マンション理論2階 お腹から背中へ

2階部分は「やれる事」が多岐にわたって、ひとつひとつ説明をしていくのが大変です。
2階部分を探る事で、私たちはこんな「自由」を土台にして生きているのだ、とわかります。今の現状がどうであれ、私の土台は自由なのだ、と知るだけでも強く生きていけます。

今、私たちの世界は誰かが作った機械やサービスで作られ、大きくなっています。
そのサービスを作る人たちは自由を土台にして、なんでも作れる、と生きているかもしれませんが、多くの消費者はお気に入りの商品、サービスに特化していき、不自由を求めているようにも見えます。
不自由を得たとしても、そこから得られる成果が大きく、それが楽しいのかもしれません。
ただ、与えられる楽しさはいつか、終わります。
あれ?楽しくないぞ、と思ってしまった時、ちょっと戻って、自分の中の自由を使って楽しい世界を作るチャンスになるはずです。

さて、今日は胸と背中の話です。
胸はお腹の上にあります。もう、当たり前であり、どうしようもない事です。
この胸にはお腹と違う性格があるのですが、その違いを頭の方は考えません。頭はたいていの場合、一直線です。

まずは胸にあるものをそのまま認識します。
胸には腕がついています。
その腕は前側は鎖骨で繋がっていますが、腕全体は背中にある肩甲骨が強く働いているようにも見えます。
また、腕には上腕と前腕、大まかに二つに分かれています。
外から見ても気にしたい事がたくさんあります。そしてさらに、胸にある内臓を考えれば、心臓と肺があり、これを主役にしたなら、呼吸までも気にしたくなります。

身体は様々な特徴を持ったいくつもの部位で出来ています。
そして、それはそれぞれ働かせ方が違うのです。
使っていれば何となくわかる、と期待しても、それは無理です。
ついつい、使いやすいもの頼ってしまいがちです。

なぜ頼ってしまうのか、それはもうシンプルに、毎日が平和だから。そして、何かあっても、それを解決するのは、私ではなく、機械や人、それが主役になってしまったからです。
外に広がる解決策は無数にありますが、私自身の身体に窮屈さがあれば、どんな解決策もいつかまた、役に立たなくなります。

身体も自由だ、身体は自由だ、なんとでもなる、と知るために、武術の稽古が役立つのです。
どれだけ抑えられても、自分は動ける。動けるか動けないか、そんなシンプルな事を皆、忘れてしまいました。

歳を重ねれば動けない、というのはまだわかります。
しかし、まだまだ若く、健康だ!という時期だったとしても、自分は動けない、と心を縛り続けてしまっている人が多くなっているのです。
でも、違う。それこそ、1階部分の腹腰がちょっと踏ん張り、土台となってくれれば、それを生かして、胸と腕は暴れだす事が出来るのです。

胸を働かせるためには必要な姿勢があります。
それは「お腹を伸ばす」というものです。
もちろん、どんな姿勢であっても、胸はそこにあり、しっかりと自覚できているのならいいのですが、それはやはり、自覚してからの話です。
多くの人は、姿勢を気にしません。姿勢よりも、最新型のスマホを気にして、お金を気にして、人気を気にして、政治を気にします。
また、気にしていたとしても、それは技とセットにして覚えたものであり、得意な場面では自動的に動いても、イザという時、普通の時に、胸を生かさずにしています。
自由になれるのに、それを選んでいない、もったいない事です。

お腹を伸ばす事でどうなるか。
まず、猫背傾向がなくなります。
日本人の身体的傾向として、胸の重さ、腕の重さ、頭の重さ、責任の重さ、全部の重さが身体の前面に流れて、ついつい、腹に溜まります。
これを受け入れていればみぞおちも抜けますが、意識的にみぞおちを抜ける人はさらに少ないように思えます。
ついつい前へと重さが流れ、猫背になってしまうのなら、意識的に背中側に流し落とせばいいじゃないか、と思いませんか。

上半身の重さを背中に流す時、肩甲骨を使うと、腹と背中で喧嘩が起こります。背筋を伸ばすだけでは足らないのです。
背筋を伸ばすのではなく、お腹を伸ばす。お腹を伸ばせば、自然と背骨へと重さが流れるのです。

お腹を伸ばすのは難しくありません。
ただ、忘れてしまうだけなのです。する事は簡単。すぐにできます。でも、お腹を伸ばさなくても、生きていける世の中です。ついつい、忘れて、ふぅ~と、お腹に入ってしまうのです。
これがまた、日本人らしさを作っているのでしょうが、時代は変わり、適応せざるを得なくなってきました。
無理に変わる、というのではなく、背中に重さを流す、というのも「標準装備」なのですから、選べばいいのです。

お腹を伸ばして生まれる働き、それはまた次回に書きます。

【不定期稽古のご案内】

「甲野善紀先生の名古屋稽古」
稽古日時:7/21(日) PM1:00~PM3:30
稽古場所:浄泉寺
会場住所:名古屋市緑区鳴海町字上中町9
アクセス:名鉄本線鳴海駅から徒歩5分
参加費:8000円

参加資格はありません。見るだけ、聞くだけでも参加可能です。
服装自由、持ち物自由、受講スタイルも自由だし、入退室も自由です。気楽にご参加いただけます。
申し込みはウェブサイトから。
http://www.karadalab.com/

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