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福岡旅行日記〜メシも酒もうまい編~

ただひたすら怖いと言っている前編からの続きで、今回は私がひたすら飲んで食った話です。

驚くことに、福岡空港と都心部はかなり近い。
ものの十分ちょっとで博多駅に着くのだ。東京では羽田まで出るのが少し面倒だと感じていたからこれはとても便利だ。すぐ飲み食いしに行けるじゃないか!
そんなうきうきの私のもとへ、かつて博多に住んでいた同級生から連絡がきた。

”博多駅横のマルイの地下に300歩横丁ってグルメ通りがあるよ”

連絡から間もなく300歩横丁を発見。隣接するマルイの地下も居酒屋ばかりで、ハシゴをする客も多そうだ。300歩横丁はまだ開いていなかったためマルイの居酒屋へ。正確にはKITTEという日本郵便の商業施設の中にマルイが入っているということらしい。この地下の部分はKITTEにあたる。

鯖のメニューに惹かれ、「ぬる燗ぞっこん離れ」というお店へ。

酒啜る
ズズズ…

始まった。始めてしまった。
五臓六腑に染み渡るとはまさにこのことである。

ゴマサバ
ゴマサバっていう魚の種類がそもそもあるってこの日初めて知ったよ。
しめさば
最高の炙りしめさば。
日本酒
”ぞっこん”って言葉が良いよね。

ごまさば、炙りしめさば、日本酒。
昼前から華麗にコンボを決めてしまった。たしか、明太子と海苔の入った厚焼き玉子も食べたはずだ。鯖はどれも脂がのっていて旨い。生臭さなど微塵もなく、身がしまっており噛むたびその食感すら楽しい。

福岡と書いてある地酒をひたすらチョイスしていたら思ったよりたくさん日本酒を飲んでしまった。さて次のお店へ行こうかしら。

ほろ酔って気持ちの良い気分のまま、私は駅ナカを探索することにした。
あてもなくただ歩みのままに、気のままに進むだけである。
こういう時に見つけたお店にノリで入るのがゲームっぽくて好きだし、良い出会いであることが多い気がしている。
さあ早く次のガソリンを入れないとガス欠してしまうかもしれない。私は燃費が悪いのだ。

てくてく歩いていくと居酒屋ばかりのゾーンを発見した。博多ほろよい通りというらしい。パッと見て良さそうな感じのお店に入った。

ハイボール
冷たくて濃いやつ。

即、濃い目のハイボールを身体に流し込みエンストを逃れた。
明るくオープンな店で入りやすく、昼間から賑やかで雰囲気が良い。女性の一人客もちらほら見かけた。私の記憶が間違っていなければ多分この店だ。

そのあとはホテルで思いっきり仮眠を取り、のんびり腹を減らしたところで夕飯へ。

見よ、この盛りを!!

天神のメインストリートから少し歩いていくと、立ち並ぶ店の雰囲気は賑やかな感じからおしゃれな佇まいへと変わっていった。その中でも和風で隠れ家っぽい趣のあるもつ鍋屋へ入店。
ここのもつ鍋が本当においしくて、2人がかりでいいちこのボトルを一本空けたほどだった。上に載っているのは焦がしたゴボウで、何より我々が驚いたのは梅干しが入っていることだ。写真に赤いものが見えると思う。これが甘めの汁に酸味と香りを加えていて、ちょうど良いアクセントになっていた。〆にそうめんがあったのにも驚いたが、ここは手堅くちゃんぽん麺でいただいた。店内の照明や内装は和モダン、おしゃれで落ち着いていて友達と来るのもよしデートにもよし、といった印象でぜひいろんな方におすすめしたいお店だ。また行きたい。

怒涛の情報量の一日を過ごし、酒も入っていたためその日はすんやりと就寝できた。
朝起きてゆったり身支度をし、昼になんとなく近くにあったチェーン店のラーメンをいただいたが、中途半端というか物足りないような味でハイボールで流し込んでしまった。勿体ないが致し方ない。旅だし、ハズレもある。

昨日から酷使した胃をなだめるため、景気づけに軽く飲んだあと友人にすすめられた公園に行きひたすらぼーっとした。ずっと家にいると私は衝動的に遠くへ行きたくなることがあるが、まさしくたまにはこんなふうに知らない土地でひとり過ごすのも面白いものだと思った。鴨とか鯉とか亀を眺めてあとは「なにもしない」をしていた。漫画だったら、書き文字でぽけーっと書かれそうな状態だ。

夜、私はどうしても行きたいところがあった。
夜になると街中に現れるという屋台だ。昼間あれだけ人が行き交う市街地に突如現れるなんてなんだか不思議だし、いったいどんな様子なのだろうかと想像しただけでワクワクしていた。
待ち合わせの時間より少し早めにホテルを出て、屋台の出ている真っ暗い夜の通りを散歩した。時折ジュウジュウという音と油のにおいがして、のれんの隙間から明かりと人の笑い声が漏れてくる。どこも活気がありとても好きな雰囲気だと思った。京都にいた時によく通っていた立ち飲み屋が密集しているところに少し似たあったかい感じが思い出されて、夜風に当たりながら私はひとりノスタルジーにひたっていた。

夜はこれからだ。

待ち合わせの時間になり、おいしいと噂の”まみちゃん”へと向かう。
「麦ロックください。」
「はい、麦ロックね。」

まっすぐ差し出されたグラスにはあふれんばかりの焼酎、ではなく実際にあふれる量の焼酎が入っておりこぼれた。あふれんばかりの量を入れてくれる店は知っているがあふれる量を入れてくれたのはこの店が初めてだった。

えっ好き。
好きすぎる。こんなことしてくれるなんてしあわせだ。なんて良いお店なのだろうかと感動しながら氷の解ける前の焼酎をすすった。

神、いわゆるゴッド

焼きラーメン、半ラーメン、ちくわ炒めを注文。
どれもこれもものすごい勢いで提供されて、とにかく旨い。
大将が接客も含めひとりですべてをこなしていくのだが、その手さばきが本当に鮮やかで素晴らしかった。目の前のフライパンをカンカンと鳴らし、次々に完成された料理がカウンターに並ぶ様子は圧巻である。

野菜もりもりな焼きラーメン
ちょうど良いサイズの半ラーメン。

おすすめの明太子屋さんも教えていただき、私たちはホテルへと帰った。
ここもまた福岡に来たら行かなくてはならない。
また、先日アップされたこちらのお店の紹介動画がYouTubeであっという間に一千万再生されていて驚いた。あの場のあったかいお店の空気感、おいしい飯とうまい酒、大将のすごさ、お店の魅力がぜんぶ詰まった動画だ。これを見たら最後、行きたくなるに違いない。

翌朝は帰りたくないようと言いながらホテルをチェックアウトした。
あちこち行きたかったが二泊では到底足りず、せめてもう一泊くらいはしたいところだ。

福岡のお店は全体的に安く飲み食いできて良心的で、最高の街だった。
空港の搭乗口のすぐそばにも何軒かせんべろの店があり、最後の最後まで飲んでって食べてってな感じが良いなと思いながら飛行機へ乗った。

またね。

羽田に着き電車に乗ったところで一気に日常に引き戻され、昨日までのことが全部過去になったように感じられて寂しくなったが、自分の手にはあの明太子の入った紙袋がしっかり握られていて、断片的だけれどあの時間や体験はまだここにあるのだなと思えた。

また行こう。
飛行機には乗らなくちゃいけないけれど。

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