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心がつながるのが怖い 愛と自己防衛 (心理療法士イルセ・サンのセラピー・シリーズ)

※私が読んだ本の書き出しとざっくりした内容を書き留める読書記録です


はじめの一行

はじめに

私は牧師として、また後に心理セラピストとして活動するなかで、人間関係でつらい体験をしてきた人、もしくは愛情溢れる人間関係を築けたことが一度もない人と、対話してきました。
愛と自己防衛について講演も行ってきたのですが、そこで人間関係を築く際、また今ある関係を続ける際、どのような心の機制が働いているのかを知りたい、という声が多く上がりました。

心がつながるのが怖い 愛と自己防衛 (心理療法士イルセ・サンのセラピー・シリーズ)(イルセ・サン)

著者の自己紹介、および本の成り立ちの紹介ということで、落ち着いた感じで始まる本書。さて、本書の中身はどんなものなのでしょうか。

本書の内容

自己防衛の戦略

人間関係がイマイチうまくいっていない人のメンタルを見ていくと、多くの場合自己防衛の戦略をとっているといいます。それは無意識に発動しているので、本人は気づきにくいのですが、この自己防衛の戦略というのが非常に大きく人間関係の形成に影響しているのだ、と言います。自己防衛の戦略は、内的自己防衛と対人自己防衛に分けられます。まず対人自己防衛というのは他者に向けられたもので、自分が傷つくことを避けるための戦略です。たとえば、他人と距離をとる。具体的には目を逸らす、腕や脚を組む、冷たい表情を向ける、横を向く、背を向ける、相手をけなす、ケンカを仕掛ける、菓子を作って支配的立場をとる、といった行動で、相手と対等な関係を結ぶことを避けようとします。無意識にこのようなことをしているとき、「悲しみ」を避けようとしているといいます。例えばそれは友を失う悲しみなどが挙げられます。つまり、何かしらの心の痛みを避けるため、人と心深くつながることを無意識に避けている人が世の中にはたくさんいて、それが起こる背景にはこの自己防衛の戦略が発動しているのだ、と言います。

この自己防衛の戦略は多くの場合、幼少期に会得するようです。たとえば、親に振り向いてほしいとき、親のことにまず関心を持つと親はこちらを振り向いてくれるという関係があったとします。すると「まず相手に関心を持とう」ということを学んだ子供は、大きくなった時無意識にそういった人間関係を繰り返します。結果、友達関係の中でも、相手の話を聞くばかりで自分の事を話すこともできず、知らず知らずのうちにフラストレーションを貯めてしまう、なんてこともあるようです。また、親との関係の中で、親と向き合うことに苦痛を感じている人は、相手と向き合うことをしないようにする。すると今度は自分とも向き合えなくて、つねに物事の本質から避けてばかり、という行動が目立つようになっても来るようです。

自己防衛から抜け出すためのはじめの一歩

本書は、読むことそのものがセラピーになるといいます。それはなぜかというと、こういった無意識の自己防衛は、その存在に「気づく」ことで消えていくからだと説いています。たとえば、親友らしい親友がいないという時に、その理由は人間関係を深めてしまったときに感じる、「それを失ったときの痛み」をおそれて深くかかわらないように一定の線を引くということが考えられます。その線を引いていることに気付くと、まずはそれだけで癒しが訪れる。これは私の私見ですが、「ああ、これのせいでこうなっていたんだ」という安心感と言い換えられるかもしれません。そういったメカニズムが見えることで、そのぶぶんがゆるみ、あとは意識的にもっと緩めていくということができれば、その手のトラウマ的感情は徐々に緩んでいくのかもしれません。本書においては、それを自分一人でできる人もいるものの、できる事ならプロのカウンセラーの力を借りることをお勧めしています。

私の個人的な感覚としては、たしかにプロの力を借りることも大事だと思いますが、時間はかかれど自分でも一つ一つそういった自己防衛を解くことは不可能ではないような気がします。だから、早く解決したいなら、とか程度的にかなりきつい状態なら、プロの手を借りる、という感じがいいのかな、と思いましたがいかがなものでしょうか。

いやーーー、読書って素晴らしいですね。

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