ドラマ・映画感想文(09)『坂の上の赤い屋根』

*ドラマ・映画感想文シリーズの投稿はこちら*

作品の面白さ:8点(/10点)
制作年:2024年
視聴方法:WOWOWオンデマンド
公式サイト:https://www.wowow.co.jp/drama/original/akaiyane/

※以下、ネタバレは最小限に抑えて書いています。

さすがWOWOWと言うべき作品。
画面の中を緊張感が覆い続ける全5話。

「イヤミス」(嫌な後味のミステリー)の嚆矢の一人、真梨幸子(まりゆきこ)氏による同名小説が原作。WOWOW制作・真梨氏原作のドラマとしては、『5人のジュンコ』(2015年)も秀作だったが、本作も上々の出来で、単純な犯人探し系に飽きているミステリ好きの方には、特に楽しめそう。警察がほとんど出てこないのも独特。

第1話放送と同時に、WOWOWオンデマンド上では一気に全5話を配信。その戦略にまんまと乗って、2〜3日で最後まで一気見した。

登場人物の関係性が若干複雑で、第1話は注意深く観ないと混乱する。ただ、第2話以降を見進めるうちに自ずと理解できてくるので、早々と挫折しては勿体ない。しかも、その疑問点は、まさに本作の種明かしにも関わることなので、むしろ当然感じるべき謎といえる。

出演俳優が皆素晴らしい。主演桐谷健太さんの淡々とした穏やかな物腰、準主演倉科カナさんの何かに操られているような傀儡感、クズ男っぷりを演じた橋本良亮さん。

しかし、特筆すべきは斉藤由貴さんと蓮佛美沙子さんの2人。

前者は下衆で惨めな女を、後者は自我を持たず常にビクビクしている女を、それぞれケレン味たっぷりに演じた。2人ともこういう役柄は珍しいのでは。新鮮だった。

それにしても、渡辺真起子さんの出版社編集責任者の役柄は、ジャーナリスト然としてワイドショーに出演している姿だけでなく、喋り方やぶっきらぼうな感じまで含め、何から何まで『5人のジュンコ』での作家役のようだった。原作者の真梨氏があえて何か含意を込めているのかとも勘繰ったが、考えすぎか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?