忘れたくなかった


あのライブの時のMCの内容とか、
卒業式の長い校長先生の話とか、
生まれた時の母の表情とか、

忘れたくないのに忘れていることやものが多い。

友人Sの家とわたしの家の距離はざっと45km。
会いたいけど電車で互いの家を行くとなると1時間半は余裕でかかる。2時間はかからないけれど。
会いたい、というか安否確認というか。

似たような境遇で、似たような価値観を持っているようなわたしたちは仲良くなるのは必然で。と言いたいだけで実はそうでもなかった。
天才な彼女の価値観や言葉、仕草に合わせたくて必死に背伸びしていた、というのが正しい。
ただ彼女をひとりにしたくなかったのだ。

まあそんな友人Sと久しぶりに会うか、と話していた時にお互いのちょうど半分の地点で会おうとなった。
それがとある駅で。そのとある駅周辺には何かおしゃれなカフェとかがあったはずなのだが、
結局マックに行くことにした。


17時、夜マックが始まる時間に。
おっけ。


ちなみにわたしはあの時初めて夜マックを食べた。
ダブルになるやつ。ちゃんと感動した。
結局マックにわざわざ集まって、片道500円かけて、わたしたち何を話していたんだっけか。
多分いつもの通りくだらない話だった。
そんで愚痴って、あー、それは諦めるしかないよねー、
って開き直るというか、解決方法を探すのも億劫で大抵こう着地する。

でもあの時食べた夜マックの味をなんだか忘れたくなかった気がした。
美味しかったっていう事実ではなくて、
彼女と食べた日常のような思い出を忘れたくないのかもしれない。

忘れたいことは沢山あるのに、なぜあの時の味は忘れてしまうのだろう。

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