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アスファルトの冷たさ

換気のために窓を開ける。

布団にくるまって眠る準備をする。

新聞配達のバイクの音が遠くで聞こえる。

室外機のカラカラとした音が響く。

人の気配がない静寂の街。午前4時。

布団にくるまっているにも関わらず、冷気が体を刺すようだ。

静寂な夜の街は、幼い記憶を蘇らせる。

親の暴力から逃れるために裸足で街を駆け巡った。

アスファルトで削れた足の皮。

じんじんするけど足から夜の冷気が伝ってくる。

23の歳になっても思う。

どうして私と向き合ってくれなかったの

どうして私を恐怖と暴力で支配しようとしたの

どうして私の話を聞いてくれないの

あなたは自分を受け入れたくれる人を作るために子供を産んだの

親の過去を清算する為に作られた子供なんだろうなって今だから言葉にできる。

幼い頃から薄々気が付いていたけれど、言葉にする方法を知らなかった。

私を見てよ

私の声を聴いてよ

私の存在を受け入れてよ

って願う私の姿は他人からは歪に移る。

生まれた時から歪。

普通になれたことは一度もない。

普通を求められるけど普通って何

どうすれば受け入れてもらえるの

幼少期に抱えた歪さは何層も何層もコンクリートで固めて隠すしか無いのだろう。

周りとの差がどんどん広がって、

どうして私はこんなところに生まれたのだろう

生きているのだろう

って漠然とした劣等感に襲われる。

今でも人生は理不尽だと思う。

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