点しんにょうを忘れ真ん中に余計な点をふたつ振る。『通行止め』を『通行禁止』と書く、『お願いします。』をひらがなで書きマルをつけるのを忘れる。矢印を描く絵心のセンスがない。
空手経験者なのに警備員の使う護身術の動きが全く覚えられない。
群衆密度の動線変化の指示が言えない。
追加連絡が理解できない。
全体としてどんくさい。時間通りできないといつも通りヤバかったがいつも通り当日は言えるできてしまう筆者なのでいつものパターンともいえる。
【学科は問題なく所要時間60分のところ20分で退出】
今回の捻った問題は「主催者側アルバイトやボランティアの担当する(※長文になるので省略)警備区域『以外』も警備計画策定時に意見する」かな。過去問の応用だけど問題作り直した奴はなかなか頑張った。褒めてあげたい。(※爆死した方々はご愁傷様です)
本当は全問正解かつ問題の間違い指摘して最初に退出を狙ったが今回は上手くいかなかった。
かくも筆者は当日に『だけは』強い。隙さえあれば待機時間中に気を付け姿勢で寝ていたりする。
【試験を受けるにあたってのひみつ兵器】
iPhoneとiPadでボイスメモとってAppleMusicに追加し無限リピート再生で文言や実技を覚えるのは前々からやっていたが、これを学科で間違えたり詳細を覚えていない部位にも適用した。丸暗記というつまらない作業が『覚えたら削除、よくわからない事はさらに追加』していく創造的作業になりさらにリピート再生時間も減っていくので濃密になる。
三日しか聞いていないが充分すぎる戦果を発揮。
どうせ問題集200問中、100問わからなかったとしても1時間もあれば一通り読める。一日声が枯れるが仕方ない。
此の際、実技の文言をボイスメモしておいて間違えた文言の横で正しい文言を資料に『接続詞にの次へ』とか『只今からは最初だけ』とか書いていくとともにボイスメモを二つ使って自己ツッコミも収録していく。
世の中には耳がかぶれるからと耳のついたマスクを使う方がいらっしゃる。農家の皆様が使う『ヤケーヌ』シリーズは口元を開くことが出来るので警備員にとっては笛を使う上で便利だ。見た目は完全に不審人物だが。
後続で試験を受ける読者様クライアントさんから『なんか変なマスクつけて業務中に音楽聞いている警備員いるのですけど』とお勤め先にクレームが入らないことを祈ろう。
【前々から使っていた技】
実技の資料を大阪府警備業協会は試験対策として作成してくれるのでこれを縮小コピーして小さなメモ帳(※ツイストノートという超小型ルーズリーフ)にテープのりで貼り付け、仕事で普段使うメモ帳を見るときついでに復習できるようにした。
こうすると家に帰った時しか練習できないということはなくなる。家事中でも電車の中でも『あの文言やあの実技どうするのだったっけ』とすぐ再確認できるし、実技講習時にデカい資料を見ていて他人の失敗や成功に学ぶ機会を逸せずに済む。
……これを会社の同僚に渡すと『真面目そうに見えて仕事中筆者さんなにやっとるのですか』と云われもなき非難(?!)を受けた。
(※筆者の上司は『筆者君はデパート勤務中に元請け会社の人の目の前で腕に書いた文言を読んでいた』と今でもネタにしているため、前科はある)
【試験全般においてないと困る資質】
想像力。
例えば『合格している自分』とか『女の子にモテモテな俺』を想像する能力はいらないけど(※タダの妄想)、『頭の中でロープを操作したら絡まったロープがどのような挙動を描くか』などを想像できたり、夢の中にて教場の中を再現して練習したり、実技訓練はあくまで実際の現場を想定しているので本来はこの規制の外はこのような状況であるとかを考えることができないとまったくもって練習時間が足りない。
マルチタスク。
子供のころピアノを習っていると楽譜は忘れていてもフットペダル動かしてメトロノームで時間管理して両手を別々に動かしてスコア(楽譜)もめくるといったマルチタスクが身に付くため、姉曰く『主婦にとって最も大事』らしい。
筆者は不真面目なので業務中にこのような悪事(実技と今配備されている現場の脳内シミュレーション)を同時に行っている。これが思想の自由か。(※業務中はよそ事を考えないようにしましょう)
早起き。
人間、目が覚めた瞬間から『やる気ゲージ』がガンガン減るものである。
なので、本当にやりたいことを成すなら起きた瞬間にやるしかない。
そうしないと漫画を読んだりネットゲームをしたりケータイを弄りだす。
例えば毎朝走りたい人は学校のジャージを着て寝て、起きると同時にメイクもせず髪を整えず帽子をかぶりマスクだけして走りに行くことをお勧めする。その後に身だしなみを整えればいい。
そもそも早起きできないと電車内で椅子に座れたら寝る。そうでないならケータイ弄るの勉強できない黄金パターンが成立してしまう。
『人間が本当に成したいことは本当にやりたくない事』
声を大にして言っておきたい。
【本を読む能力。あるいは日々の習慣。もしくは仕事に対する態度】
この手の試験に人々は何故受からないのかを我が上司に問うたところ『毎日教本読めばいいじゃん』『100回くらい読んだら受かるよ?』との返答が返ってきた。
……そもそも、教本どころか本、いや新聞、さらに『小説家になろう』(※本記事は『小説家になろう』さんにも掲載しています)を毎日読む人間自体が人間社会全般で云えばレアさんであると云わざるを得ないのだが。その上毎日特定業種の教本を毎日読む人間など何人いるやら。
わが上司は『実技? 一回読んで一通り練習したら覚えた』なので比較にならないように感じるだろうが、本を読むに限らずどちらかといえば生活習慣に起因する能力である。
例えば、『広辞苑』を毎日一通りパラ見して知らない語彙をメモし紹介されている作品を読んでみようとする人とそうでない人では圧倒的に一回本を読んだ時に得る情報量および読むまでの速さも違う。速読とかいうインチキ本を読むよりはるかに有意義だ。
映画のモデルにもなった『ビリギャル』こと小林氏はそもそも勉強を始める上で必要な語彙力が存在していなかったらしく、慶応義塾大学合格までの僅かな期間で辞書一冊をボロボロになるまで読み込んで克服したらしい。
継続した事自体がまじすごいし辞書一冊覚えたらその時点で大抵の人より物知りである。そりゃ大学ぐらい受かる。
また漫画『ワンパンマン』の主人公サイタマ氏は『腕立て伏せ100回上体起こし100回スクワット100回そしてランニング10kmこれを毎日やる!!!あと!一日三食キチンと食べること!朝はバナナでもいい!以上!!』と述べている。
実行した某ユーチューバーは激やせを達成した。それ以上に彼女の内助の功が凄くてほっこりした。
かくも日常はあなた自身を作るのである。
警備員は禁固刑以上をもらうと事実上廃業するので人生やりなおしには意外といいかもしれない。現場によるが結構早く帰れるし仕事の都合で電車に乗りまくっているから勉強時間もたくさんある。
このように雑踏警備試験に限らないが、基本動作や業務上に必要な法律知識を普段の業務で意識し勉強しているならいちいち勉強しなくてもだいたい元からわかっている。
実は筆者が当日一番焦ったのは『アレ? 気を付けとか右向け右とか回れ右とかちゃんとできたっけ』である。
以下、試験の感想。
【規制変更時の広報要領】
左右に迂回路がある幅6メートルの道路の先で事故が発生したため、手持ちの資機材であるロープとカラーコーンで道路を封鎖し、ホワイトボードに通行禁止の旨を書いて左右迂回を求める実技。
講師陣も『ふつうにやったら講師でも制限時間4分ギリギリ』と云うので普通に最難関だが文言のみに限れば難しさは二級の方が量質共に上である。
本試験の面倒くささはロープワークとホワイトボードに集約される。
文言を覚えないとシャレにならないのは当然だが地味に気を付け回れ右右向け右左向け左などの基本動作やキビキビ動くことも重要である。
というか、みんな揃って二級の復習を今すぐやっておけ!
一番難しいのもあってか練習が終わったら即本番というように本試験日程も組まれている。そのため試験時は皆4分以内に終わるのが一般的らしい。
本試験でネックのひとつである『まき結び』は頭の中で縄の挙動が想像できる人種にはさておき、そうでない人には圧倒的に練習量で問題が出る。
空想でロープが結べても実際のロープはからむし捻じれる。
試験前に受験者は自分で一番都合のよいロープの巻き方をするように言われる。
この時適当に右巻きにしたり左巻きにしたり変えずに右巻きなら右巻き左巻きなら左巻きとし、両端の処理もしっかりしておくべきだ。
筆者はとりあえずホームセンターに行き、トラロープ10メートルを360円で購入して家中の長物に巻き結びして練習した。
トラロープは本試験で使う布ロープよりはるかに絡むので逆に縄使いの練習には良い。
巻き結びだが本試験においては結び目を来場者側に向けていないといけないのでこれもとにかく面倒である。
筆者は脳内シミュレーションができるほどに練習した結果どっかのロマンシングな伝説じゃないが右手で左上から右方向にロープを一周すると共に左手をひねって輪を瞬時に二つ作り、真ん中で寄るように結ぶ手法を編み出し、実技試験三日前にできるようになった。
最初の結び目でしか使えないがかなりの短縮になる。
この後は『左手にロープを持って手をひねってカラーコーンに通す』を二回やるだけでまき結びになる。
縄の挙動の本質を理解しないとどうしてできないのかがわからない案件だ。
この『本質を見出す力』が真の想像力だと筆者は愚考している。
さらに縄は可能な限りピンとしていないといけないのでこの時カラーコーンを倒すと減点であり受講生たちが苦慮している箇所である。余談だが大阪会場だとタイル6枚で三メートルである。それ以外の会場では『ほぼ』開始位置とホワイトボード前を基準としてほしい。
試験当日の当日講習でたまたまこのカラーコーンにうまく結べない受講者とそうでない受講者を見くらべていて気づいた。
『カラーコーンなど資機材を粗末に扱うのは業務上倫理として良くないが、倒れないように足で軽く踏んで支える程度なら講師も何も言わないし減点対象にもなっていない』
……当日の事前講習でもできなかったのに余裕で合格した。
これは全員に教えるべきだろう……。
ホワイトボードに文言を書くのは当日の受講者たちが最初の文は縦掌ひとつ幅、次の赤文字は縦掌二つ幅とやっていたのと、どうしても前の書きのこしが残ることを発見したためこちらも余裕をもって誤字脱字に注意して挑めた。
なお、このホワイトボードに文言を書く課題は誤字脱字漢字を書いていない句読点をうっていない盤面80パーセント以上使用していない以外にはあまり考査されないらしい。
実際の試験で用いられるホワイトボードは想像以上にデカい。
縦比率2:4:1:3で黒、赤、黒、赤とマーカーで書くコツは様々なサイズのホワイトボードに何度も書くことである。
特に左右の矢印を描く時が面倒だが、まず真ん中に縦線二本、横線かいて矢印の要となる斜め線を余った上部分と矢印の真ん中、真ん中からホワイトボードの最下部まで豪快に書くことを講師はお勧めしている。
筆者は前述の通り実技試験の縮小コピーを取り、かつキャン★ドゥ(※100円ショップ)で「ホワイトボードメモ」を購入し、同僚にあげた。
メモ帳サイズのホワイトボードでありマーカーつきである。
これを使えば家事の合間にホワイトボードの練習ができる。
まがりなりにもポケットに入るし。
余談だが鉛筆で文字を書けるメンディングテープはホワイトボードマーカーで文字を書いて消すことが出来る。
キャン★ドゥで販売されているホワイトボード用の消しゴムはうっかり油性ペンやフリクションボールペンでホワイトボードに書いてしまっても消すことができる。
さらに100円で買えるスタンプが多数あり日付スタンプも含まれる。
つまり、普段の業務、不意の大雑踏を予期した時も使える。
コンクリート打ちの交通警備時にも使えるはずだ。
色々と使えるので購入されていない方は御一考ください。試験を受ける皆様にはマジでお勧めです。
本試験に限らず、実試験本番まで『絶対に受からない』という心理状況だった筆者だが、『こんなに練習でミスしているならあらゆるミスと違うパターンをやったら歴史に残る大失敗か大成功だ』『終わったらもう忘れていいんだ! ウンコしたいのにコレウマイから食え食えと云われている状況から抜けるのと同じだ! ヒャッハー!』という心理状況になったのも大きい。
このノリなので実技試験が一つ終わるごとにテンションが上がる。
文言を云ったり実技試験をやっているとめっちゃ楽しい。
コロナ対策必要なのにハキハキ大声で文言云っちゃっている。
自分や周りの動きや声を聴いている自分がいる。
ついでに云えば試験前の待機時間は白目をむいてグースカ寝ている。寝ている中で実技のトレーニングをやり、外の音を聞いて修正点を出している。これが楽しい。……筆者だけではないことを祈る。
【徒手による護身術(応用)】
食事前の軽い運動……?!
いや、普通に試験時間は短いので待機時間に寝ていたりしたが、何が難しいって例えば空手の『しゅとううち』を『てがたな』というように、あるいは耳側から空手は手刀を放つが、雑踏警備一級は胸構えから相手の霞(※こめかみ)をうつ、打つ前にしっかり頭を向けるのが必要なことであり、筆者が知っている空手との差異を埋めるのに時間がかかる。
小手返しという逆技は警戒棒(※警棒のこと)でも使うと知らなかった筆者である。
差異をさっさと克服できるなら練習はすまい。
これも水月(※みぞおち)や右霞(※こめかみ)を打たずに頭を殴るなど『想像力』を欠くと間違えやすい。
何を成すのかの本質をわからないと試験とかはなかなかうまくいかないのだ。
閑話休題、この試験だが終わったら『やめ』まで正面の構えで待つなども重要だ。
肘あては首を動かして目をつけてから、胸がまえから肘を下向きに回転してひねりあげる際に右手を外旋。手刀も前構えの時点から手刀を作り、首を動かして目付してから。ひざあては左足でステップ、小手返しは相手の小指側に親指を当てない(人差し指の根元)など経験者ゆえに面倒なことが多い。
試験では結果的に相手役を何度も務めた。
空手経験者なので相手にむちゃくちゃしないだろうから指名されたのだろうと云いたいが、握る手を間違えたのは内緒である。
相手役には配点が無いので失点せず良かった良かった。
余談だけど待機時間が長すぎて腰を痛めた受験者がいたようだが、あの方どうなったのかしら。
【業務管理】
クライアントと折衝した警備計画書と、それを基に作る警備指令書のどれかを作る試験。近年は警備計画書を作るほうが多いが講師陣にも当日までどちらかわからない。
本試験は一般的な虫食い問題であり、『小説家になろう』を読む程度には文章になれている諸兄なら簡単! と云いたいのだが、最初のときはマジで30分ギリギリで問題を埋めた。
冗談抜きでどこに何が書いているのか順不同でわからない。
これは教本に業務管理の項目があり、フォーマットとなる書類形式は教本と同じであり、さらに言えば筆者上司が受けた十年前とあまり変わらないので過去の先輩方が受けた書類を見て間違えたポイントをチェックしておくことをお勧めする。
誰だ間違えたところを消しゴムで消している奴は?! 後輩の為に残せ! 筆者の事である。
よく間違えるのは【】やダブルクオーテーション“”を書かない。数字の点と小数点の違いを書かない、あるいは書かない。など『書かれている通りに書いていない』がある。
また『過度に滞留』『分断規制』『基本動線を守る』『管理規定』『緊急車両等』といった特定の言葉、警備計画書に記載されていない内容を教本を通して覚えていない。
あるいは逆に警備計画書に『分断する』と書いているのに『分断規制』と書いてしまうなどがある。
もしくは『橋梁の収容限界は(階段部分を考慮し)、20メートルの階段二つ、橋本体で合計80メートル、幅4メートルで320平方メートル。一平方メートルあたり二人までならひとつの橋につきそれぞれ360人が収容限界』などを『(橋二つ)合わせて』などの引っかけ問が出る。
もしくは『来場者は85パーセントが電車で入場する』というパーセント計算。
『約6000人』の『約』がない、もしくは虫食い問に『約』が書いているのに『約』を書くなどの間違いを犯す。警備員総数に本部警備員を別枠として記入し、残りの場内警備員を書いて総数を求めるなどがあげられる。
今回の試験においては『5万人』と『50,000人』と数字の表記が統一されていない。
細かいパーセント問題が出る。
橋梁部分における限界密度と通常部分における限界密度が異なる。
ステージ部分に配備される警備員数など細かな差異があった。
繰り返すが、本試験における警備指令書や計画書のフォーマットに慣れておかないとまったくもって時間が足りないことになる。
警備計画書や指令書って法律でフォーマットが決まっているわけではないのでわからない人には……例えるならば毎回の決算時に自称投資家な株主に送付される決算書よりわからない問題である。
【折りたたみ車椅子による負傷者の搬送要領】
事前講習でフットレストに負傷者の足を乗せないというミスを犯した筆者であるが、全体的に簡単とされる実技である。
段差から受傷者役を落として受傷事故をリアルに起こさなければの話だが……。
文言については日本語センスが問われる。
「坂は『くだる』けど『おり』ない。『あがる』けど『登らない』」
「段差は『おりる』けど『くだら』ない」
「車輪は『あげる』『おろす』けど『のぼらない』『下げない』」など。
あと『下り坂ですので向きを変えます』(※この後向きを変えてから)『坂を下ります』を、『坂を下りますので向きを変えます』と云う受講者が続出した。
くだるとおりるは文字は同じだが採点が変わる(※はず)ので覚えておいてほしい。
車椅子の向きを変えるときは右足を車椅子の下ど真ん中に置いて身体ごと動かせば脱輪を防げるのだが、筆者含めてあわや脱輪事故を起こす人が続出した。
教本ではないが、マジで車椅子搬送時は事前告知大事である。段差から降りるときとか登る時とか普通に怖いぞ。
【群衆密度の変化に応じた動線切り替え】
会場に向かう動線(道路)が人いっぱいなので迂回路を通ってもらうべく、警備隊本部として規制を指示したり負傷者を搬送したりする試験である。
想定文を二分間に読み込めるかが問題だが、想定文の内容は基本あまり変わらない。フォーマットを暗記しておくことが重要である。
なんせ前述したが警備計画書の類のフォーマットは各社で違うので、教本のフォーマットを覚えておかないと時間通りの間で把握できないのである!
この辺、ビリギャルで云えば『辞書程度の常識を覚えていないと慶応に受からない』のと同じである。
試験に使われる文章のフォーマットを覚える為には過去に先輩方が受けた時に受け取った資料や教本の警備計画書等を読み込むことをお勧めする。
今期試験では主動線の迂回路が教本資料と異なっていた、事件が起きるポイントが変わった。負傷者が急病人になり性別も変わったなどが起きた。
マジで文言を覚える、想定文のフォーマット内容を把握することが必要だ。
「ポイントx、ポイントx(xは変数)、こちらは警備隊本部『どうぞ』」
「迂回動線への切り替えの件、『了解』」
「ポイントx、y、z、α、ポイントx、y、z、α、『こちらは警備隊本部』『直ちに迂回動線への切り替えを開始せよ』『どうぞ』」
「『以上』、こちらは警備隊本部」
「ポイントx、ポイントx、こちらは警備隊本部『どうぞ』」
「ポイントx付近で負傷者(※もしくは急病人等)発生、救急車の要請と遊撃隊の応援の件『了解』、なお、負傷者(※もしくは急病人)の状況を報告せよ『どうぞ』」
「(※復唱)負傷者は●歳くらいの(※性別)●名、○○して○○した。(※意識の有無)(※出血などの状態)『了解』負傷者を安全な場所に搬送し、救護にあたれ、どうぞ」
「『至急、至急』遊撃隊、遊撃隊、こちらは警備隊本部」
「遊撃隊のうち二名は救急車が通行する広報、もう二名は進路の確保にあたれ、『どうぞ』」(※状況把握書類内容による)
「『以上』、こちらは警備隊本部」
「ポイントx、ポイントx、こちらは警備隊本部、どうぞ」
「負傷者(※急病人)は救急車にて搬送完了の件、了解」
本試験では無線の基本(※無線はボタンを押している人が一方的に発報するため、ボタン押しっぱなしだと他の人の指示が聴こえない。そのため映画『復活の日』では発報の返事がもらえず拳銃自殺する少年が登場する)を普段の業務で押さえているか、『了解』の有無、『どうぞ』で発言権を与える、『以上』で会話を打ち切るなどを覚えているかが要である。
なお、上記カッコごとの必要項目は無線連絡における常識以外は順不同ではあるが、採点対象になっているし『どうぞ』をいつまでも言わないとお互い気まずい沈黙を味わう羽目になるのは普段の業務と変わらない。
【警備隊本部への追加連絡要領】
個人的には『おい! 二級の警備隊本部への連絡要領の続きという話はどうなった! お前救急車呼べよ! こんなろう!』が今期の修正点であった。
教官たち曰く、『毎回情報が流出して各社対策を取るので映像を作っても作っても実質テキスト問題になる』ということだが今回はかなり問題を出す側も頑張ったのだろう。すなわち受験者には厳しいということである。
具体的に述べると二級の映像問題では雑踏の中で靴を踏まれた男性が転倒し三名が倒れて男性は右ひざを負傷し、救急車による搬送を求めるというのが主なストーリーになるのだが、今回は橋梁の上でスマホとか花火とか見ていて四人の男女が順不同に足を滑らせ全員打ち身や軽い打撲を訴えるものの警備員は軽い症状と判断していまだ救急車を呼んでいない状況から始まる。
本試験では二級の映像問題をまずメモしてから、別紙メモ内の修正事項(※一分以内に記入しないとならない)から追加連絡を行う。
ぶっちゃけ最初の警備隊本部とのやりとり(※警備隊本部は『ポイントx、ポイントx、こちらは警備隊本部、感度不良のため有線電話に切り替えて再度連絡せよ、どうぞ』と「はい、警備隊本部」としか言わないし、こちらも『至急至急、警備隊本部。こちらはポイントx』と『有線電話に切り替えて連絡する件、了解、以上、こちらはポイントx』)を覚えているだけで4割の採点が終わるらしい。
有線電話に切り替えて有線連絡(※お祭り会場では携帯基地がパンクし、時として無線すらうまく動かないため有線電話が有用である)する際、警備隊本部は『はい、警備隊本部です』と『了解』しか言わない。
そのため、訂正事項(負傷から骨折、今回は『救急車の要請』が追加!)、さらなる掌握事項(車のカギを無くした。今回は『黒のバックを女性がなくした』)、状況変化(野次馬が滞留してきたので群衆整理と捜索の応援要員を求む)と、何処のポイントで雑踏警備業務をやっているどの会社の誰かを云えるかが重要である。
いや、マジで今回、捻り問題多すぎだろう……。
【むしろ試験よりこれからの業務の方が大変】
この時世である。参列者は『友達だから』『付き添いだから』と列に後から入ってこないでほしい。密対策が無駄になる(※あえて激しい言葉。業務上では使えない)。
1000人列とかマジで警備したくない(※あくまでも個人的感想でありインターネットや文章や外に吐露しない限り内面の自由)。
変性ウィルスが蔓延する昨今、どっかのネズミの国のファストチケットではないが特別なアプリなど可能ならば使わず、誰でも理解できる形で列を大きくしない、周囲に迷惑をかけない方法が必要である。
今までみたく整理券配ったら、後から来た整理券番号の若い人を前から来ている人の間に割り込ませる都合でめっちゃ密になるし、整理券棄てる人の所為でご近所に迷惑がかかったりする。
【今日日パチンコ屋さんのほうが密対策しっかりしている】
列をそもそも作らず、毎朝の抽選制でサイト側によって座れるようにしていたりする。それなのにいまだ休業要請食らうのだ。
それにも関わらず数年前の偏見が残っており、店を閉めているのにPCR検査の列が勝手に敷地に入ってきたりする。
何処とは言わぬがブチキレ案件であろう。
あとどこのパチンコ屋さん前とは言わないが、ウンコを店の前にばらまくな。誰が掃除すると思っている。
市の職員さんお疲れ様です。
【雑踏警備業務における長列に対しての一つの対案】
安全面からいって列は増やしたくないが、感染者が増えれば増えるほどPCR検査前の列は爆増する。
新型コロナウィルスで雑踏警備が減った現在、雑踏警備員が直面する事案は新型コロナウィルス関連が最多と言えるだろう。そうでなくても影響を免れることはないと愚考する。
ひとつの対案としては一定数列に人が並んだら、ホワイトボードに混雑が緩和されると予測される時間もしくは現在時間から1時間ほど経過した時間を書く。
スマートフォンでその時間を撮影してもらい、その時間以降に最後尾に並んでいただく(※一時間後列に並ぶのと一時間列に並ぶのでは高齢者や妊婦やお子さんへの負担が段違い!)
ホワイトボードに書いた時間は10分ごとに更新しその前に『今から並ぶ方は写真をご用意ください』『最後尾に並ぶ予定の方で写真を撮っていないかたはいらっしゃいますか』と広報する方法である。
スマートフォンを持っていない人はコロナウイルスの所為でもはや絶滅種なのだが、そういう方が仮に現れたとしても名前を伺ったうえで指定時間をメモするだけでいいはずである。
まぁ、PCR検査自体がQRコードによって後日検査結果が出る仕組みなのだが。(※つまりありえない)
例えば『トモダチだから』と後から並ぼうとする方が出たとき、『代表者が写真を撮っていますか』と問える。
指定時間前に列に参加する方だと『もう少し経ってから改めて写真を見せてくださいませ。近辺の皆様より不安の声をいただいていますので恐れ入りますが周辺に滞留しないようにお願いします。近辺の観光名所としましては○○がありましてこの先〇メートルです』などと返答できる。
写真をまだとっていない方には『申し訳ございませんがこのまま並ばれても数時間待ちですので一度受付を終了し、このホワイトボードに書かれた時間を撮影していただいた上で記入時間以降にいらっしゃった方を順次最後尾にご案内しています』と案内する。
(※『11時』と書かれた人が並んだあとから、しばらくして『10時半』と書かれた人がいらっしゃったとしても『あくまで周囲に滞留せず一度席を外していただいた上で、指定時間後に写真を確認した順番から最後尾に参加する権利』に過ぎないので優先権はないものとする。いつまでたっても我々が帰れないので)
【総括】
総括に移っていきたい。
筆者にとって本試験を取ってよかったことは業務管理の勉強を通して警備計画書の有無の重要性や、密対策の知識が増えた事、それを通してクライアントに群衆密集時の歩行速度の都合(※1平方メートルあたり4人密集するとどうせ秒間10センチしか動けない)から『並ばせるより散開させて空いた時間に来ることが出来る』システムを構築できるように提案できる機会が増えたことだといえる。
ぶっちゃけ筆者はもう試験におちていても仕事の上で困らない。
(※会社は困るかもしれないが)
筆者がやってみた感想としては『勉強期間はしんどい、やっているうちは解放されるのが楽しい』だが、今後この試験を受ける皆様はマジで先輩の支援、本人の粉骨砕身の努力、ご家族や職場の理解が必要であるということである。
特に主婦がこの試験を受ける場合、家事は待ったなしなので勉強時間の確保が難しい。
新型コロナウィルスの蔓延、そして本試験の受験を通して筆者は『女性が働く社会』についての愚考を深めた。その結論はいまだ出ていないが、警備員の1級試験の価値をご家族は正しく理解し、支援してほしいと愚考するのみである。
ただ、徒手の小手返しを練習すべく子供にかけようとする親は除く。この場合お子さんに技をかけてもらう側に回るべきだ。かける側ならば子供は超絶喜んでやってくれる。
最後に、上司が10年前に受けた際に貰った資料集に書かれていた言葉をこれから試験を受ける皆様へ贈りたい。
『頑張れ。汗を流して努力し、合格の喜びを勝ち取れ。』
皆様のご多幸と健勝を心からお祈り申し上げます。
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