見出し画像

銭湯で知らない人とお湯につかること

銭湯に行きたい。


コロナ禍で銭湯に行かなくなって3ヶ月以上経っている。
今週あたりは行けるのかなと思っていたら、にわかに感染者数が増えて、気軽に行ける感じではなくなってしまった。



3年前に東京に来てからよく銭湯に行くようになった。
舞台をすぐ見に行けることと、たくさん銭湯があることが今のところ東京の好きなところだ。


銭湯に行く日はだいたい3つに分類される。

①とにかくでかいお風呂に入りたい日
最もシンプルな理由。
適切に温度管理されたでっかいお風呂に入っているとたいていのことはどうでもよくなる。
お風呂にお湯が注がれるダバダバ音で適度にうるさいのもとても好き。


②何か考えなくてはいけないことがある日
こういうnoteみたいな文章を考える時とか、仕事で企画を考える時とか、特に手を動かさずに考えなければならないものがある時、家でやると絶対に捗らない。
スマホを見てしまうし漫画を読んでしまうしラジオを聞いてしまう。
銭湯は強制的に持ち物ゼロの状態にされるのでそれらの雑念に邪魔されることなく考えることができる。


③休日に何もしなかった日
例えば休日。
11時に起きて、スマホ見てたら1時で、ご飯食べて昼寝したら3時で、録りためたバラエティを見てたら6時になっていた時、死にたい気分になりませんか。今日がそうなんですけど。
そんな日に銭湯に行くとその日は「銭湯に行った日」になって、寝る時の死にたさがかなり軽減されます。今日は銭湯に行けないのでたぶん死にたくなります。



とにかくいろんな理由をつけて、ちょこちょこ銭湯に通っていた。
銭湯でおもしろいなと思うのが普段なら絶対に関わらないであろう人々となんとなく隣あってしまうことだ。


ある日銭湯でいかつめのおじさん二人が会話していた。
話を聞いていると、どうやら一人は自営業で、もう一人はその友達らしい。


「最近お店どう?」
「ダメだな。客の年寄りはみんな死んじゃうし、若い奴はみんなオレオレ詐欺で逮捕されてる」
「そうかあ。なんで若いやつはそういうリスクを考えられないんだろうね」 


会話は続いていたがその先は頭に入ってこなかった。


「若い奴はみんなオレオレ詐欺で逮捕されてる」
それに対して
「そうかあ」


確かに年寄りは(というか人は)必ず死ぬが、少なくとも僕の交友範囲でオレオレ詐欺で逮捕された奴はいない。 (います?)

でもこれはこの二人が変な人だという話ではないんだろうと思う。

そうではなくて自分の住んでいる街には「年寄りはみんな死んじゃうし、若い奴はみんなオレオレ詐欺で逮捕される」のがリアルな現状認識である世界が存在するのだ。 

僕たちはみんなおそろしく小さなバブルの中で生きている。
自分の常識とは全く異なる常識で生活している人の方が全然多いのだ。
会社の人と気の合う友達しか会わない生活をしているとついそのことを忘れてしまう。


オンライン飲み会も、在宅勤務もなんだか全然悪くないことに気づいてきている今だけど、全く別の世界で生きる見知らぬ他人と強制的に近くで過ごすことって自分にとって結構大事な時間だったなと思う。


映画館で隣の人が自分と違うタイミングで泣くのを感じたり、喫茶店で隣の会社員が仕事バリバリしててちょっと焦ったり、飲み屋で知らない会社のやつらが全く共感できない話題で爆笑しているのを聞いたり。


そういう自分とは違う世界で生きている人たちが、ちゃんといるんんだなってことを、見るともなく聴くともなくなんとなく感じられる日々に早く戻ってもらいたいもんです。

サイトウでした。


※写真は近所のよく行く銭湯の煙突です。
本当にどうでもいいのですが、ここの自販機にはいまだにSMAPのポカリのポスターが貼ってあって、前通るたびに「SMAP若え〜」と思います。



@いえもん
引越しすごいなあ。
なんか僕もしたくなってきました。
いいかげんこの6畳和室から離れたい。

@きっちゃん
都知事選もそうだけど、選挙とか特に自分がいかに小さいバブルで生活しているか痛感させられますね。せめて自分のバブルの小ささを自覚していたいと思うし、その外側にいる人のことをちゃんと想像したい。

この記事が参加している募集

#習慣にしていること

131,068件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?