裏側のヒ ミ ツ
当てもなくお散歩をしている時は、キョロキョロと周りをゆっくり見ながら歩くので、時々面白いものを発見することがある。
オールドタウンを歩いた時のこと。
あの忘れられない空間、あれは本当にみたものだったのか?それとも、私の見間違え?空想?妄想?
私はなんと、隠されたの緑のオアシスを見たのです…
大概、デンマークでもエジンバラでもロンドンでもストックホルムでも、どこのオールドタウンでも、樹は広場に出ると広場を囲って並んではいるけれど、街路樹をみることはない。
築数百年の建物に囲まれているから、お天気の良い日でもなんとなく暗いし、古くて傾いているような建物と建物の間にある細い路地には、木が育つ場所はないのだ。
そんなオールドタウンには銀食器のお店、木型が吊るされている靴屋さん、アンティク屋さんなど、妙なものを売っているお店や、落ち着きそうな、朝からキャンドルライトが灯るナイスなカフェなんかがギュッと詰まっていて、迷路のような古路を探索するのはドキドキと楽しい。
そして、実は…、そこには…、
秘密の世界が、見えない裏側に潜んでいたりするのです。
木が一本もない路地からは決して想像できない、小さな空間が存在していた!
私がそのドアの前を歩いた時、ギーっと古く大きな重たそうな扉が開いて、誰かが出てきた。
その瞬間私は中を覗いた!見た!
チラッと、ほんの一瞬だけ、中庭を見ることができた!
暗い石造の建物の裏側にあったその中庭は想像を超えた空間が…、
それは、私の心をぐっと引きつけた。
空からの明るい太陽の光とそよ風に揺れる、北欧には似つかわしくない大きな葉が繁る樹が芝生のガーデンに何本も立っていた、それはそれは南国の庭園そのもの。
「エッ?!まさか…」
あまりにも、北欧のオールドタウンとイメージが合わないものを見た私は、
驚いた。
「ギ〜バタン…」ドアが閉まる。
そして、また元の北欧のオールドタウンに戻ったのでした。
旅行者には見ることが許されていないヒミツの空間…
それは、あの壁の向こう側にはあるのでございます。
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