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〜想う人が居る。 だから僕は作り続ける〜


「なぜあんかけスパなの?」
よく聞かれます。

もっと売れるものや流行っているものにしたほうがいいのか?
答えはNoです。

現実、日本全国で知られているかと言えば全然そうではありません。
愛知万博の際、名前が少しずつ知れ渡ったことが始まりです。

なぜあんかけなのか。
恥ずかしいのですがちょっと僕の話をしても良いですか?


〜第1章〜『あんかけとの出会い』


僕はあんかけと子供の頃に出会ってました。
父の作るあんかけをずっと食べていたからです。

だからあんかけの存在って日常に居ることが当たり前なんです。
でもひとつ不思議なのは、父が作るあんかけには毎日多くの人が集まってました。

その表情はいつも楽しく笑ってました。

僕はそれが大好きでした。
でもなぜなんだろうっていつも不思議でした。

「なんであんなにも表情が楽しそうなんだろ?魔法でもあるのかな」って。


〜第2章〜『ぼくのみち』


父が作るあんかけの魔法の正体は掴めず、
ずっとあんかけを食べていた僕ですが、
すぐに料理の道を志した訳ではないんです。

実はぼく美容師だったんです。

そのキッカケはとても単純です。
”太ってた自分でもカッコよくなりたい!願望でした。

そんなある日、初めて美容院(いつもは床屋さんでした)に行って
今まで経験したことないヘアスタイルにしてもらいました。

そして次の日、、、
「志智くんよくなったね!」
女子からのこの一言が今でもすごい嬉しかったんですね。


こんな僕でもヘアスタイルで少し自信も持てたし何よりも人生変われたんだって!
そんな職業って素敵だなぁって。
そこから勉強して、憧れの横浜で美容師になったんです。


〜第3章〜『ターニングポイント』


器用ではなない僕でも必死で練習してスタイリストとして
充実した毎日を過ごしていた24歳に頃、父から連絡がありました。

母が体調を崩してしまったのです。

僕はすぐに実家に戻りました。
幸い、命に別条はなく話もできました。
でも現実を目の当たりにしたときに安堵と一緒に僕の中でフっとあることに気付きました。

「親孝行したいな」

でも何が親孝行になるんだろう?
仕送り?なにか買ってあげること?
色々考えた挙句、僕の中で出たのは”一緒に居よう”でした。

時間は有限だって思ったのかもしれませんね。
それは大切なひとと過ごす時間も同じ。
だから2度と帰らない”時間”を大切にしていこうと思い、
大変お世話になった美容院を辞めました。



〜第4章〜『魔法の答え』


美容師を辞めた僕に何ができるんだろう?
模索していた時に久しぶりに父のあんかけを食べた時、ある気持ちが芽生えました。

「この味、無くしたくないなぁ」

父の魔法のあんかけが無くなるとちょっと寂しいって童心の様に思えたんでしょうね。
この味を食べると小さいときの記憶が蘇るんです。
(よく音楽を聴くとその時の思い出がフラッシュバックするみたいな感じです)

でもその時に思ったんです。
あんかけを食べに来たお客さんに父はよく話しかけていたことを。
いつ来ても気さくに話している姿をよく見かけたんです。

もしかして魔法の正体は「想い出」だったのかなって。

僕もみんなの想い出に残るような”何か”を作ってみたい!
それが大好きな父のあんかけであれば尚更だって!

美味しいものを食べた時、ひとは必ず笑顔になれます。
それはなぜか?
作る人が、来てくれた方を”想って”感謝の気持ちで作らせてもらっているからだと思います。

「来てくれてありがとうございます」
何百杯、何千杯作ろうとこの”想い”が欠けたあんかけを出したことは今までに一度もありません。


”人を想う、それは想いたい方々がいるから”
これが僕の原点であり、変わらぬ”想い”です。

『想うひとがいる。だから僕は作り続けます』
そんなあんかけをどうぞ一杯召し上がって頂ければこれほど幸せなことはありません。


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