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ヴァンパイアパーティ【シチュボ台本】

(シチュボ台本、12分ほど) こちらは、Stans.fmの、おとぼけ姉さんによるハロウィン2023企画「ヴァンパイアパーティ」のために書いた、二人用シチュボ台本となります。

⚠官能要素、多めですので、ご注意ください

あてがきのため、企画参加者の名前などが登場しております。この台本に関しては、お使いになる際には、あらかじめご相談くださいね。

登場人物

  • コサト・ド・ノクターヌス:憂愁のバンパイア。

  • サラ・カオルン:女性記者。

テキスト版

コサト・ド・ノクターヌス:(窓辺で独り言)ああ、明るい日の光を見なくなって何日たったのだろうか…。あのあと…わが身に起こった出来事に当惑して、ここに身を隠してしまったのだが。
夕暮れ時のにじんだ光は、よいものだな…
おや、訪問者か?
サラ・カオルン:(歩きながら独り言)ここが、あのコサト・ド・ノクターヌスの隠れ家なのかしら。他の記者たちはまだ気づいてないみたいね。私は、独占インタビューを取ってやる!そう、数日前に突然姿を消したロックシンガー、熱狂的ファンから「闇の支配者」とも言われているノクターヌスの真実…。
なんの発表もされていないけれども、私の感が当たっていたら…。
サラ:(ノックの音)こんばんは!サラ・カオルンです。以前にもインタビューさせていただきました、サラです。コサト・ド・ノクターヌスさん、こちらにおいでですよね。コサトさん!
コサト:(独り言。溜息の後に)見つかってしまったか…。しかし、あいつが来るとはなあ。やっかいだ。
サラ:コサトさん!(ドアがあく)あら!
コサト:あなたでしたか、やはり。
サラ:あなたが突然姿を消した理由を、世界は知りたいのよ。そして私も知りたい。インタビューさせてください!
コサト:突然に押しかけてきて、それですか…。
形而上学的な理由ですよ。ある日突然、世界が逆転してしまって、夢がまこととなり、闇が私を埋め尽くしてしまった。
サラ:あの…
コサト:ああ、(慇懃に)いたしかたない。どうぞこちらに。
―――――――――――――

(多少の間。できれば、紅茶を入れてきたような雰囲気で)
サラ:申し訳ありませんわ。でも本当にありがとうございます!ノクターヌスの音には私、仕事抜きで惚れこんでおりますの。
では…えっと、収録モードにして…。
はい、では本日はあの有名なロックシンガー、コサト・ド・ノクターヌスさんの独占インタビューをさせていただいております。ノクターヌスさん、あなたは――
コサト:(テーブルをたたいて)No!  そんな風に始めるものではない。
サラ:そう…ですね。では…。コサトさん、あなたが舞台をなげうつほどのことが、起こったのですね。少しやつれているように見えますが、でもそれだけではない。あなたの瞳に宿る光、以前とは決定的に違う。
コサト:私の瞳に何が見えるというのだ。私は、もはや…。あの世界には戻っていけないのだ!
サラ:もしかして…?
コサト:そう、以前唄っていたように、ついに、闇が、永遠の闇が、私の友となったのだよ。人、ではなく…
サラ:それは、あなたが、闇の眷属になったということかしら?
コサト:えっ、なぜそれを知っている?
サラ:ここ数日、耳を澄ませていると、聞こえてくるのですよ。このかいわいで、あちらでひとつ、こちらでひとつ。か細い悲鳴と、そしてそれに続く愉悦の声…。何かが起こりつつある。そしてあなたの失踪。
コサト: ああ、お察しの通りだ、私はもはや…人ではない。これからゆく道は、闇と、そして孤独に満ちたものになるであろう。
サラ:何故悲観するのです?あなたは今やあなたの唄をそのままに、生きているのに。
コサト:生きては、いない…。今、私はさらに深い闇の中に沈んでいく。誰にも手が届かない闇の中に。これは呪いだ。
サラ:あなたの哀しみ、それはいつもあなたとともにいた、今までだって。
あなたの孤独、それはあなたの勲章よ。
サラ:それなのに…、あなたは、あのとき、私に一夜の夢を見せてくれた。
(ふいにサラがコサトにキスをする)
コサト: おい!
サラ:あなたの孤独の中に、連れて行って…
コサト: 分かっているのか?私を誘惑するとは、すなわち――
サラ:ええ――
コサト: 君もまた闇に落ちる――
サラ:ええ、今度は一夜限りではなく――
コサト:そして二度と戻っては来れない――
サラ:ええ。果てしなく続く夜のノクターンを、ともに過ごしたいの。あなたの「特別」になって…。
コサト: これも定められしことなのか…
そうか、そうなのか…。ではおまえを、初の我が眷属となそう。
―――――――――――――

コサト:汝は、闇の眷属、コサト・ド・ノクターヌス、リトの子であり、リトはうしお凪波ハイゼンベルグの子であり、うしお凪波ハイゼンベルグはおとねえの子であり、おとねえは始祖シオンの子である。そのコサト・ド・ノクターヌスに、汝の血を、捧げるか?
サラ:はい、わたくし、サラ・カオルンは、その血を最後の一滴に至るまで、あなたに捧げます。
コサト: よし。(一噛み目)
サラ:[声]
コサト:汝は、汝の主(あるじ)、コサト・ド・ノクターヌスに、その心を捧げるか?
サラ:はい、わたくし、サラ・カオルンは、深淵に落ちるとも、その心を捧げます。
コサト: よし。(二噛み目)
サラ:[声]
コサト:汝は、汝の主、コサト・ド・ノクターヌスに、その身体を捧げるか?
サラ:はい、わたくし、サラ・カオルンは、灰として散るそのときまで、その身体を捧げます。
コサト: よし。(三噛み目)
サラ:[声]
コサト:(嘆息。気を取り直して)血と霊により、ここに、闇の眷属の秘跡(ひせき)の成就を宣言する。
我らが始祖シオンの恩寵と、バンパイアの栄光が、我らとともに、今も、そして永遠にあらんことを。
コサト:さあ、しばし休むがよい…
―――――――――――――

(しばしの間)
サラ:ああ、なんという…
コサト:人の血には、それぞれ、ことなった味わいがあるものなのだな。
サラ:夜がこんなにも煌(きら)びやかで明るいとは、知らなかったわ。そして、あなたが、私の光なのね。
コサト:この身体は血を求めてやまなくなるだろう。それでもいいのか?
サラ:ええ。そうなるのでしょうね。そして、あなたはその血に支配されたいの。それとも支配したいの?
コサト:さあて、血の盟約によって、この身と心が、どのように変化していくのだろうか?
支配されるも、支配するも、すべてはこれからであろう。
まずは、試してやろうか、おまえがそれに耐えうるかどうかを…。
(しばしの間。時間経過)
コサト:ああ、夜が明けていく…。
サラ:そしてあなたは新しい唄とともに、よみがえる…
コサト:我らはこの新しい唄とともに、どのように堕ちていくのだろうか。いつか終わりが来て、灰となって散るその日まで 。

(終わり)

背景:アン・ライスのバンパイアクロニクル第一巻『夜明けのバンパイア(原題:Interview with Vampire)』からネタをいくつか使っております。

音声版

【ヴァンパイアパーティー】小里🧛♂❌かおるん👤♀
https://stand.fm/episodes/65210d3c88403dc472deb24e


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