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NOISE 上: 組織はなぜ判断を誤るのか?

※私が読んだ本の書き出しとざっくりした内容を書き留める読書記録です


はじめの一行

序章 二種類のエラー

仲間と射撃場へ行き、五人編成のチームを四つ作って競い合ったと想像してほしい。五人は同じライフルを使って一人一発ずつ撃つ。その結果を図1に示した。
もちろん理想は、全員が標的の中心に命中させることである。それに近いのがチームAだ。中心近くに集中しており、パーフェクトに近い。チームBのように一定の規則性から外れている結果を「バイアスがかかっている」という。図からわかるように偏りに一貫性があるので、結果の予測が可能になる。

NOISE 上: 組織はなぜ判断を誤るのか?(ダニエル・カーネマン、オリヴィエ・シボニー、キャス・R・サンスティーン)

本書は、しょっぱなから飛ばします。
私たちがよく知っている言葉に「バイアス」という言葉があります。この考え方と、本書のテーマである「ノイズ」という物の違いを序章では論じています。
ノイズは規則性のある偏りではないずれをいうようで、図の中で言うとチームCがノイズが多いという状態。次の着弾がどこに来るかが全く予測がつきにくいという特徴がありそうです。
ちなみにチームDは「ノイズが多くバイアスもかかっている」という状態だと言います。着弾に一定の傾向がみられるものの、ばらつきも大きい。

こんな例を挙げて、ノイズとバイアスを区別することで、これからの内容への理解を深めていくことが意図されていると思います。

本書の内容

専門家の言葉はあてにならない!?

なんとなく、専門家の分析ってとても当たるような気がします。例えば、年末年始のテレビや雑誌で繰り広げられる1年の大予測。
私たちはきっとそれなりにあたるかもしれないという事で、そういった予測をあてにしがちです。
しかし本書はそんな考えをいきなり一刀両断にします。

例えば、裁判官。
彼らは公正に罪を法で測り、厳正なる刑罰を定めていると思われがちです。
法律においては例えば、「〇円以上の罰金」とか、「〇年以上の懲役」とかいう規定があり、その状況によっての判断が現場にゆだねられています。
この幅が、実はあまり論理的に定められていないと言います。
同じような犯罪者で同じようなシチュエーションにおいても、裁判官によって判決の度合いは違うし、同じ裁判官でさえその時によってずれが出ると言います。

また、保険の世界においては、リスクを評価し、保険料(掛け金)を設定することを仕事にしているプロでも、同じ案件を別の専門家が手掛けると相当な幅があると言います。
こういったことは即会社の収益に影響することですから、由々しき問題ではあるはずです。
しかしそれは現場では全く意識されておらず、「長年の経験とプロの知識」が重んじられていると言います。

株式投資のプロにおいても、多額の報酬を得ているプロ中のプロという人でさえ、実はそんなに優れた結果を上げているわけではないようです。
こういったことが未だ放置されている現状を、本書ははじめの問題提起として挙げています。

ノイズを抑えるために

様々な分析の結果わかったことは、個人的な知識や経験、勘に頼るよりむしろ、統計的な分析のほうが正しいことが多いと言います。
簡単に言ってしまえば、過去におこったことをもとに相関関係を分析し、そのデータをもとに予測すれば、少なくとも「プロ」の予測よりもいい結果が出ると言います。
なんとも私たちの感覚とは乖離した話になるのですが、ただの統計が一番強力という事のようです。

名著『ファスト&スロー』でバイアスについて徹底的に論じたカーネマンですが、今回は『ノイズ』を取り上げております。また、本書のなかではファスト&スローで出てきたシステム1が時々顔を出しますので、先にファスト&スローを読まれた方がいいかもしれません。

色々と目が覚める内容てんこ盛りなので、知的好奇心を満たしてくれる一冊だと思います。

いやーーー、読書って素晴らしいですね!

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ちなみに私はこんな本書いている人です。


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