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日立物流:BtoB向け物流企業のDX

こんにちは、からKINGです。
BtoB向けなのであまり知られていないかもしれませんが、物流業界第5位の規模を誇り、売上高は7000億円を超えています。

2020年と2021年はコロナの影響もあり若干売上高の減少はありましたが、ここ10年、ほぼ一貫して売上・経常利益とも右肩上がりを続けています。

■DX推進について
面白いのは、日立物流ソフトウェアというシステム会社を抱えていることです。
自社の情報システム開発を行うだけでなく、そこで培ったノウハウを外販して、さらに外部からのノウハウを取込んだり、連携する企業間での情報連携を行うことで、よりサービスレベルを強化しているところです。

例:リアルタイムで船便の状況を知る。
  =海外工場から船便、港、陸運、倉庫など 荷物のステータスを把握し、到着予定・遅延情報を提供する。
例:在庫管理・棚ロケーション管理・作業工程などの管理系システムと、
  自動倉庫、自動仕分けなどの設備システムを連携する。
例:KPIが一目で分かるダッシュボードで、現場の状況を見える化、改善箇所の特定や要員コントロール。

顧客へより良いサービスの提供・同業の倉庫/物流会社向けの業務改善・物流業界同士の情報連携などなど、サプライチェーン全体の最適化を目指してグループで取り組んでいます。

日立物流ソフトウェアだけでも取引先600社、従業員600名を超える規模で展開しているとのことです。

業界2位の日本通運はNECと提携してDXを推進しているのとは対照的な方法論だと思いますが、目指すゴールは同じです。
物流業界の構造的な非効率と人材不足をDXによって解決することと、効率を高めることはSDGsにもつながります。

物流業界の効率性の低さは深刻だ。国土交通省によると、トラックの積載効率は16年度に40%を切った。これは荷台の4割分しか荷物が載っていないことを意味する。荷物を引き継ぐ際に前工程を担当する運送業者の到着が遅れ、物流拠点での「荷待ち」が2時間に上ることも珍しくない。

さらに「24年問題」と呼ばれる人手不足がのしかかる。24年4月にドライバーの時間外労働の上限が月平均80時間になり、配送網を維持するのが難しくなる。各社は人材確保とともに、デジタル化を急いでいる。

2022年2月2日 日本経済新聞より

■海外への事業展開について
ちなみに日立物流はSGホールディングス(旧佐川急便)と資本・業務提携し、国内小口配送の強みとBtoB・海外展開の加速を目指しましたが、
コロナ禍によるEC需要が高まり、国内配送の強化にシフトしているSGホールディングスと、海外BtoB事業の強化を狙う日立物流との間でシナジー効果が薄れたと判断して、資本提携は弱まっています。

日立物流としては、海外事業展開の強化に向けて北米に大型物流センターを開設予定とのことで、滋賀県と兵庫県にオープンする物流センターとあわせて、積極的な投資を継続しているようです。


■成長戦略について
埼玉県春日部市に国内EC事業者向けの「SMART ウェアハウス」という倉庫のサブスクリプションサービスを提供しています(ZOZO倉庫みたいな)が戦略の主軸は引き続きBtoBの大口物流だと思われます。

コンサルティングやシステム提供を通じて、生産・物流サプライチェーンのプラットフォームを提供し、「業界全体の様々な課題の解決」に向けて取り組み、顧客サービス強化・効率化とSDGsへの対応など、日本の物流業界の底上げが日立物流をユニークなポジションにしていると思います。


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