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本気でクイックドラフト研究録〜サンダー・ジャンクションの無法者〜

初手でピックしたいカードはありますか?
私はある。
誰もがピックしたい単一のトップオブトップレア、ではないのだが。筆者は初手ピックしたい、とある傾向がある。
(MTGアリーナ、クイックドラフトが好きな)筆者は、あんまり勝率の良くない『ダブルシンボル』レアをピックしたい。

こういうのでいいんだよ

「サンダー・ジャンクションの無法者」クイックドラフト環境において、どう筆者はその性癖を形作ったのか。当記事は、その研究過程の記録である。

1.環境俯瞰

「サンダー・ジャンクションの無法者」リミテッド環境のおさらいである。
緑の肉質が環境定義。

肉質良く、到達もあり、除去耐性まで持つ

3マナ3/3や4マナ4/4サイズがごろごろおり、2マナ2/2を主軸に据えたアグロではすぐに足を止められてしまう。サイズが優れているので、赤い火力呪文も向かい風。必然、肉質の良い中堅クリーチャーのぶつかり合いとなる。
対抗するのが白・黒のサイズを問わない完全除去。

安定感抜群

緑>白≒黒>赤≧青
色強度を主観でまとめると上記表となる。
上位3色と比較して、かわいそうなのが下位2色だ。劣るクリーチャーサイズと火力呪文がデカブツ相手に割りを食う赤。同じくクリーチャーサイズに加えて、計画・2ndキャスト・自ターンに呪文を唱えない(沈黙)という構造が弱いアーキタイプを割り振られてしまった青。かわいそうな色たちである。
クイックドラフトにおいても、この色強度はそう変わらない様子だ。

2.比較検証と仮説

プレミアドラフトとクイックドラフトの差分を比較し、二つポイントを抜粋しておく。参照データは17Lands.comの勝率。
・全体勝率が高い
→登録者の基本勝率は50%より高い≒登録者は強い。しかし、プレミアドラフトで他環境と比較すれば低かった。要は強いプレイヤーが勝ちづらい、腕の影響が少ないレアゲー環境。
しかし、クイックドラフトになると全体勝率が上がる。腕の出やすい環境になる。レアをbot様が優先してピックするので、レア総数が減ってレアゲー度合いが緩和される。
・2色デッキの勝率が高い
全体勝率が高いので、どの色の組み合わせでも勝率はある程度高い。その中でも際立つのが2色デッキの勝率の高さだ。2色タッチ1色デッキや3色デッキなど、色を増やした組み合わせよりも2色デッキの勝率上昇度が高い。
bot様がレアを流さない≒使用されるレア総数が少ない。タッチの旨味が薄く、色をまとめたデッキに優位性がある。

これらの前提から、一つの仮説を立てた。
ダブルシンボルのレアは貢献度が高いのではないか?
レアゲー環境なのは間違いない。基本的にレアはどれも強い。

どこからどうみても強い

やはりリミテッドはレアリティ。ダブルシンボルのレアは特に強い。タッチ色の勝率がそんなに伸びないということは、シングルシンボルに比べてダブルシンボルのレアが強いという事だ。色事故リスクを下げて運用するべき。

もちろんシングルシンボルにも、
ぶっ飛んでるのいるけどね

なお、誤解のないよう説明しておくが、ジャスパーはシングルシンボル+シングルシンボルでシングルシンボルである‥?
ボニーはダブルシンボル+シングルシンボルでダブルシンボルである‥?
そろそろゲシュタルト崩壊してきた。シングルとかダブルという概念が歪んでいるが、そういうものだと受け取って頂きたい。同色のシンボル数のみをカウントしている。

3.対抗戦略

さて、ダブルシンボルのレアが強く、相手は2色のデッキが多そうだ。という予想を立てた。クイックドラフトにおけるメタゲームの話である。
では、それに対抗して筆者はどんな戦略を立てたか。
それが冒頭の、勝率の低いダブルシンボルのレアをピックする。という結論である。
少し補足するならば、タッチダブルシンボルを厭わない。

ちゃんと強かった

2-1や3-1でメインカラーに据えていなくとも、勇気を持ってピックする。その為の土壌を整えておく。ここで他者と差別化を図りたい。
少し話は変わるが、緑以外のコモンクリーチャーは弱い。赤と青は特に顕著だ。

緑に踏み潰される

コモンクリーチャーは特化したアーキタイプに役割が持てる程度で、あくまで穴埋めである。色が合う、という理由で1パック目にピックはしない方針とした。アーキタイプはコモンから固めるのではなく、アンコモンから手を付けたい。代わりに点数を上げたのは色の合わない砂漠だ。

色が合わなくてもおかまいなし

レアを捲った際に、1枚でも砂漠があるかどうかで雲泥の差だ。ドチャ多色戦略に向け、遠慮なくピックしておく。
それはそれとして、緑は必ず狙う。

それはそう

砂漠やアーティファクトで多色は供給できるとはいえ、本領はやはり緑。是非狙いたい。

前回の研究録で、筆者は以下の指針を立てた。

  1. 色を問わずボムレアをピックする

  2. 緑の優良カードをピックする

  3. 色を問わず優良カードをピックする

  4. 緑のマナサポートをピックする

これらの指針はどうだったのか?
筆者はかなりの手応えを感じている。
手前味噌だが、戦績一覧を列挙する。

  • 緑黒t赤  3-3

  • 青黒t赤  7-2

  • 青緑t赤黒 3-3

  • 緑赤t白黒 7-1

  • 緑黒t青赤 7-1

  • 緑白t赤黒 7-2

  • 緑黒5色  7-2

  • 青緑t白黒 1-3

  • 緑白t赤  7-2

  • 青黒赤t白 1-3

  • 緑青t黒赤 7-1

  • 青白t赤  6-3

勝率70%
どんなドラフト環境でも、勝率50%あれば万々歳。クソザコナメクジな筆者にとっては出来過ぎである。
なお、レア使用枚数は平均3.7枚。クイックドラフトでこれだけレアが組み込めると幸福度が高い。
緑多色決め打ち性癖は、こうして形作られた。

4.レアリティとマナカーブ

レアの枚数を数えた際、ついでにコモンとアンコモンの枚数も並べてみた。面白い結果だった。すべてのデッキで、コモンよりもアンコモンの枚数が多かった。(砂漠土地は除く)
概ねコモンが7〜9枚、アンコモンが12〜14枚といったところ。やはりレアリティが正義。
緑以外のコモンクリーチャーはほぼ入らないのでピックしない。というピック指針は、出来上がったデッキから逆算しても正しいようだ。
続けてマナカーブ、特に2マナ域の話をする。
2マナ域のクリーチャーは〜枚は入れるべき。という論調を目にした事はあるだろうか。5〜6枚は欲しい。8枚を目安に。などなど。環境速度との兼ね合いで決まってくるが、今環境はかなり絞って良い。
アグロが多ければ多いほど、相打ち要因として2マナクリーチャーが必要になる。が、今環境はアグロが成立しづらい。白赤は速いアグロではなく横並べアーキタイプなのが大きい。青赤はデッキ構造が弱く、パーフェクトな完成度の相手はなかなか現れない。赤黒、赤緑、白黒、このあたりの組み合わせもミッドレンジになりがち。
白緑だけは出色の速度で襲ってくるが、そもそも相打ち要因では抗せていない場面も多い。

寝ぼけてプレイしてると叩き起こされる

結局、相手が先手で騎乗ドブンしてくる際に対抗できるのは除去。2マナクリーチャーの要求値は低い。
筆者は2マナクリーチャーは、1〜4枚が多かった。2マナ除去枚数とのトレードオフではあるが、2マナ域だからとコモンクリーチャーを優先してピックしなくて良さそうだ。
なお、自分がアグロをやる際は11枚くらいピックして、コンバットトリックを添える。メリハリをつけて楽しもう。

5.安くて旨いカード

  • 緑黒リアニ

緑多色との相性抜群。

5手目で切り込むこと多々

そもそも緑多色はデカブツを運用する&シングルシンボルはあってないようなもの。お誂え向きだ。

メインターゲット

黒い虫だけやや見劣りするが、釣り竿はピックできるけど肉が無い時は助けてくれる。リアニアーキタイプと悪事向けコモン。

  • 終末の苦悶

ジェイスは安くない。念の為。

緑の肉質に対抗する為に、完全除去は一定数欲しい。そして、コモンのこれらは驚くほど高い。

それぞれ所持枚数1枚。ビビる。

比較すると終末の苦悶は安く、赤を触る時はここからが多い。通常プレイで構わないのだが、たまにマッドネスするとかなり勝ちに近づく。

終末の苦悶が複数あるなら検討しても良い

ただし、赤コモンはほぼ使わないのが基本方針。狙い過ぎ注意だ。

  • ラザーヴと速報枠

悪事は素晴らしいシステム

ラザーヴは安い。その上強い。bot様には過小評価されているので有効活用したい。
そもそも話として、筆者は悪事というシステムが美しいメカニズムだと考えている。
近年のクリーチャー優位なリミテッドデザインにおいて、除去は相対的に弱くなっている。それ自体は良い傾向だ。ゲームは動いた方が楽しい。
ただ、たまに除去コンしたいよね?そして、除去への迂遠な底上げが悪事なのだ。トップメタが青黒悪事除去コンになったらつまらないが、tier3とかで成立できるなら程よい。素晴らしいゲームバランスだ。
オタク早口

ラザーヴは安いが、黒コモン完全除去枠の貪る灰は高い。比較すると速報枠は安く手に入るので、多色化して上手く組み込みたい。

  • いまいちレア、負け知らず

青赤のカードと思わない方が良い

マナベースへの冒涜。リラーは緑ドチャ多色リアニの為のカード。速報枠の各種多色アンコモン除去をどう活かすか、という話でもある。

  • 赤赤

赤はサブカラー

速報枠の除去に近い安さなのが焦熱の射撃。しかし、赤をメインカラーに据えても勝てるイメージは沸かない。必然ダブルシンボルの捻出に苦労する。牛飼いの紅蓮術士は当然安いので、安い+安いを組み合わせる好例。

  • 無色マナサポート

緑より安い

別に優先して使いたい、とは思わない。しかし、ドチャ多色はピックが忙しいので、後半でマナベースを安定させてくれるカードが拾えるのはありがたい。

6.おわりに

お楽しみ頂けただろうか。
誤解のないよう断りを入れておくが、あくまでこの研究録は筆者の主観であり、絶対の正解ではない。
狭い視野に囚われると、可能性を見失う。

そこからグリクシス悪事コン!?

さっきも自分には無い発想のデッキに叩き潰された。まだまだ探求する地平がありそうだ。
拝読頂いた貴方も、クイックドラフトという未開の地で、ともに迷い子となりましょう。

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