『虐殺器官』があるのなら、「お前の家でやれ」って意見は必ず出るはず。
この記事は『虐殺器官』の #ネタバレ を含みます
例え話をします。他所の家でトラブルを起こすことで、家庭の平和を保っている家が近所にあったら、どう近所付き合いしますか? 関わらない選択肢が取れないほど、影響力の大きな存在だとしたら。引っ越したいですよね。近隣トラブルなら引っ越せるけど、国家間の問題は引っ越しでは解決出来ません。
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2000年代に活躍し夭折した伊藤計劃という作家がいました。冒頭で語った問題を、SF的なアイデアで料理しています。
『虐殺器官』。特殊な文法を抑えることで、その言語を用いる者の脳内の「虐殺器官」へ働きかけることで、扇動し暴徒化させることが出来る、学習可能な虐殺の文法を追いかける特殊部隊の物語として、開幕します。
大きな破壊が起きることを防ぐために、アメリカ以外のどこかで「虐殺」を起こし続けるという思想に対して、「虐殺の文法」を学習した主人公は母国アメリカで英語圏に向けて「虐殺の文法」で語りかけ、大破壊を招き寄せます。これ、核兵器をアメリカ国内で爆発させるより恐ろしい結果になります。
ーー虐殺が必要なら、自国で行え。
著者はそう指摘する代わりに、物語でやってのけました。『ハーモニー』という続編もあり、そちらは大破壊の後の物語。セットで味わって欲しい。
『Genocidal Organ』英語訳 - 2012年8月、アメリカ合衆国・ビズメディアの日本SF翻訳レーベルHaikasoruより刊行。(Wikipediaより)
英語版が、ばっちりAmazon.comで取り扱われていて、レビューも寄せられています。著者の想いは英語圏の読者にも届いたのでしょうか?
2021年の8月も間もなく終わります。夏休みの作文を書くなら、今からでも間に合うので、国産SFを試しに読んでみませんか?
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