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近所のおっちゃんの本当のところ

近所のおっちゃんに、周囲からの評判があまりよくない人がいる。
私の両親が、その人と何人かのグループで旅行に行ったとき、誰も手を付けていない料理を一人で平らげてしまったり、身勝手な行動が多くて大変だった、という噂をことあるごとに聞かされている。



そう。それは他人から聞いただけの”ただの噂”なのだ。


実際私が目にしたおっちゃんは、とても尊敬できる人だった。
地元の祭りの打ち上げの時、各テーブルを回り場を盛り上げていた。確かに少し抜けている所はあったが、気を遣って誰とでも話すことは簡単なことではないと思う。締めの挨拶も、カンペなど持たずともスラスラ話せてしまうおっちゃんはとてもかっこよかった。




他人の情報を鵜呑みにしてしまうと、”本当”のものが見えなくなっていく。それが親しい間柄の人からのものであればなおさら見にくくなる。
本当か嘘か定かでない情報で、私は危うくこんなに素敵なおっちゃんをダメ人間として判断してしまうところだった。


これは、よく周りに振り回される私の性格が故なのかもしれない。ただ、噂というものは本当に厄介なものだ。それは時に、人を死に追い込んだり、誰かを信じられなくしたり、夢を諦めざるを得ない状況に置いたりしてしまう。「自分で目にしたものしか信じない」と、心から、揺らぐことなく誓うことができたのなら、どれだけ楽なのだろう。


何か情報を得たときに、その表面しか見ることができないのはどこか寂しいなあと思った。その裏側には何があるのか。そこまで想像することが、”本当”にたどり着く一番の近道なのかもしれない。



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