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破天荒フェニックス オンデーズ再生物語
※私が読んだ本の書き出しとざっくりした内容を書き留める読書記録です
はじめの一行
第一話 トラックのハンドルを握るのは誰だ!?
2008年1月
東京では新幹線のぞみの喫煙車両廃止に続いて、タクシーでも全国で全面禁煙が実施され、世の中の愛煙家たちには一段と肩身の狭い時代に入りつつあった。
僕は自慢じゃないが、超が付く程のヘビースモーカー。
そんな世間の風潮など、どこ吹く風とばかりに、ポケットの数だけタバコを洋服に詰め込んで、禁煙ブームなど「我関せず」といった態度で、途切れることなくのろしのような煙をあげながら、この日も忙しく仕事をしていた。
企業再生の道筋を著した本書、イキナリ主人公のヘビースモーカーぶりを語っています。
深読みをするならば、周囲の意見に左右されず、わが道を行く主人公のメタファーなのか・・・
或いはそんな意図があるのかもしれませんね。
本書の内容
とんでもない企業再生物語
本書の内容をひとことで説明するなら、「企業再生物語」。
それも、限りなくノンフィクションに近いフィクションと見受けられます。
舞台は、眼鏡販売のOWNDAYSという会社。
その会社がもはや単独での存続は難しいというとき、主人公である田中氏はその会社を自分でやってみようと決意します。
売上げ20億円にたいして、債務が14億円。
とにもかくにも、日々、資金繰りのピンチと闘います。
ある施策が功を奏してわずかに資金繰りが良くなったと思うと、
田中社長は次の大胆な戦略に打って出ます。
ああ、経理関係を一気に引き受ける奥野さんの胃の痛みが伝わってくるようです。
つねに、ギリギリのところで勝負するのですが、彼らの信条は、「倒れるならば前向きに」といったところ。
とにかくせめて、せめて、せめまくれ、とばかりに次々と攻めの戦略を展開します。
奇跡的な現状?
一ビジネスパースンとして考えたとき、たぶんこの田中社長のような大胆な戦略がなければ、この会社はうまくいかなかったような気もします。
保守的にいけば確かに資金繰りはうまくいくような気もしますが、いずれライバルとの争いには負けてしまいそうです。
逆に、攻めまくったから、今がある、という印象はぬぐえません。
とはいえ、このジェットコースターぶりは、社内にいる人にとってはけっこう大変だったかもしれません。
若い人はいいけど、そこそこ年齢の言った人からすると、勘弁してくれ、という思いもあったかもしれません。
たまたまうまくいっているから良いけど、何か一つつまづけば、今はない、と思わせるピンチの連続。
ここで踏ん張り続けるのは、なかなかの精神力が必要だったでしょう。
とはいえ、です。
そういった、次々と繰り出す攻めの戦略がなければ、OWNDAYSはどうなったでしょうか。
先にも云った通り、資金繰りが改善するのと、ライバルにつぶされるのとが同時進行になるわけですから、たぶん先細りでしょう。
今はしのげるかもしれないけど、未来はない。
こういった中での経営判断というのは難しいもので、時として誰にも賛成されないことを決めて実行する、というのが世に名を遺す経営者の能力なのかもしれません。
もう一つとても大事な気づきとしては、この会社に対していつもギリギリのタイミングなのですが、彼らを助けてくれる人が現れます。
これは日ごろの行いなのか、日頃の付き合いなのか、それとも単なる偶然なのかはわかりません。
しかし読んでいると、一生懸命に頑張っている人には、何かしら手が差し伸べられるのかもしれない、と思うシーンでした。
余談ですが、ここで出てくる「銀行」のふるまいがかなりリアリティがあるような気がします。
そして、リアルであるが故、ムカつく仕事なのです。
現在、銀行の価値がどんどん下がってきており、金融庁もお怒りなわけですが、その理由がよくわかります。
取引先の会社の未来をしっかりとイメージするわけでもなく、彼らとともに未来を築くつもりもなく、ただ保身の中で小銭の入るビジネスだけをチマチマとやるあの感じ。
あまりいい印象はいだけません。
そんな中でも、大活躍の銀行員がいるのは一つの救いだったかもしれません。
嘘のような、たぶん本当の話が詰まった本書、おすすめです。
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