見出し画像

「浦和レッズ」について⑤

前にも書いたとおり、僕は、一応は「浦和レッズ」のファン・サポの端くれくらいではある。文字どおりの「端くれ」レベルであり、熱狂的かつ年季の入ったファン・サポの人たちから見たら、取るに足らないレベルである。

そういう端くれレベルの言うことなので、聞き流してもらって構わないのだが、前々からずっと気になっていたのは、一部のレッズ・サポの中に、僕があまり好きになれそうもないような人たちが含まれていることであった。

彼らのどういうところが好きになれないかというと、具体的には、以下の2点である。

  • 他のクラブ・チームのファン・サポに対するリスペクトを欠いている人が少なくないこと。

  • 同じレッズ・サポ同士においても、自分がいかに「正しい」サポかということであるかを競い、マウントの取り合いや醜い争いを繰り広げたがる人が残念ながら散見されること。

僕は、この種のファン・サポを、浦和レッズ「原理主義者」と呼んでいる。自分たちの無謬性を無条件に信じて、批判を一切許さないガチガチのサポたちを意味する。

ファン心理というものは、政治思想、宗教等にも通じる。何ものかを熱烈に崇拝する人たちは、自分自身がいかに正統的な立場にあるかについて競いたがる傾向がある。したがって、自分が崇拝する対象以外のものを崇拝する他者は断じて認めないし、同じ宗派内であっても、正当性において自身よりも劣る他者を見下すような行動を取りがちである。

他のクラブ・チームのファン・サポだって、似たようなものかもしれないのだが、数が多いだけに浦和レッズのファン・サポは目立ってしまうのだ。それに、僕の見るところ、上記のような「原理主義者」がやたら多いのは間違いない。野球で言えば、「阪神タイガース」ファンと相通じるものがある。自分たちを相対化したり、客観視できない困った人たちなのだ。

どうしてこういう人種が多いのかは謎であるが、クラブ側のスタンスが総じて甘いというのは1つの重要なファクターであろう。長年にわたり甘やかしてきた責任はすごく重い。Jリーグ草創期の「お荷物」時代から地元のファン・サポに支えられてきたという「弱み」みたいなものがあるのかもしれない。しかしながら、コンプライアンス重視の昨今の風潮においてはクラブの姿勢はとても重要である。

いずれにせよ、ファン・サポの方も、もっとオトナになるべきなのである。

所詮、サッカーの試合は、興行(=見せ物)である。エンターテイメントである。なのに、勝ったからと大騒ぎし、負けたからと大暴れするようでは、いかにもオトナゲない。勝負なのだから、勝つこともあれば、負けることもある。当たり前のことである。思いどおりの結果にならないことも含めて、「これも人生」と達観し、楽しめるくらいの精神的な余裕が欲しいところである。

嫌われついでに白状するが、僕は埼玉スタジアムのゴール裏で飛び跳ねているファン・サポが前々から大嫌いである。彼らは自分たちこそが、「真のサポ」だと信じて些かも疑わない。まさに「原理主義者」である。自分たちがスタジアムに行くことを「参戦」と言い、シートに座って観戦する一般のファン・サポを「地蔵」と呼んで馬鹿にする。試合が終われば、「反省会」と称して、遅くまで酒を呑み、騒ぎまわる。

こういう人たちの存在をまったく意味がないとは言わないが、彼らのような人たちに人生を賭けてまで応援してもらわなくとも、浦和レッズとしては何ら困らないだろうとも思う。何度も言うが、所詮は、興行(=見せ物)、エンターテイメントにすぎない。

選手たちはプロである。負けようと思ってプレーしているはずもない。負けたからと、シロートにああだこうだと文句を言われたところで、何ら参考にはならない。ましてや、他所さまのスタジアムに乱入するなんて論外である。

Jリーグもスタートして30年になるのだ。最初は10クラブだったのが、今やJ1~3で総勢60クラブである。その中で、中身はともかく、観客動員力や営業収入等の指標において、いちばんのビッグクラブと言われているのが浦和レッズである。「中身はともかく」と言ったとおり、ツッコミどころは満載であるが、それはさておき、ファン・サポの方も、もっと「民度」を上げないとどうしようもない。

今だと、他クラブのお手本になるどころか、ガラの悪い見本のようにしか見えない。イングランドのサッカーリーグは、フーリガンと呼ばれるようなルールを逸脱したファン・サポによる暴力行為や、大勢が死傷するような大事故が何度か起きた反省を踏まえて、スタジアムを女性や子どもが安心して観戦できるように整備し、サッカーを健全なエンターテイメントとして発展させることを狙いとして、プレミアリーグが発足したと聞く。

今のままだと、浦和レッズのファン・サポは、ガラが悪くて危ない奴らが多いから、レッズ抜きで新たなリーグを作ろうかという機運が盛り上がったところで、文句は言えないような気がしてならない。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?