武術からヒーリングへ、心身を探ればそれは自然な事

父が道場主だったので、物心つく前から武道の道へと入りました。
我が家の教育方針はその武道の教えそのものです。
自分に無限の可能性がある事を信じ、相手の幸せも半分くらいは考えようよ、という感じです。
武道ですから強さは求めていたものの、それ以上にいかに生きるのかを求めていきました。まぁ、何となく、緩く、です。この緩さがあったのは今思えばとても幸運でした。

20年ほど武道の稽古をしてみると、自分に実力がない事がわかります(笑)。
とはいえ、私は道場主の息子。継がなくてはいけない、というきつい縛りはありませんでしたが、父も私もなんとなく、そのまま継いでくれるし、継いでいくだろう、と思っていました。ここにも緩さがあります(笑)。

実力がないまま道場を継がなくてはいけない、このプレッシャーは強かったらしく、いよいよ、真剣に、我が武の道を探索し始めました。師を探す事になったのです。まぁ、ここも緩く。
そして見つけたのが甲野善紀先生です。先生は弟子を取らない先生ですが、師として憧れを持ち、勝手に学ぶ事は出来ます。
先生の稽古スタイルである一人稽古というのが私には合っていたようです。身体感覚を探る、というのも、誰かに聞かなくてもいいし、教わらなくてもよく、毎日の生活の中にしまい込む事ができて、日々、試行錯誤が出来、発見も出てきて、私の中に習慣として身についていきました。

もともと武術武道は少し応用すれば人を癒す技にもなります。
近代医療が普及していなかった時には武術や山伏、身体を鍛えていた人たちが癒しを施していたと聞きます。
ただ、私が学んだ武道に癒しの技はありませんでした。
別の団体で癒しの技術を学んでも、その技術を習得するのは難しく、結局、諦めました。
ただ、人の幸せを考え、役に立ちたい、という思いは強く、それは武の技だけではかないません。人を守るのに、突いたり蹴ったりはもう、必要ないし、役に立たちません。

人の役に立てれば・・・、そんな思いを持ちながらも、武術の稽古は続けました。
幸運だったのはやはり、甲野善紀先生という人を追いかけられた事。先生の稽古は成果を直接追うものでもなく、組織を拡げるためでもありません。ひとすら、自分の身体を探るものです。
私もそれにならい、手を上げる、立つ座る、という技になる以前の、身体そのものへの探求へと変わっていけました。
突いたり蹴ったりする技は持っています。物心つく前からそんな技の練習をして、強くなるためには、身を守るためには、技が必要だ、と疑いもしなかったからです。

しかし、どうやらそれは間違いだったようです。
技を学んでも、その技を生かす身体がなければ、技は技として成立せず、その力を発揮できないのです。
いつしか、私の稽古は姿勢の確認へと移り、それはさらに、身体の一つ一つの部位の確認となりました。

筋肉を手掛かりに力の抜き方を探り、骨を見つけ、それぞれの働きを確かめて、身体の境界線を作る皮膚の働きに驚きました。
身体は誰もが持つもの、その身体がすでに、とてつもない働きを持っていたのです。ただ、その使い方を知らなかっただけなのだ、と驚かされました。

身体の部位一つ一つが持つ働きを知れば、自然と自分に可能性がある事がわかります。自分には出来ない、と思っていた心が壊れ、身体に任せて稽古をすれば、とんでもない力が得られるのではないか、と単純に喜べました。
組織での学びを離れて一人稽古が進めば、その勢いはさらに増えて、持っていた技すら、忘れたくなります(笑)。
とはいえ、覚えてしまった技を忘れるのは難しいものです。つい、構えを作り、技に引っ張られてしまいます。
そんな技への葛藤も10年、20年過ぎれば自然と忘れていくのですから、やはり、身体に任せるしかないのでしょう。

武術の世界を探った私でしたが、身体の部位そのものの働きを見つけて、それを伝えだした時、整体師やお医者さん、リハビリの方など、専門家として仕事を得て活躍する人たちから驚かれる事が増えました。
こちらは淡々と稽古を続けてきただけ。身体を探り、素直にその身体をみれば当然のように見つかるだろう事を伝えるだけです。
また、精神的な世界を探る人たちからも興味を持たれるようになります。
精神的な世界も多少、仏教の教えは知っていて、緩く座禅もしてきましたが、それぞれ専門的なものを持っているかと言えば、ありません。
精神的なものも、身体を探る事で自然と思い浮かぶ事だけで十分幸せへと行ける事がわかり、ただ、それを普通に伝えていました。
しかし、その普通は、常識的に技や知識として学ぶ人からすると、想像も出来ないものだったようです。

まぁ、それは私が常識的組織武道で学んでいた時、この身体感覚を通しての一人稽古の凄さに気づけたかと言えば、全くわからなかったわけですから気持ちはわかります。
武道に今日があるなら、武術の技を学ぶのは入り口も似ていてやりやすいでしょう。
ただ、多くの人は武の事を考える事もしません。まず、選択肢に上がりません。
武術を通して身体感覚を探ってきましたが、その稽古はもう、武術武道の片りんもなくなりました(笑)。
この身体感覚の世界をもっと伝えられないかな、と思い、いつの間にか、ヒーリングとして稽古も始まりました。
武術はそのまま、心身の癒しになるのです。

関東稽古があります。よろしければご参加ください。

「つくば稽古」

稽古日時:2024/10/6(日)13:00-20:00(入退室自由)
会場:つくばカピオ リフレッシュルーム
住所:茨城県つくば市竹園1-10-1 ←クリックでマップが開きます。
参加費:10000円

「東京ロングヒーリング」

稽古日時:2024/10/8(火)10:00-17:00
会場:大岡山西住区センター
住所:目黒区平町一丁目15番12号
参加費:参加費24000円(当日払い)
定員6名

「東京夜稽古」

稽古日時:2024/10/8(火)18:00-21:00
会場:大岡山西住区センター
住所:目黒区平町一丁目15番12号
参加費:参加費10000円(当日払い)
定員はありません
同日10-17時にある「東京ロングヒーリング」に参加の方は5000円

浜松でも久しぶりのヒーリング!

「浜松ロングヒーリング」

稽古日時:2024/9/4(月)10:00-16:00
会場:浜松市 福祉交流センター/第1講習室
住所:浜松市中央区成子町140番地の8
参加費:参加費24000円(当日払い)
定員6名


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?