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市場がざわつく買い物の仕方 withコロナ

こんにちは。
営業時間短縮要請が出て、飲食業にとっては引き続きイレギュラーな日々が続いていますね。それに伴って、僕がいつも買い付けに行っている豊洲市場もまだ本来の人出が戻っていないように見えます。

今回のnoteでは、そんなコロナ騒動の中で、僕が一躍豊洲市場の変人と化したストーリーを書いていきたいと思います。

「なんか派手な若い子が買いに来てるな」と思われていただけだった

コロナ騒動の前までは、ほぼ毎日市場で買い付けをしていても、おそらく周りの業者さんからは「いつも派手な銀髪の若い子が買い物に来てるな」ぐらいの見え方だったと思います。僕のお店、割烹TAJIMAは次の12月で早くも3周年を迎えます。この3年間、音速で過ぎていきました。開業当初、代官山にお店を出す気は特にないまま、家具屋さんのオフィスだった物件を見て一目惚れ。全部スケルトンの状態から内装工事を始めてしまったので、事業計画は運転資金を300万残して作っていたのに、マイナス300万円から始まりました。計画も何もなかった。その時の僕の預金残高は数万円でした。

工事前のTAJIMA。何も無い状態から1つずつ作っていきました。

こちらは現在の様子。職人さんに感謝です。


開店当初は予約も入らず、毎月日銭で買い物をしていた僕は市場に行っても必要最小限の買い物しか出来ていませんでした。
そうなると、当然仲買さんにとっても良いお客さんではないので、そんなに良い顔はしてくれるはずがありません。

しかも、まだ市場が築地にあった頃から今もお世話になっている青果の仲買さんのところでは、月末と重なってキャッシュが全く無くなり、財布を忘れたフリをして必要な野菜を買ったこともありました。その時のちょっと嫌そうな顔は、今でも忘れられません。


いつもお世話になっている青果仲買さんの会長と女将さんと。


                 しかし、そんな僕への対応が激変したのはこの後のお話し。

コロナ禍で通常の5倍買い物をした

今回のコロナ禍でたくさんの買い物をしたのは、前回の記事でも書いていますが、金額にしたら通常1か月分より5倍程多い額を買っていました。
それを2か月間。

量で言うと、ウニ700箱、マグロ100kg、その他鮮魚200kg、うなぎ130本、野菜もたくさん。鮮魚の人も青果の人も、仲買さんが引くほどの量を買い付けることが出来ました。その目はもう変人を見る目。


カウンター10席の店でこんな量のマグロはまず買いません
(これで12kgぐらいのマグロ)

僕なりにたどり着いた「買い付けの秘訣」

これだけ買い物をすることが出来ると、だんだんと買い付けの秘訣みたいなものが分かるようになってきました。
そもそも、料理人がみんな市場に買い付けに行くわけじゃなくて、実は注文してお店に配達してもらうケースがほとんどです。でも僕はほぼ毎日車で直接市場に行く。ここにも意味がありました。


今回買い付けていたのは、主にいつもお世話になっている3カ所の仲買さんからです。ウニも最初は3箱から始まって、10箱→20箱→60箱→100箱とだんだん買う量が増えていきました。

他にも伊勢海老を4つの水槽から全部買い占めたり(約100匹)。
毛蟹を50杯買ったり、色々爆買いしました。
伊勢海老の時の話はちょっとおもしろかったので、また別の記事で書きたいと思います。

まずひとつ目は、一度でもいいので引くほどの買いっぷりを見せるのが、「こいつは良い客だ」と思ってもらうのに重要だということでした。
その後は、ちょっと特別な値段でやってくれたりするようになります。

そして最も重要なのは、自分が欲しいものだけを買うのではなく相手が売りたいものを全部買ってあげることです。

基本僕は、自分の欲しい食材が買い終わっても、
「田島さん!これ持ってってくれない?」と言われたらほぼ断りません。
使い途がなくても買っていきます。(常連さんのおみやにしたりできるので)
それがお店の為になるのだから、お互い持ちつ持たれつの間柄として、出来ることはしたいなと思うんです。

伊勢海老を買うシーンの時もそうでした。
全くお客さんが買いに来ない中、いきなり若造の僕が水槽の伊勢海老を全部欲しいと言ったもんで、三人がかりで梱包してくれました。
もちろん、皆さんは嬉しそうにしてくださいました。

LINEで欲しいものだけを注文することもできますが、わざと直接行って
「この水槽の伊勢海老何匹ぐらいいるんですか?」と聞き、
「もし全部買ったらいくらにしてくれます?」と言えば、信じられない値段で買えるのです。そして「んー、kg○○○○円なら!」と答えをもらえたら、そこは少し高くても、秒速で「買います!」と言います。
このテンポが大事かなと。一匹5万の伊勢海老を買うより100匹買う方がもちろん売り上げにはなるわけだし、何より「この時期にこんなバカみたいなことするやついるんだ」と元気になってもらうことも出来ました。

毎日市場に行くたび買い物の量が増えるので、皆さんが声を揃えて「今こんなに買うの市場で田島さんだけだよ!」と言ってくれて、その顔がニコニコしていたし本当に嬉しかった。
中には「これでもう田島さんの株は相当上がったよ」と言ってくれたり。

しかも、その買ったものたちはコロナ禍のなかスーパーにも満足に行けなかった近隣の皆様にお渡ししていたので、こちらも普段は変えない市場の新鮮な食材をとても喜んでくださいました。

いま、少しずつ日常が戻ってきていて以前のような量は買えませんが、それでも僕は毎日市場に行って、引き続きみんなが笑顔になるような買い物をしたいなと思っています。継続して面白いことをしていきたいと思っているので、これからもどうぞよろしくお願いいたします。

割烹TAJIMAでは、引き続き市場の食材の詰め合わせセットや、素材+調理品が届く定期便も承っています、商品はこちらからご覧になれますがパスワードが必要なので、ご購入希望の方は「kazu@kappo-tajima.com」までご連絡くださいませ。

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