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秋雨前線恋時雨
今日もあの子に会うか期待している自分がいる。
初夏の頃は必ず朝の大きな交差点で必ず鉢合わせになった。
白いブラウスが似合っていた。
信号待ちのときは少し彼女を長く見えるのが嬉しく、その日はなんだか輝かしく思えたほどであった。
それが、本格的な夏になって、ハタリと彼女を見かけなくなった。
夏休みに入ったんだろとか、もしかして新婚旅行で長期休暇かなど、とりとめない妄想を繰り返していた。
でもあまりにも会わなくなると、その妄想すらしなくなっていた。
秋口になり、少し肌寒くなったある日。
いつもより早めに家を出た私は、あの交差点で大あくびをしながら、信号待ちしている彼女を見つけた。白地のブラウスが相変わらず似合ってる。
私は心の中で安堵していた。
でも今日はあいにくの曇り空。
午後から雨の予報。彼女が雨に濡れてしまうことを、心配している自分がいる。
きっとステキな人だから、傘を貸してくれる人はいるだろう。もしかしたら、それから恋愛に発展するのだろうか。
悶々としてきた気持ちをしながら、横断歩道を歩き始めた。
相変わらず彼女は私に気づかず、ちょうど道の真ん中ですれ違う。
今日も彼女とすれ違い。
今日の日記の出だしは決まった。
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