事故当日と翌日で主張することが180度変わる人の特徴
長年、保険の仕事をしていますと、こんなことが良く起こります。
「事故現場では、事故相手は『私が悪い』と平謝りだったのですが、翌日になると『あなたが悪い』と手のひらを返すような事を言い出した」
なんとも驚くべき主張の変化ですが、いったい何が起こっているのでしょうか。
言葉はアテにならない
交通事故が起こると、前述のような出来事は、よくある話です。現場では相手が「自分が悪い。ごめんなさい」と平謝りをしていたと言います。こちらとしては、じゃあ相手の保険で全部対応できそうですね、として手を放したいところです。しかし、だいたい2割くらいは「状況が変わってきた」というご連絡を頂きます。
現場では自分が悪かったと平謝りしたけど、後になって「やっぱりそちらが悪い」と言葉を翻す人にぶつかることがあります。まあ、なんとも潔いくらい180度の転換をやってのける人がけっこういるのです。
事実はどうなのかは正直わからないことが多いです。最近でこそドライブレコーダーなどで現場の映像が証拠として残っていることも増えましたが、案外ドラレコから映像を取り出すことができるケースって少ないものです。なぜかはまた別の機会にお話しします。
現場での言質はあてにならないことがある。この事は肝に銘じておいたほうがいいかもしれません。
自分の言葉を180度翻す人の特徴
ここからはあくまで私の主観です。表面的な事実だけでは見えない、内面の世界を私の感覚で紐解いていきたいと思います。
現場で言ったことを、翌日には平気で覆す人というのは、どんな人だと思われますか?
・すごく強い人?
・悪い仲間がいる人?
・専門家がバックについている人?
私の感覚としては、どれも微妙です。シンプルに一言で表すなら、
「自分の意志を重視しない、周囲に流される人」
であるケースが圧倒的に多いと感じています。
表面的には、けっこう凄んでくる人もいるし、
逆に、あたふたとハッキリ物事を言えない人もいるけど、
どちらも精神的には、「自分の意志を尊重していない人」であることが多いように感じます。
入れ知恵説
こう言うことが起る場合は、たいていこんなストーリーが想像できます。
現場では、とにかく迷惑をかけたということで謝って自分が悪いと言ったわけです。いち早く現場を立ち去りたい。しかし、そのことを後に周囲の友人に話すことで、周囲の人はいろんなアドバイスをするものです。
・こちらが謝ったら非を認めることになって損をするぞ
・少しでも過失割合を相手に被せれば、こちらの負担は減るから得
・そもそもお前は悪くないんじゃないの?
周囲の仲間は、仲間びいきからその人の事を思ってアドバイスくれているはず。すると、その人は、自分の意志を尊重することなく、周囲のアドバイスに従おうとします。たとえば、相手の車に追突したとして、相手が少しでも動いていたら、相手にも責任があるのではないかとか、自分の責任を棚に上げて、相手を責めようという話になりがちです。
それを真に受けて、事故を起こした本人は、きっと相手が悪いに違いない、なんて思いこんで一旦は認めた非を、頑なに認めなくなっていったりするように思います。
自分の主張は正しくない?
こうなると交通事故解決の現場としては泥仕合。結局は証明できるところまでは証明するけど、証明できないことは最終的には双方の譲歩が必要になります。つまり、誰もがスッキリとしない終焉を迎えてしまいがちです。
このように言葉を覆す人の特徴を、私は「自分の意志を尊重していない人」と言いました。この人はたぶん、はじめの事故発生時は平謝りでした。それは二つの考え方ができると思います。一つは、「その時感じていた、”自分には非があまりない”という思いを事故相手に伝えることを抑えて、その場を収める為だけに謝っていた。その後、現場をわかれて電話の取引になってから自己主張を始めた」ということが言えるかもしれません。もう一つは、「現場で謝った気持ちが正直な自分の思い。だけど、周囲のアドバイスを無下にすることもできず、自分の記憶や思いを無視して、アドバイス通り動いた」というパターン。
いずれにしても、自分の意志をないがしろにしているようにしか見えません。もう少し突っ込んで言うと、自分の考えは間違いで、誰かのアドバイスが正しいというかたよった前提で物事を見ている可能性があるんじゃないかと思います。
で、不思議な話ですが、こういう人って事故やトラブルに巻き込まれやすい傾向があるように思います。それはもしかしたら、「そろそろ、自分の主張に注目してやれよ」という天のメッセージじゃないかと思うのです。もしそうだとすると、彼はそれに気づき、行動を変えるまで、トラブル→周囲のアドバイス→アドバイス通りに動いて物事を複雑化させるというヤヤコシイ人生を繰り返すのではないでしょうか。
自分の考えとか、自分の素直な感覚。
大事にしたいものです。
内容とは全く関係ありませんが、私はこんな本の著者です。
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