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毒になる親 完全版

※私が読んだ本の書き出しとざっくりした内容を書き留める読書記録です


はじめの一行

はじめに

「そりゃあ、子供の頃父親にはよくぶたれたけど、それはぼくが間違った方向に行かないようにしつけるためだったんですよ。そのことと、僕の結婚が破綻したことが、いったいどう関係あるんですか」
そういったのは、腕がいい事で評判の三十八歳になる整形外科医だった。彼は六年間一緒に暮らした妻に出ていかれ、私のところにカウンセリングを受けに来ていた。なんとかして妻には戻ってほしいのだが、彼女の方は彼がかんしゃく持ちの性格を治さない限り絶対に戻らないといっていると言う。

毒になる親 完全版(スーザン・フォワード)

まさにカウンセリングの一シーンを取り出したまえがき。一見関係のないように見える、子ども時代の親の厳しさと、結婚の破綻という二つの事柄が、実はつながっているということを示しています。それはつまり、子供の頃の親との関係が、大人になった現在の生活における問題とつながっている、という構造を伝えるためには最も効果的な一行と言えるかもしれません。さらに、クライアントが「腕がいい事で評判の整形外科医」というところも微妙に子供時代の体験の影響である可能性も高いということがあり得ると思います。ある意味なぞかけとなっているかのようなのがこのまえがき、という印象を受けました。

本書の内容

「毒親」という言葉の生みの親

7~8年くらい前でしょうか。日本でも「毒親」という言葉が知られるようになっていろんなところで使われる言葉になったのは。
その本家本元と言われているのがスーザン・フォワード氏。そしてこの本です。
もともと1989年ごろ発表された「毒になる親」は、その後も読み継がれてきましたが、当時カットされた内容も含め、最近日本では「毒になる親 完全版」として復活しました。

中身はまさに毒親とそこで育てられた子供が、毒親にどのように支配されそこから抜け出すかを論じた一冊。著者の豊富なカウンセリング体験をもとにつづられているようです。

まず毒親というものはどういった物かというと、親の子への接し方の問題で、子どもにあまりよくない影響を与える親という感じの定義かと思います。代表的なのが、暴力や育児放棄。本書の事例によると、親がアルコール中毒でしばしば配偶者や子供に動力を振るう親、子どもに静的な虐待を行う親など、なかなかに激しいケースがたくさん取り上げられています。そうしてそういった子供時代の経験が、その人の人生を狂わせていく過程を心理学的に解説しています。

ざっくりいうとこういった虐待を受けた子供は、その原因を「自分が悪い」という風に受け止める傾向があるようです。親が夫婦げんかするのも、自分に嫌なことをするのも、自分のせいである、と受け止めがち。だから一生懸命いい子になろうとする。結果、表面的には成績が良かったり、仕事が良くデキたりするのだけど、そのモチベーションは親から見放される恐怖というところが源泉だったりするので、たいていどこかで破綻するようです。そういった話の一例が冒頭の整形外科医の話にも表れているのではないでしょうか。

毒親との決別

本書においては、毒親に育てられたとき、子どもは親とどこかしら一体化しているというか、同化している傾向があるように思います。親が何かをすると、それは自分と関わりのあることである、という風にとらえがち。まずそういった、親との強すぎる一体化を分離させることを考えることが大事なようです。親が怒っていても、自分と結びつけないという感じでしょうか。そして、可能であれば直接彼らに自分の怒りや悲しみを表現してみる。それで相手が変わることを期待するのではなく、吐き出すということを目的にして彼らに伝える。そういった段階を経て、心理的に親からの独立を勧めている一冊です。

本書は実際に毒親との関係に苦しんでいる人にもおすすめですが、そこに至らないまでも親子関係の中に何かしらわだかまりのようなものを持っている人でも読んでいただければいろんなことが理解できるのではないかと思います。これは少しデフォルメした形に見えるかもしれませんが、自分の過程でその縮小版がおこっているかもしれません。構造がわかると、対処法も見えてくると思います。そんな風に役立てていただきたい一冊です。

いやーーー、読書って素晴らしいですね。

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ちなみに私はこんな本書いてる人です。


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