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「使えないおっさん」になれなくなった社会で

あなたの会社にはこんなおっさんがいないだろうか。
 一体何の仕事をしているのかわからない、会議に出てきては的外れな意見ばかり言う、パソコンの業務をするものの若手よりも随分とスピードが遅い、仕事を振られるとのらりくらりとかわしていく。
「使えないおっさん」である。

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40半ばを過ぎて、役職がない。また役職があっても、マネジメントなんてできておらず、上の言うことをそのまま下に流すだけ。責任も取ろうとしない。
ただ年功序列なので給料は高い。
若手からすれば「自分の方が仕事してるのになんであんなおっさんが俺よりも給料もらってるんだ」
そう思われる「使えないおっさん」。
 どんな職場にもいるのではないだろうか。

そんな「使えないおっさん」は認められなくなる。


45歳を目処とした人員削減が進んでいる。
昨年、大企業でリストラが相次いで発表された。コロナが来る前、景気が今よりも断然良かった去年でも。 


今年、コロナを機にますますリストラは加速していくだろう。
「使えないおっさん」をターゲットにして。

「使えないおっさん」は確かに会社にとって重荷だ。パフォーマンスは低く、将来性もない。ただ給料は高い。
リストラするなら「使えないおっさん」から。その理屈は正しい。
「使えないおっさん」に対する目は厳しい。「日本型大企業に入って、おっさんたちが使えなさすぎる」といったツイートはTwitterでも定期的に上がってくる。

すべての人がパフォーマンスを上げられるわけではない。出世の道が閉ざされ、雇用も保証されるのであれば、頑張らない方が合理的なのだ。加えていえば、使える/使えないを単純に分けると、半分は使えない分類に入る。ただそれでもおっさんの給料は高い。会社からすれば重荷であり、若手のモチベーションを下げる存在でもある。

「使えないおっさん」が切られていくのは間違いない。それだけの余裕は日本企業はなく、社会の変化の早さは終身雇用には適さない。メンバーシップ型よりジョブ型雇用に移っていく。

仕方がない変化だ。

ただ「使えないおっさん」も辛い。自分の限界も見えていて頑張っても出世できる範囲は限られる。他社に移れるだけのスキルがあるわけでもない。子供がいれば高校生、大学生で1番お金がかかる時期である。
リストラされれば、給料は大幅に下がり、仕事も1から慣れないことを新しい関係の中で始めないといけない。

「ざまぁ」と自己責任で語ることは簡単だ。だけど、「使えないおっさん」の多くはなりたくてなったわけではない。

新卒一括採用、年功序列、終身雇用。日本型の雇用システムは「使えないおっさん」を生み出すようにできている。若いうちは給料低く働いてもらい、年を経るにつけ給料を上げる。定期的にジョブローテーションを回す。雇用も保証する。気がついたら自社でしか使えないスキルを持った中年になっている。


またスキルの高い人であっても、健康や家族の問題で働き方が限定され、パフォーマンスを発揮できない状況に追い込まれることはある。

「使えないおっさん」を散々馬鹿にしている若いあなたも「使えないおっさん」になる可能性は十分にある。

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もちろん、「使えないおっさん」にならないよう努力することは大事だ。今30代半ば未満の若手には、そうした働き方がこれから求められるのだろう。
「会社の言うことさえ聞いていれば、定年まで安定。」キャリアを会社から与えられていた時代は終わり、自分でキャリアを切り開く時代が来る。

とまあ、頑張らないといけないので頑張るのだけど、「使えないおっさん」になりたかったなあと思うのである。これまで、会社を1番うまく活用していたのは「使えないおっさん」だったのだ。頑張らなくても給料高い。コスパ良い。
ある意味、憧れだ。
残念ながら、「使えないおっさん」になる道は残されていない。40半ばで首を切られても、すぐに転職できるようなスキルつけるしかない。家族を守るためにも。


「良い会社に入れば、もうそれで人生は安泰だ」が終わり、就職してからもコケないように、ずっと自転車でこぎ続けるように頑張る時代。それが当たり前だと言われればそうだが、大変な時代になったものだ。ただ自分たちには体の健康もあるし、家族と過ごす時間も必要だ。
仕事は全てじゃない。ライフとワークのバランスも自分で決めてやっていくしかない。


自分の未来を考えて、頑張り過ぎずに、今も楽しみながら、できることを一個一個頑張っていく。とっても大変だけど、より良く生きていくためには必要なことだ。このnoteを読んでくれる人は同年代の人が多いと思う。これからの社会、なかなか大変ですが、なんとかやっていきましょう。

そんなことをもやもや考えている。

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