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「島国根性」について

「島国根性」という言葉がある。日本人のように、周囲を海に囲まれた島国に住んでいるがために、視野が狭く、排他的・閉鎖的で、同調圧力が強く、何ごとに関しても発想が内向きであることを意味する。

少子高齢化が進み、労働力人口は今後、急激に減少することは確実であり、長期的な見通しでは、40年後の労働人口が現在よりも4割減少するという予測もある。労働力が減少するということは、働かない老人は増える一方で、経済を回して、税金を納めてくれる人たちも減少するということである。

日本全体が、地方の過疎の町村みたいになり、駅前はシャッター商店街ばかり、若者はいなくなり、残されるのは老人ばかりという状態になってしまったら、もはや国としての将来はない。

少子化対策をいくらやったところで、急に出生率が増えるわけでもない。とりあえずは移民でも出稼ぎでも、日本に来てもらえるのであれば大歓迎ということになって当然だと思うのだが、冒頭に書いたような「島国根性」が沁みついているせいか、外国人が増えたら治安が悪くなるとか、ネガティブな理由ばかりあげつらうばかりである。

現在、地方都市で若者世代の移住を積極的に推進している自治体が少なくない。成果が上がっているところもあれば、苦戦しているところもある。地方は都会と比べると、自然が豊かで、住環境にも恵まれているが、仕事の選択肢が限られていたり、クルマがないと生活ができなかったり、地元の閉鎖的な社会に溶け込むのが難しかったりと、地方移住にはメリットと同時にデメリットもある。なかには空き家をタダで提供したり、リフォーム代を補助したりと思い切った施策を打ち出している自治体もあるらしい。

日本国全体としても、国を挙げて同様のことに取り組むべきなのである。自分たちの立場をまだまだ理解できていないようだが、あれこれと難癖をつけて外国人を排斥していられる立場ではないのだ。

外国人は、「お客さま」なのである。ただでさえ、日本語という高いハードルがある。本来ならば、英語を準公用語にして、日本中、どこに行っても、たいていの場所で英語で生活できるようになれば良いのだし、そちらの方も併せて是非とも取り組むべきだと思うが、さしあたっては、日本みたいな閉鎖的な島国にわざわざお越しいただいて、日本語のような面倒な言語を勉強していただいて、日本で働こうと考えてくれるような奇特な「お客さま」を、我々日本人は国を挙げて大切に「おもてなし」するべきなのである。

にもかかわらず、外国人労働者というと、安い人件費でこき使う対象くらいにしか考えていない日本人が多すぎる。日本人が同じような扱いを海外で受けたとしたら、日本人はものすごく怒るだろうし反発するだろうが、自分たちの言動に関しては、ひどく鈍感なのである。

麻生太郎は、「2000年の長きにわたって、1つの民族、1つの王朝が続いているなんていう国はここしかないから、いい国なんだ」と言ったそうであるが、日本人が本当に単一民族なのかどうか、誰か科学的に検証したことがあるのだろうか。

見た目で判断しても、南九州とか沖縄にルーツを持つ人たちと、近畿地方あたりの人たちだと、同じ人種とは思えないくらいに顔かたちのつくりは異なる場合がある。南北に長い日本列島には、北方系やら南方系やら、いろいろなルーツを持つ人たちが混在していると考えるべきなのであろう。

要するに、たまたまご縁があって、同じ島国に昔から居住していただけであると考えるならば、これから移り住んできた人たちだけを排除する理由は説明しにくい。それこそ、自分たちは構わないが、これから来る奴らはダメというのでは、「島国根性」と言われても仕方がない。

いずれあと何年かすれば、国籍などは、ラグビーのW杯の日本代表みたいな「ゆるい」繋がりでしかなくなるのではないだろうか。一定期間居住する等の条件を満たせばオッケー。また気が変わって、他国に移住すれば、わりと短期間で別の国籍を取得するのも可といった具合になったとしても、別に理不尽だとは思わない。

そうなると、国民に支持してもらえるような、住み心地の良い国にしないことには、国民がどんどんと他国に流出してしまうことになるので、政治家も官僚も目の色を変えて行政に取り組むことになるであろう。「失われた30年」などと言われても、ちっとも経済成長をせず、給料も上がらないような国は、真っ先に国民に見捨てられるに違いない。


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