見出し画像

女系チャールズ国王と日本の皇室について

男系男子の皇位継承にこだわる日本に対して、英国は女系の王位継承を許容している。この点については、前に詳しく書いたので、そちらをご参照いただきたい。現在の英王室の祖先は、スコットランドのメアリー女王の曽孫にあたるハノーファー選帝侯妃ゾフィーという女性である。女系を否定したら、そもそも英王室は成り立たない。

しかし、だからといって、日本が世界の潮流から外れているとか、男系男子にこだわるのは無理筋だと決めつけて、日本も女系・女性天皇を許容すべしというのは、やや飛躍しすぎであろう。

そういうことは、それぞれの国の国民が決めることだからである。

世界の潮流から外れているというのは間違いない。だが、前にも紹介したように、フランス王家の血筋は男系男子による王位継承で1,000年以上も「血の継承」が続いている。だから、日本だけが例外とは言えないし、嫡出にこだわらず、傍系に遡って遠縁の男系男子に相続させる等のやり方をすれば、不可能とは言えない。

あとは、日本国民がどう判断するかである。それは他国の人間が決めることではない。具体的には、以下の①から③の選択肢のどれが望ましいのか、徹底的に議論することであろう。

①現皇族、つまり天皇家、プラス戦後、引き続き皇族として居残った3宮家の後裔の子孫だけで何とか存続を図ること。このケースだと、男系男子が途絶えた場合、女系天皇、あるいは男系の女性天皇も選択肢として検討する必要が出てくるだろう。

②皇籍離脱した旧宮家も含めて男系男子としての皇位継承資格を有する人たちにも対象を広げることで、引き続き男系男子にこだわった運営を持続すること。このケースだと、今まで庶民だった人を、いきなり皇位継承者とすることに対して、国民の納得感を得られるかどうかが問題となる。

③現状のまま、なるように任せて、皇位継承資格者が途絶したら、その時点で、天皇制を廃止すること。

それこそ、国民投票でもやって決めれば良いのではないかと思う。

ただし、気をつけないといけないのは、将来にわたって有効に機能すべき「制度」を決めることなので、現存する皇族の良し悪しというか、評価に引っ張られないようにすることが重要である。

すなわち、愛子さまは聡明そうだから天皇に相応しいとか、秋篠宮はなんだかちょっとイヤとか、悠仁さまは線が細そうで大丈夫かとかいう議論は控えるべきということである。

「人事評価」とか「人気投票」ではなく、「制度設計」の議論であるという点を、間違えないようにしないといけない。

僕としては、たしかに愛子さま(愛子さま自身は男系女子である)は聡明そうであるし、天皇になっても何ら違和感がないとは思うが、一方で、2,000年も頑張って維持してきた男系での皇位継承制度に関しては、可能な限り、今後も継続できるものならば継続していってもらいたいと思う。

僕は右翼でもないし、盲目的な天皇崇拝論者でもない。ニホンオオカミが、仮に今、数頭だけでも残っていたとしたら、何とか絶滅しないように保護されることを願うに違いない。それと同じことである。

昔から存続してきたものや伝統文化は、何かしらの意味があるし、価値があると思っている。やめるのは簡単であるが、失くしてしまってから後悔しても手遅れなのである。

そういう意味で、保守的な考え方の人間であることに関しては間違いないと自覚している。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?