たこ焼き屋のおばちゃんの悩み

「お客さん分散して来てくれないかしら」
ある日のたこ焼き屋のおばちゃんのボヤキである。

なんとなくたこ焼きが食べたくなった私は近所のたこ焼き屋へ向かった。
そのお店はおばちゃんが一人でやってて、17時くらいから店を開ける。
あまり早い時間に開けても客が来ないのだろう。
小腹が空いてくるけど夕ご飯にはちょっと早い、そんな時間を狙ってるのかなと思う。

お店に着いて注文しようとすると
「いまから焼くから5分ほどかかっちゃうけど」と言われ、
それじゃあ近場の本屋でも覗いてからまた来るねと言って、12個くださいとだけ伝えてその場を離れる。

5分後戻ってくると、ちょうど別のお客に提供してるとこだった。
そこへ寄ってくと頼んでおいた12個を取ると鉄板は空。
4,50個焼き始めてたように見えたがこの5分でなくなったのか!

私のたこ焼きを箱に詰めてる間も客が二人ほど来て
「今から焼くので10分くらいかかっちゃうけど」とおばちゃん。

こりゃ大忙しだ。
大変ですねと声をかけると
「今日はやけに集中するわね、いつもたくさん焼いてると全然来ないんだけど」
なんて冗談交じりに。
そして冒頭の「お客さん分散してきてくれないかしら」につながる。


これって飲食あるあるだなぁって思って。
(飲食以外もあるかもだけど)

私は学生時代、吉野家でアルバイトしてて、同じ曜日同じ時間帯でも閑散として暇なときもあれば、やけに客がきて目が回るくらい忙しいときもある。
もうちっとなだらかに来てくれたら楽できるんだけど、なんて思いながら仕事してたの思い出した。

最近だと例えば、マクドナルドはモバイルオーダーというスマホアプリから注文ができるシステムがある。
食べたいもの選んでカートに入れていき、決済手段など選択して最後に注文ボタンを押すんだけど、「注文ボタンは店の前に来てから押してください」とある。
これは店内で受け取り待ちをしてるときによく見かける、番号呼んでも受け取り客が現れないケース、それを防ぐためだとおもわれる。
ただ、いざ馬鹿正直に店の前まで行ってから押すとだいぶ待たされるんだよね。
だから経験上、何分前に押せば店に着くころ受け取れそうっていう時間を測って押すことになる。
このモバイルオーダーとウーバーイーツなどの配達サービスが盛況なことで、お店で直に注文すると異様に待たされることになる。
(店で待ってる人数以上に待ちが発生している)


たこ焼き屋も吉野家もマックも根本のところとしては、客側が店の混雑を事前に知りようがないってのがあると思う。

時間帯とかある程度予測できるものもあるけど、なんの理由もなく集中して混雑することがあるし、それは店に着くまで(あるいは注文するまで)わからない。
そして店に着いたらちょっと混んでるからといって別の店にしようって人も少ないんじゃないかな。
だから事前に混雑具合が知れれば、客側で考慮してある程度自然に分散されるんじゃないか。

先に上げた3つの中だとモバイルオーダーがそれは直ぐにできそう。
注文ボタンのとこで、混雑具合だとか予測提供時間みたいなのが表示されてればどのタイミングで注文しようとかコントロールできる。
店に向かう時間も測れるので、店内が混雑することもなくなるだろう。


問題は店側としては正直に混雑具合を知らせるのは機会損失になると感じてしまうところだろう。
たしかに客を待たせることは減るだろうが、一方で混んでいるなら今日は別の店にしようって客が一定数出ることが予想されるので。
そうなるくらいなら、店まで来てから混雑を知って、でもせっかく来たし少しくらいならって待たせたほうが良いと。
個々の店の最適解はどうしてもそうなってしまうかもしれない。
(店員や客は混雑を緩和したいと思っていても、店のオーナーは売上を最大化したいと考える。店員や客に負担がかかったとしてもだ!)

この辺は第三者的な存在がうまく情報を閲覧できるシステムをつくるのが良い気がする。
立ち位置としては食べログなどのような存在だろうか。
インセンティブが思いつかないけどね……。
個々の店の混雑を緩和したとしてどこからもお金取れないだろうし。
広告掲載くらいかしら。
更に実現方法も難しい。リアルタイムに混雑状況をどうやって把握する?
店の評判以上に難しい気がするね。

あれば便利なのは間違いないけど方法までは思いつかぬ。
そんなわけで今日もおばちゃんは混雑と戦うのだろうか。


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