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国の財源はなんですか?

1.税は財源ではない

いきなりお金の話でなんですが、税金って国の財源だと思いますか?

世の中には「財源だ」「財源じゃない」、どちらの意見もありますが、管理通貨制が採用されている現在、私は「税は財源ではない」と思っています。

そんなこと考えたこともないかも知れませんが、そもそもの始まりを考えると、どうしてもそういう結論にならざるを得ないのです。

たとえば国が成立して、政府が手始めに道路でも整備しようと予算を組もうと思ったら、当然「財源はどうする?」という話になります。

そこで「じゃあ、みんなから税金を集めよう」となるかといったら、なりません。

なぜなら成立したばかりの国の国民は誰一人お金を持っていないからです。

お金を使うためには、まず誰かがお金を作らなければなりませんが、それは誰かと言ったら、もちろん政府でしょう。

ですから順序としては、まずは政府が通貨を発行して、国民に支出することになるのです。

2.お金が回り出す

まず政府は「誰かみんなのために道路を作ってください」と国民にお願いをします。それに対して「いいよ」と言ってくれた人に、その工事のお礼としてお金を作って渡します。

そのお金は、そこからさらに砂利を運んでくれる人や、スコップを作ってくれる人や、送迎してくれる人や、警備してくれる人や、ご飯を作ってくれる人など、いろんな働く人たちへと渡っていくことになります。

そうやってお金は国民の手に渡って、次から次へとどんどん流れて回っていって、ゆくゆくは国民全体の手に渡っていくことになります。

そうしてお金がくまなく流れていくことで、いろんな人の働きが過不足なくつながっていき、それによって国の経済というものが文字通り血が通ったように一つの大きな有機体となってゆくのです。

そうやって国の経済という営み全体が良い感じに回り始めるところまできて、そこでようやく政府はそのお金を回収することができるようになります。

だって最初に配る前にお金を回収することはできないし、支出した後もなるべく速やかに回収しようとしたら、それはみんなの手に渡る前にまたお金が消えてしまうことになってしまって、経済の流れを中途半端に止めてしまうことにしかならないからです。

もちろん上手く流れずにお金が溜まってしまう箇所があれば、「ちゃんと流して~」と声を掛けたり、あるいは場合によっては回収する必要も出てくるかも知れませんが、でもまずは全体に行き渡らせることが大事でしょう。

ですから、お金がみんなにまんべんなく行き渡ってスムーズに回り始めるまでは、政府はお金を出し続けることになるのです。

3.活きたお金

お金を「働き」という点から考えると、政府によって作られた後に、できる限り多くの人の手から手へとパスされて、できる限り多くの人の働きをつなげていって、できる限り大回りして政府の元に帰ってくるというのが、一番良い働きをしたお金だと言えるでしょう。

お金は、ただお金であるだけでは何の価値もありません。お金は流れて、人から人へとパスされていって、初めてその働きを為すのです。

1000人の手を渡った1万円札は、1000万円の仕事をつないだことになります。それこそ働いているお金で、活きたお金だと言えるでしょう。

お金に流れを与えて、活きた価値あるものに変えるためには、私たちはそれを誰かにパスしなければならないのです。

でもさらに言うなら、パスして回すだけでもいけません。

お金だけを見ていればそれで良いかも知れませんが、私たちはお金で生きているわけではないので、たとえパスが回ったとしても、それを受け取って働く人がいなければ、やはり空虚なお金に過ぎないのです。

4.空虚なお金

たとえば億万長者ばかり100人住んでいる島があって、そこでひたすら土地とか株券とか仮想通貨とか、そんなものがドンドン売り買いされて、価格がガンガン上がって、お金がバンバン膨れ上がっていったら、果たしてその島は豊かになったと言えるでしょうか?

どんなにお金がグルグル回って、その額が増えたとしても、その島で働いてくれる人がいなければ、やはりそのお金にたいした価値はありません。

なぜなら働く人がいないということは、その島では何も生み出されていないということなので、お金で買えるものと言ったら、結局いまある既存のものでしかないからです。

そこで行なわれていることは、「お金」と「いまあるもの」を「ハイどーぞ」「ハイどーぞ」と言いながら交換し続けているに過ぎません。お金の数字だけは増えていきますけど。

島に住む100人にとって本当に必要な物は、100億円でも100兆円でもなく、100個のおにぎりや100着の衣服で、それは誰かが働いて作るしかないのです。

お金はいっぱいあるのだから外から買ってくれば良いじゃないかと思うかも知れませんが、いったい誰がその島のお金を受け取ってくれるのでしょう? 私にはその島のお金はゲームセンターのコインと何ら変わりないものだとしか思えません。

結局、その島の億万長者の人たちが何か価値あるものを提供してくれない限り、その人たちの持っている100億円も100兆円も、よその人にとってはまるで「こども銀行券」なのです。

お金に価値を与えているのは、あくまで「働く人たち」なのです。

5.財源は働く人たち

さて、ここで最初のテーマに戻ります。
「税は財源ではない」というお話。

最初に政府は税金を集めることなく、いきなりお金を発行しました。だから税は財源ではありませんでした。

となると、やっぱりどうしても疑問に思います。
「いきなり発行したそのお金の財源は? そのお金の担保は何なの?」

うん。そうですね。
でももうさっき答えは出ていました。

お金に価値を与えるのは何でしょう?
そう、働く人たちです。

政府を信頼して、その発行するお金を受け取って働いてくれる人たち。それが政府の発行するお金の価値を支えているのです。

ある意味、その働く人たちこそが国の財源だと言えるのかも知れません。

現実のお金の流れは、国債だとか日本銀行だとか日銀当座預金だとか、さらにもっともっといろんなことが絡んできて、経済学者も頭が混乱するほど複雑になってきて喧々諤々やっていますが、でも原則は何ら変わりません。

働く人たちを大事にすることが、政府のやるべきことです。

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