松雪泰子さんについて考える(31)映画『笑う警官』

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*松雪泰子さんについて考える(51)「歌は語れ、セリフは歌え」*

松雪さん出演シーンの充実度:4点(/10点)
作品の面白さ:4点(/10点)
公開年:2009年
視聴方法:TSUTAYAディスカス

※以下、多少のネタバレを含みますが、決定的なオチや結末には触れないようしております。

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<おことわり>
個人的に本作は好きになれませんでしたが、その感想を正直に書いています。この作品のことが好きな方にとっては、気分を害してしまう内容になっていると思いますので、お読みにならないでください。

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結論から言うと、ダダ滑りの作品。
 
「渋くて大人受けするハードボイルド作品」を狙っている感じが伝わってくるが、それが裏目に出ていて、とにかく寒い。キザなセリフ、ジャズで一貫されたBGM、ラストシーン…。鑑賞する側の共感性羞恥を存分に掻き立ててくれる。
 
何がどうダメか、前田有一氏の「超映画批評」サイトでのレビューが正鵠を射ているので、詳しくはそちらを参照していただきたい。
 
極めつけに、終盤のシーンで、北海道の道路のはずが、背景として見切れている看板や道路標識に「水戸」の文字が複数映っていた。もう少し工夫できなかったものか。
 
松雪さんはどうかというと、あまり特徴らしい特徴のない役柄で、見せ場というほどのシーンもない。ちなみに、役作りかどうかは分からないが、すごく痩せていた。
 
唯一良かったのは、最終盤あたりで並木道をひとりで歩くシーン。衣装もヘアメイクもいいし、歩き姿も並木道もキレイだなぁ…と。ただし、いくら松雪さんのファンでも、そのためだけにこの映画を観るほどではない。
 
主演の大森南朋さんは、脚本・演出のせいもあって、セリフも芝居も寒い。
個人的な見立てでは、大森さんは二枚目よりも三枚目キャラが上手な気がする。『私の家政婦ナギサさん』(2019年)のときのドギマギ演技は最高だった。その他、松雪さんとの共演作では、『サイン』(2019年)のときも二枚目キャラだったが、やはりどうも…。逆に『初情事まであと1時間』(2021年)のときは自然体な気がした。
 
他の共演者はどうか。
 
宮迫博之さんとは不思議と共演が多い。『きらきらひかる3』(2000年)、『救命病棟24時』(2001年)に続いて3作目だろうか。宮迫さんこそ、本業じゃないので当たり前だが、二枚目キャラはあまり上手でない。『救命―』のときは良かったが、本作ではシリアスな演技がワンパターンだし、他の演者が喋っているときには、ただ画面内で立ち尽くしているだけに見えた。
 
松山ケンイチさんがほんの1シーンだけ出てくるが、『デトロイト・メタル・シティ』(2008年)から1年ぶりに松雪さんと共演。ほんの一瞬だが。
 
そして、なんといっても『きらきらひかる』で刑事役として名コンビだった野村佑人さんと再共演。しかも同じ警官役。もっと別の作品で観たかったのが惜しまれる。
 
以上。特におすすめしたいは思わない。

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