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役職定年について

メガバンクで役職定年制度、つまり、一定年齢で給与が下がる仕組みを撤廃する動きが目立ってきているという。

日経新聞の記事をそのまま引用するが、<銀行員は支店長や役員らを選抜する過程で、40歳代後半から順次関連会社や取引先の企業に出向・転籍するのが一般的だった。ただ採用の抑制もあり出向・転籍を加味しても社員に占めるシニアの比率は高まる見通し。ある大手金融機関は30年ごろに60歳以上の社員の比率が1割を超すとみており、シニアを職場でどう生かすかが業界全体の課題になっている。>とのことである。

前はシニアは適当な年齢になったら外に放り出していたのだが、採用の抑制もあって、シニア人材をうまく活用しなければ、組織がもたなくなってきたということであろうか。

僕なんかの時代は、50歳を過ぎた頃から、同期が徐々に関連会社か取引先に出向・転籍するようになり、役員にまで昇って、エラくなったごく一部の人を除けば、一定のポスト以上に昇進したメンバーは、「後輩にポストを譲る」というもっともらしい理由で、一掃されてしまったものである。

つまり、当時はポストの数と、適任者の数と比較すると、後者の方がダブついており、年長者から順番に間引く必要があったのだが、昨今は、そこまでやる必要がなくて、むしろシニア人材を活用しないと仕事が回りにくくなってきたということだろう。

まあ、身勝手なものである。間引くのも、間引かないのも、企業側の事情にすぎない。でも、営利企業というのは、そういうものなのだろう。

三菱UFJは、「シニアFA(フリーエージェント)制度」というのを導入する。これの概要は、<まず本部の50歳以上の2500人規模を対象に働きたい部署や分野の希望を募る。応募者には業務経験やスキル、アピールポイントなどを書いてもらい、人事部が本部や支店に応募者の一覧を匿名で通知する。その後、マッチングや個別の面接などを経て異動を決める。給与は異動後の職位に基づく。>というものであるが、どうして50歳以上の本部社員限定なのだろうか。

前にも書いたことだが、管理職のポストを原則としてすべて任期制にして、定期的に改選するようにすれば良いのだ。

「社内公募制」の徹底である。イメージは、オーケストラのコンサートマスターに近い。

年功序列的な人事制度を廃止するとともに、一旦、管理職ポストに就いたら、よほどヘマをやらない限り、職を解かれることはないことによる油断を排すること、やる気のある人に広くチャンスを与えること等の狙いがある。

もちろん、現職の管理者も留任を希望するならば、改選にチャレンジしても構わないし、もっと他のポストにエントリーしても構わない。ついでに言えば、社外からの応募も受け付ければ、適当に社内外の血の入れ替えも図れる。年齢などもはや意味をなさないとなれば、「役職定年制」もなくなる。

管理職になれば、「職務手当」がつくので、給料が上がるが、管理職を外れたら、「職務手当」がなくなって、給料が下がることになる。収入が上がったり、下がったりすると、生活が不安定になるという苦情が来るのかもしれないが、その辺は、多少は年功的要素を加味した「資格給」をベースにしつつ、「職務手当」はプラスアルファという位置づけにすれば、調整可能であろう。

米国などでは、既に年齢や性別、人種による差別は禁止されている。だから、履歴書にも年齢や性別を記載する欄がないという。本来、定年制度だって不要なのである。

そうなると、「辞めない奴が増えて困る」と言われそうだが、労基法を改めて、社員を退職させるハードルをもう少し緩和すれば良い。労基法によって、社員が保護されているプラスの側面と、必要以上に社員を会社に縛り付けてしまっているマイナスの側面の両方があることは間違いないからである。

でも、「メンバーシップ型雇用」か「ジョブ型雇用」か、なんてことが議論されているうちは、まだまだなんだろうとは思うのだが……。











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