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私たちを過度に落ち込ませているものの正体:不幸脱出マニュアル⑤

ここまで見てきたのは、自己肯定感が低い人は「悪玉」に支配されているということ。その悪玉を弱体化させるために「ネガティブ情報を見るな、聞くな、口に出すな」という話がここまで。

しかし、これだけでハイそうですかと実行に移せるなら苦労しないだろう。今回は世の中にあふれるネガティブ情報について書こうと思う。

悪玉の定番おやつ、メディア情報

まずわかりやすいところでテレビや雑誌や新聞などのメディアは、あなたの、というよりあなたを通してあなたの中の悪玉の注意を引き付けるため、そして広告を見てもらうため、商品を買ってもらうため、頻繁にネガティブな感情を刺激する。(もちろん全部ではない。そこは強調したい)
特にニュース番組は番組の性質上、その時間のほとんどを暗い物事に費やしている。あれこれの不安、あれこれの恐怖が世の中を覆っている、ということを連日報道する。「世の人の役立つ情報」という大義名分のもと、人の泣き声や怒りの訴え、嘆きの声を集めたり、世の不正義を暴いたり、新たな恐怖を掘り起こしたりしている。
広告はもっと直接的に「あなたは不完全だ」「だからこの商品を買え」と迫ってくるし、一部のドラマや映画や漫画も、ネガティブな物事を不必要に詳細に描くことで人の注意を引きつける仕組みになっている。

SNSにはびこる悪玉のおやつ

ネットにもやはり既存のメディアと同様暗い情報を大きく話題に挙げて閲覧数を稼ぐ傾向があり、ありとあらゆるゴシップが蔓延している。
また、ここが見逃されがちな点だが、
多くの人が、怒りの声を上げたり愚痴を発散するためにSNSを利用しており、そうしたネガティブな発信には賛同が集まりやすく、多くの人の(つまりあなたの)目に留まりやすくなっている。
こうした怒りの声に注目したり集めること、わざわざ見に行くことも、また、自分の愚痴や誰かの悪口を発信することも、いずれも美味しい悪玉の餌である。

日常に散りばめられる悪玉のおやつ

さらに無意識に摂取してしまいがちで、なおかつ最も悪玉を肥え太らせるものが、日常会話に含まれるネガティブ情報である。
あなたが人と世間話をするとき、そこにどんな話題が上がってくるだろうか?
家族や友人に関する愚痴、仕事の愚痴、職場の人、取引先の陰口、社会情勢への不安。
そんな話題がごく自然に、当然のことのようにそこに含まれていないだろうか?
それらも全て、悪玉のエサになっている。
誰かがこのような話を始めることをやめさせることはできないが、その話題が広がらないよう細心の注意を払うことだ。
具体的には「そういえば最近暑いけど、アイスって何が好きですか?」とかの安全・平和かつ分かりやすい話題にスライドさせるのがいい。
繰り返していると「こいつは私の愚痴を聞いてくれないやつだ」「こいつはアホみたいな話しかしないな」と判断され、あなたにその手の話題を振ってくる人は消えていく。
とはいえ神経を使う部分だと思うので、ここはそのうち補足記事を書こうと思う。

ネガティブが悪いわけではない

ここまで書いてきたが誤解しないでいただきたいのは、私は「ネガティブな情報で視聴率を稼ぐテレビはクソだ」とか「雑誌やネット記事はクソだ」とか「SNSで愚痴ったり告発をする奴はダメだ」とか、もちろん「愚痴や陰口をいう奴はクソだ」とかいうことが言いたいのではないし、そんな風にも全く思っていない。また、悪玉を小さくすべきだとは思うが、悪玉を敵視すべきではないとということも強調したい。

まずテレビやネット、CMや雑誌が悪玉を刺激して金を稼ごうとするのは当然だ。この世は資本主義であり、それらの業界に携わる人たちは報酬を得なくてはならないのだから。本来正しくは「悪玉が活性化している故に、メディアがそこを利用している」という流れなわけで、攻められるべきは悪玉であり、世の人たちの悪玉が弱体化すればネガティブ情報の訴求力は減っていき、メディアが取り扱う話題も変化するはずである。

それにこうしたメディアはネガティブ情報だけでなく、人を楽しませ、笑わせ、笑顔にする情報もたくさん振りまいてくれている。誰かを笑顔にしたいと本気で頑張っている人たちがちゃんとそこにはいる。私たちができることはこうした情報を選択的に取り入れ、ポジティブな発信にエールを送ることである。

またSNSで不満や告発の声が上がることも、世の中をいい方向に変えていく上で非常に大切なことだと思う。SNSが声にならない声、これまでは黙殺されてきた不満や怒りを可視化したことで起こった前向きな変化はたくさんある。それには完全に賛同する。
しかし、少なくない不満や怒りが物事を実際に変えていくためではなく、単に悪玉のおやつとして消費されポイ捨てされているという事実は無視できない。
世間話の中で繰り広げられる愚痴もそうだ。不平や不満に気づくことはとても大事だが、それを愚痴るだけで終わらせずに行動することも同じくらい大切だ。愚痴や陰口は不平や不満をごまかしてしまい、かえって行動を遠のけてしまうことも多い。

悪玉はネガティブなことを見つけるのが得意だが、ネガティブなことを解消する力はないし、それを求めてもいない。悪玉はずっと自分の餌を確保しておきたいのだから当然だ。
世の中や自分自身にいい変化を起こすのはあなた自身であり、あなたの中の善玉である。そこを見誤ってはいけない。
あなたの中の悪玉が未だに強い力を持っているのなら、世の中の悪に注目する前に、自分の中の悪玉を弱体化させることだ。悪玉を弱体化させることは世のため人のためを思えばこそ、最優先で取り組むべきことである。世の中のために本気で行動を起こせるのは、悪玉に支配されていない人間だけなのだから。

また、怒りや悲しみと言ったネガティブな感情それ自体も、決して消し去るべき対象ではない。
カンのいい人は気づいていると思うが、心のネガティブな動きを腸内細菌の「悪玉」に例えているのは、それはあくまで必要なものであり、バランスを欠くことに問題があるだけだということを分かって欲しいからだ。
私たちは当然苦しむことがあり、悲しむことがある。その感情をなかったことにすることなどできないし、する必要もない。
ここでは悪玉を縮小させることの重要性についてばかり語っているのでつい端折ってしまったけど、ネガティブ感情の意味についてもそのうち補足を書きます。

次は「見ざる、聞かざる、言わざる生活の実際」↓


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