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一介のサラリーマンが技術評論社から本を出版し、Amazonカテゴリ別1位を取るまでの軌跡

X(旧:Twitter)、ニュースレターで自動車業界の発信しているカッパッパと申します。

この度、23/10/26に技術評論社より「図解即戦力
自動車部品業界のしくみとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書」
の本を出版
することになりました!

そしてなんと、予約段階でAmazonカテゴリー別で1位!瞬間最大風速では本全体、総合のランキングでも200位台まで販売が伸びました。

一介のサラリーマンであるこのカッパッパが一体どのようにして商業出版にこぎつけることができたのか、そして本はどのようにして執筆され、出版に至ったのか。このnoteでは、その詳細を赤裸々に語りたいと思います。

この記事は

・商業出版をしてみたい
・本ができるプロセスを知りたい
・執筆のノウハウを知りたい
・本を出版するまでのカッパッパの悪戦苦闘の日々に興味がある

という方におすすめの内容となっています(最後の項目に当てはまる稀有な方がいらっしゃるかは謎ですが…)

企画段階を含めると約1年強。実際に「図解即戦力
自動車部品業界のしくみとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書」がどのように作られていったのか
、どうぞご覧ください。


技術評論社から声をかけられる

今回の本の出版は22年8月9日に届いた一通のメールから始まりました。

実際に届いたメール

このメールが届いた時の気持ちを端的に表すとこんな感じ。

小さいころから本が好きで、同人出版でショートショートなども執筆したことあるカッパッパにとって、出版社から声がかかることは望外の僥倖でした。天にも昇る気持ちとはまさにこのこと。

カッパッパのような一介のサラリーマンが本を出版するための一番高い壁はこの「出版社から声をかけられる」段階
ではどうすれば声をかけていただけるのか。
その答えは「需要が一定ある分野で継続的に有益な情報発信を行う」ことだと思います。

この22年8月段階でのカッパッパの実績は以下のとおりです。

①X(旧:Twitter) フォロワー数 約6000人 開設から3.5年 自動車業界のニュースを発信 ほぼ毎日つぶやく
②ニュースレター購読者数 約2100人 週1回ニュース解説+有料レター発信
➂noteにて「どこより詳しい業界研究 自動車業界/完成車メーカー」を3年連続で執筆 自動車関連の記事でバズる
④大手ITメディア「Monoist」で「いまさら聞けない自動車業界用語」連載

今回、連絡をいただいたのはnote経由であり、➂が出版しませんかと声をかけられた一番大きな理由なのだと思います。私と同じようにサラリーマンで商業出版をされた猫山課長もカッパと同様、noteでの発信が出版につながっています。noteは出版社から注目が高いメディアであり、継続的に有益な記事を書くことができれば声がかかる可能性は高そうです。

ただnote単体では記事が読まれず、PVが伸びません。そのためにSNSを活用して宣伝する必要があり、X(旧:Twitter)やインスタ、Youtubeなどと連携する必要があると思います。カッパも④「Monoist」さんから連載をいただいた要因はX(旧:Twitter)によるもので、SNSでの発信+拡散のためのフォロワー数の獲得が出版のためには必要なのだと思います。
その上で発信する情報も一定の需要が見込まれる+ほかに競合がいない(もしくは少ない)ことが求められます。カッパは自動車業界+部品で一定の存在感をSNS上で得ていたことが出版につながったと考えています(そこまで戦略的にとりくんでいたわけではなく運なんですが)

そして継続的な発信を続けるためには、文章を書くのが苦ではないことが必要です。カッパは週2回ニュースレターを書き、X(旧:Twitter)もほぼ毎日つぶやくツイ廃ですが、これは全く苦になりません(むしろメンタルが最大限しんどい時でもX(旧:Twitter)だけはできる)。毎日つぶやくのしんどいと感じる人や月に1回noteに記事を継続的に上げるのが難しそうと思われる方は、出版は難しいかもしれません。(本を書くのもかなりの時間と忍耐がいる)

企画を練る/出版が決まる

連絡を受けて、編集者に快諾のメールをおくり、オンラインで打ち合わせをしました。その結果、下記のコンセプトが決まりました。

①自動車部品に焦点をあてる
②対象は就活生、コンサルなど業界のことを包括的に学びたい人
➂図解を入れてわかりやすく解説する

ただこの段階はまだ出版は未決定。本の構成、企画を出版社内で検討し、OKが出ないと本は出版されません。そのためには本の企画書を書く必要があります。

企画にあたりまず行ったのが、インプット。編集者の方から他の即戦力図解シリーズを複数献本いただき、どのような構成になっているかを勉強しました。加えて、自動車の部品についても包括的な理解を深めるために自動車部品全体の技術書をチェックしました。

実際に読んだ本がこちら

これらを踏まえた上で9月に構成案を編集者さんに送付。

実際に送った構成案

構成案に対して打ち合わせを含めてフィードバックをいただき、修正すること複数回。カッパと編集者さんで合意できる内容に至ったのは11月の半ば。約3か月の時間がかかりました。

出版社内で出版のための会議に修正の完了した構成案が提出され見事出版が決まりました!

仲間を募る/スケジュールを建てる

今回の業界解説本は基本的に見開きで左が解説、右が図解の約200Pの構成。そうなると書かなくてはいけない項目数は約80~90個必要になります。執筆にかけられる時間は1日1時間(週2回のニュースレター発信を含む)→1項目を書くのにかかるのは約3日。カッパ一人でこの数を書ききると1年経っても書ききれないことが分かったので、共同執筆者を探すことにしました。

そこで白羽の矢が立ったのが矢野経済研究所の藤谷さん。以前、ニュースレターの執筆をお願いしたことがあり、仕事として自動車業界のリサーチをされており、業界動向にに大変詳しい方。一緒に本を出しませんかと依頼したところ、快諾いただき、共著として出版することになりました。一人では絶対に書ききれなかったと思うので、ご協力いただいて本当に良かったです。

共同執筆者の方も決まり、3者で打ち合わせを実施。構成案に基づいてどの章を誰が担当するかを決めて、構成を再度見直しました。今回見開き、右の図解に関しては執筆者がイメージを伝えた上で出版社さんが準備する形に。

実際に完成したページ

そして重要なのはスケジュール。就活で業界研究の需要が高まる10月の刊行を目指し、5月中の原稿完成→6~8月に図の作成→9月にゲラ確認→刊行のスケジュールで進めることを合意しました。

執筆する

さて本格的に本の執筆へ。カッパは1月にニュースレターを書きだめておくことで2月はほぼ本の執筆に専念して、1つの項目ずつ書き上げていきました。今回は1Pあたり約800字。事前の構成を基に、①下調べ(本/ネット)、②アウトラインの決定、➂執筆、④推敲の順で書き進めました。①②で1日、➂1日、④0.5日くらいが標準ペース。自分の得意する分野は早い一方で、専門外の分野は間違いのないよう、本、文献をあさり、構成を考えるため時間が多少伸びて、1週間ほどかかるページもありました。

なお執筆はgoogleドキュメントを使用。書いた原稿を共有のフォルダにいれて構成のスプレッドシートを消しこんでいくという方法を採用。

実際に作業したフォルダ 終わったら「★」をつけてわかるようにしていた

さて章ごと、項目ごとにいつまでに完了しようという目安は設けたものの、やはりスケジュールは遅れるもの。思った以上に筆が進まずに、当初立てた計画よりも後ろ倒しに。
ここで重要だったのは定期的な進捗確認の打ち合わせ。実際に時間を取って、3者で打ち合わせることで、困りごとや遅れ状況の共有ができる。また「打ち合わせがあるからその前にやっておかないと!」という意識が働くので打ち合わせ前に執筆が一気に進むということが多数ありました。
定期的な時間を取っての打ち合わせは原稿の執筆を促す効果があり、本を書ききるうえで必須だと思います(顔を合わせないとどうしてもさぼりがち)

カッパも本業がばたばたしながらも朝1時間の執筆時間を確保して、何とか原稿を書き上げていき、当初予定していたGW明けから遅れること1ヵ月半。6月末には本文を全量書き上げました。
ただ実際は右の図解をどうするか決めていないページが多数あったため、イメージを伝えられている章から図の作成を進めてもらいました。全体の図まで終わったのは実は8月。当初の予定よりも3か月遅れ。。。(スケジュールとは)
ただスケジュールを立てないと進捗そのもの管理ができないので、最初にスケジュールを立てることは本の執筆ではマストだと思います。

図を作る

図のイメージについては伝えているものの、実際にできるとこちらが想定したモノとはかけ離れていたり、わかりづらいものがあったため、随時修正をしていきました。

印象に残っているのはガソリン車と電気自動車を比較したページの代表車種。出版社さん側は同じメーカーでガソリン車と電気自動車を比較した方が分かりやすいだろうということでスバルの「フォレスター」と「ソルテラ」を選択していただいたのですが、この違い玄人以外にはまずわからない。

一般の方には「フォレスター」と「ソルテラ」のパワートレイン違いはわかりづらい

この点を指摘して最終稿ではガソリン車「ランクル」と電気自動車「モデル3」に写真を変えてもらいました。こちらの方が断然わかりやすい(はず)

モデル3はいかにも電気自動車っぽい

このように図の修正を進めて…とここでもやはり進捗に遅れが発生。当初は8月末から9月中旬には終わる予定でしたが、一部の図は9月末までずれ込んでいきました。

原稿をチェックする

図の完成まで終われば最終の原稿チェック。実際に本のページに落とし込んで誤字チェックや文量の調整と図の修正を実施。
カッパはPDFをiPadにダウンロードした後に、Apple Pencilで手書きで修正箇所を書き込む→完了分をアップロードして連絡するやり方で作業を進めました。本を執筆したことのある友人に聞いたチェック方法でしたが、すごく効率的かつ作業がやりやすかったので、同様のチェックをされる方に大変おすすめです。
また修正箇所の連絡はGithubのIssueを使って管理して、カッパ/矢野経済研究所/編集者の3者で漏れがないように進めました。

実際にチェックした原稿 字が汚い

ただ今回は当初の予定よりも遅れていたので、時間がなく、来た原稿をほぼ1日で確認して返信するという過密スケジュール。ドタバタながらもなんとか期限に間に合わせ、印刷所に入校。10/26刊行までたどり着くことが出来ました。

宣伝する

こうしてようやく完成した本。技術評論社の新刊案内に10/11に登録がされました。ここまで時間と労力をかけて書き上げた自信作。何とか売れてほしいのでX(旧:Twitter)で宣伝を実施(ダイレクトマーケティング)

このツイートをすると、フォロワーさんから続々とご購入報告が。本来、カッパが献本してご感想をいただこうと思っていた方のほとんどにご購入いただくという大変うれしい結果に。
普段からフォロワーさんと良好な関係を築き上げてきた結果、多くの方にご購入いただけることになりました。日ごろのSNSでの行い、営業を行う際には非常に重要であるを実感しています(ツイ廃であることが功を奏しました)

反省と振り返り

今回の本が出版されるまでの過程とそこでの振り返り(重要ポイント)をまとめると…

声をかけられる: 需要のある分野で継続的に有意義な情報を発信する。媒体はnoteがおすすめ。ただしnote単体だと拡散力がないためSNSの活用が必要

企画を練る:必要と思われる知識のインプットを行ってから、複数回見直しを行う

スケジュールを立てる:自分のペース、リソース、締め切りを踏まえてまず最初に執筆計画を立てるのが大事

執筆:どうしても遅れがちなので定期的な進捗確認の打ち合わせを入れましょう

宣伝する:SNSを活用して、積極的に営業しましょう。普段の関係構築が重要

今回、本を出すことができたのは「たまたま運が良かった」からと思う一方で、運をつかむことができたのはいろんなことを失敗しながらもたくさんチャレンジしてきた=打席に立ってきたからだとも思っています。効率性を追い求めるのなら、何にチャレンジするか頭を使って、自分のリソースを割り振りましょうとなるのでしょうが、頭のさえないカッパにとって「何が最適か」はさっぱり見えてきません。自分が得意なこと(苦にならない)が何かを考えて(カッパの場合は「書くこと」「ツイ廃であること)、いろんなチャレンジをしていくのがええのではないかと思っています(カッパもいろんな失敗をしてきました)

さて。こうして出版される
「図解即戦力
自動車部品業界のしくとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書」
手前味噌で恐縮ですが、自動車部品業界のことはこれ1冊でわかる、非常に内容に優れた1冊になっています。自動車部品業界を受けようと考えられている就活生のかたはもちろん、業界のことを知りたいコンサルの方や投資を考えられる方にもおすすめの1冊です。
また自動車業界の最新動向を盛り込んでいるので、自動車部品のみならず、完成車メーカーを含めた自動車業界全体の「イマ」を知りたい方にもピッタリです(そんじょそこらの雑誌の記事よりも内容は充実していると思います)

この記事を読んで興味を持たれた方はぜひ一度書店で見ていただく、そしてよろしければご購入いただければと思います。(本当に自信作なのでたくさんの方に読んでいただきたいです)

大変長い記事を最後までお読みいただきありがとうございます。一介のサラリーマンでもネットでの発信を継続的に行えば、本が出版できる世の中(多少の運はあります)。

本を出版してみたい方、まずは

・SNSのアカウントを作って、特定の分野の情報を発信(できれば毎日、少なくても週3以上)し、フォロワー1000人を目指す
・noteで継続的に記事を発信(月1回以上)し、SNSで拡散する

から取り組んで見られてはいかがでしょうか。あなたの「出版社から本を出す」夢がかなうかもしれません。

本を出したい、また実際に本をこれから出す方に、今回の記事が少しでも参考になればと思っています。もしこの記事を読んで、カッパに相談したいことがあればX(旧:Twitter)にてご連絡いただければ!


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