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【2021年版】中の人がガチでやるどこより詳しい企業研究 ~トヨタ/日産/ホンダ編~

みなさん、ご安全に!カッパッパと申します。

昨年に引き続き、今年もやります

中の人がガチでやるどこより詳しい企業研究 ~トヨタ/日産/ホンダ編~

自動車業界(部品メーカー)で働き、毎朝日経/ネットで自動車ニュースをチェックするカッパッパが丸4日以上かけて30000字近い分量で書いた自信作です。

昨年は300部以上ご購入いただき、大変ありがとうございました。就活生、また業界関係者の方から高評価いただき本当に嬉しい限りです。

このnoteでは販売台数上位3社、国内自動車メーカー御三家と言われるトヨタ/日産/ホンダの企業研究となっています。


このnote内容は基本的に昨年と同様の構成にしながら、2021年版にアップデート全面改稿しています。

完成車メーカー全体についてまとめ、コロナを含めた現状の経営状況、強み/弱み、中長期計画/CASEへの対応、注目すべきニュース

2020年12月現在の最新のデータを使い、どの企業研究よりも新しい情報になっています。その上リンク付きで作成することで深く学べることができる記事にしています。

また企業研究は業績、事業内容だけでなく、個人の働く環境、待遇もとても重要。

社風/年収/残業/年休消化率/3年離職率/勤務地

についてもまとめました。

これさえ読めば、企業研究は大丈夫。就活では選ぶ上でも役に立ち、選考の時には周りと一歩差をつけることができる。業界関係者の方は、客先や競合の状況を総合的に掴むことができる。

就活生はただでさえES、面接の練習、OB訪問/社会人の方は目の前の仕事が手一杯でかなり忙しい。企業研究はこの記事でやりきってしまいましょう!!

就活生の方、会社を選ぶ、そして面接を受けていく中で大事なのは「自分の考えを深く持つこと」です。この記事を鵜呑みして語っても、自分の思いがなければ薄っぺらに聞こえてしまいます。


メーカーの基本は「現地現物」。
今回の記事だけでなく、会社説明会やOB訪問、面接を受ける中で感じた社風、会社の良さ。そうした「現地現物」の情報を自分の言葉で語ることが内定につながります。

自動車業界、働く環境はかなり恵まれています。

「自動車業界は良いぞ」
「完成車メーカーは良いぞ」

このnoteを通じて自動車業界で共に働く方、またこの記事を自分の仕事に活かせる関係者の方が増えたら嬉しいです。

さて前置きがずいぶん長くなりましたが、
中の人がガチでやる自動車業界企業研究 ~トヨタ/日産/ホンダ編~
どうぞお読みください。

*企業研究のために使用する基データは
・日頃収集している自動車業界ニュース/レポート
・IR資料(決算報告書、中長期計画、年次報告書等)
・新卒採用サイト
・就職四季報
・オープンワーク
をベースにしております。


①完成車メーカーの販売台数/規模

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まず昨年、2019年の各社の販売台数(国内)。
2019年は国内では520万台前年比△1.9%、ただその中でも1位トヨタは151万台、+2.7%と販売台数を伸ばしました。他各社は販売台数減、特に2位日産の台数が36万台、前年比△13.8%と大きく減少しています。

今年2020年は果たしてどうだったのでしょう。コロナによるロックダウン/操業停止に伴い、日本では4-6月にかけて大きく販売/生産が減少しました。2020年度上期(4~9月)の販売台数は202万台、前年比△22.6%。リーマンショック時を超える落ち込みです。7月以降は徐々に回復を始め、10月は前年比プラスになり、年末にかけようやく販売が戻ってきたといえます。このコロナ禍、各社の回復状況に非常に大きな差が出ました。この点については後述します。

また海外についてはどうなっているのでしょう?2019年1位はVW:1098万台、2位トヨタ:1074万台、3位ルノー/日産/三菱:1015万台。ここまでが1000万台超えグループになっています。各社得意とする地域が分かれており、個別の分析で細かく見ていきます。

コロナ禍の2020年。海外でも同様に販売が大きく減少しました。世界各地で時期が異なりながらロックダウン。その後回復に向かうものの、地域ごとにより大きな差が出ています。マクロ全体の動向については自動車業界研究編を参照いただけたらと思います。

海外においても完成車メーカーによって販売状況は異なり、大きくシェアを伸ばしたメーカーもあれば、回復が遅れているメーカーもあります。各社の企業研究部分で詳細に解説します。


②完成車メーカーの働く環境

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仕事を選ぶ上で待遇は非常に重要です。いくら仕事内容が楽しくても生活できなければ生きていくことはできません。
完成車メーカーで働く環境はどのようなものなのでしょうか?

各社に差はありますが、一般的な業界と待遇、特徴について比較します。

1.給料

給料はメーカーの中では高めです。業界地図2021年版では平均年収は732万円。全業界の中で18位となっています。ただし商社や金融と比べると低く傾向にあります。
年功序列のため、20代若いうちは伸びないが、職位が上がる、役職がつくと一気に伸びることが多いです。
また評価による給料の幅は他業界に比べて少なめです。

各社の給料については下記を参照。ただしこちらは有価証券報告書を基にしており、現場、工場の正社員も含まれるので大卒の給与平均とは異なりますので、注意が必要です。

2.福利厚生

福利厚生は他業界と比較し、かなり手厚いです。もちろん会社によりますが、寮、社宅、家賃補助などの住宅補助、家族手当、特に車に関わる購入や保険などでも補助は充実しています。一切補助のない企業に比べれば、計算上年間100万以上差があるなんてことも…
就職、転職の際にはこうした直接の給料には含まれないお金も見ておいた方が良いでしょう。

3.年休消化率

年休消化率は高水準です。完成車メーカーは「大企業」であり、働き方改革が一般的に進んでいます。加えて車業界は労働組合が強く、年休消化の目標設定が高く設定。年休無所得者には上位の管理職にフォローが入るなど、内部での圧力が強いです。ちなみに完成車メーカーではありませんが、私の昨年度の実績は15日でした。

4.残業時間

残業については正直同じ会社でも部署/時期によって変わるので一概に語ることは難しいです。ただ、昨今のコンプライアンスへの取り組み強化からサービス残業はなくなり、働き方推進、生産性の向上が掲げられていることにより年々残業時間は減っている傾向にあります。コロナ禍では残業抑制を求められることも多く、36協定を超える残業(45時間/月)はかなり少なくなってきた印象です。
(ただし残業は本当に部署によって違います)

5.在宅勤務

この1年で一番大きく変わったのは在宅勤務の在り方です。これまで自動車業界では「現地現物」が重視され、実際に足を運ぶことが重視されてきました。しかしコロナ禍により状況は一転。集団接触を避けるため、自動車業界でも在宅勤務が推奨されるようになりました。多くの大企業では在宅勤務が導入され、コロナ禍以降でも随時進められていくでしょう。

実際に働いている身として在宅勤務するかどうかは、仕事のやり方、QOLに大きく影響します。新しく自動車業界に入られる方はどのくらい在宅勤務が勧められているのか確かめておくと良いでしょう。

6.昇進

昇進に関しては現状、典型的な年功序列。20代若手のうちではほとんど差がつかず、30代で役職につく段階で差がつき始めます。早い場合で係長が30前半、課長になれるのが40歳前後。早めにマネジメント経験を積みたいという方は合わないかも知れません。

7.勤務地

各社それぞれに生産拠点があり、その場所をベースとして海外を含めた転勤があります。基本的に生産拠点は都会にないので、ビル街のオフィスでスーツで颯爽と仕事をする、自動車業界ではかなり難しいです。海外での売り上げ比率が高いため、若い段階で駐在する人が他業界と比べ多いです。

8.その他

完成車メーカーは知名度が高いです。これは地味に重要で、親や親戚に就職を報告/相談する際に困らない、喜ばれる、会った人からの評価されやすい、工場の周りではその企業であるというだけで絶大の信用があったりします。

ただこれまで挙げた働く環境については今後2020年代で見直されていく可能性が非常に大きいです。
終身雇用に関しては最大手のトヨタが「継続は難しい」と述べており、構造改革の最中である日産/三菱も大規模な人員削減を行うことを発表しています。
中途採用比率を上げる(下記の記事にあるトヨタのEV部門は半数以上が転職者とのこと)、賃上げを評価に応じて実施する等のニュースもあります。現状の働く環境は上記に書いた内容で間違いないですが、今後は間違いなく変わっていくという前提で企業を見ていくことが良いでしょう。


ではおまたせしました!
個別の完成車メーカー毎の企業研究、やっていきましょう!!

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