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女優と代理人と試みの始まり③(要注意 官能あり)【二人用フリー台本】


背景

深夜枠用の声劇台本。Stand.fmでのコラボ企画、しおんさん&カナモノさんの「くらげふぁくとりー 大人の秘密基地」にて、このシリーズを読んでいただいております。

「女優と料理人とろうそく」

  1. 女優と料理人とろうそく①:情熱の調理法

  2. 女優と料理人とろうそく②:闇の調理法

  3. 女優と料理人とろうそく③:エピローグの調理法

情熱的な料理人と神秘的な女優が織りなす物語。ろうそくの炎を前に、二人は欲望と危険を暗示する会話を交わす。料理人は女優に特別な料理を提供し、お互いの深い欲望を探求する。しかし、彼らの関係は、消えゆくろうそくの炎のように儚いかもしれない。最後に、女優は重要な決断を下す。

「女優と料理人とろうそく」あらすじ

「女優と代理人と試みの始まり」

  1. 「女優と代理人と試みの始まり①」

  2. 「女優と代理人と試みの始まり②」

「あの方」のところへ行くことを決めた女優は、指定された場所へと向かう。そこで彼女を待っていたのは、かつて愛した男性だった。男は、「これはあの方からの試みである」と告げ、彼の言葉に従うよう女優に指示する。そして男は彼女を秘密の家へと連れて行き、そこで女優の試みが始まるのだった。

「女優と代理人と試みの始まり」第二話までのあらすじ

[☆本編、ここから☆]

女優と代理人と試みの始まり③

作:奥村薫

【第一節】

(女優が独りデスクに向かっている)
女優:[溜息] これでいいのかしら?命じられるままに、この手帖に、この家を訪れてからのことを書き留めてみたのだけれど…
(手帳に書いたものを読む)「夜が明ける少し前に、私はいったん目覚めたように思う。柔らかな布団に身をゆだね、暖かく包まれている感触…。濃密な想いがただよっているのは、夢の名残りか。」

(男が入ってくる)
男:おお、さっそくその手帖に書いてみたか。
女優:あらっ。
男:恥ずかしがることは無い。
女優:でも…。
男:君はここでは何も隠してはいけない。いいね。
女優:でも、見られてしまうと思うと、なかなか…。
男:それでも、君はここで真実の姿を見せなければいけないのだよ。はじめは戸惑うだろう。しかしだからこそ…
女優:『つねに心を開いているように』、あの掟は、こういう事までも含んでいるの?
男:[笑い] そういうことだ…。さあ、続きを読んでおくれ。

女優:(恥じらい、その後覚悟を決めて) ええ。わかったわ。
(日記を読む)「 そして目隠しされて部屋を歩いた時、はじめは暗闇の中のように思えて、恐れと戸惑いでいっぱいだった。だが次第に他の感覚で、未知の部屋を探っていくとき、足元の床の材質が、机の上のひだまりのぬくもりが、…触れたものすべてが、何か秘密をつぶやいているようだった。そうして私はその秘密を共有している」

男:(ほくそ笑みつつ)なるほど。

女優:(日記を読みつづける)「この『試み』とは一体何なのだろう。平常心を保てること?それとも感情のままに大きく揺さぶられること?
私はいまだに不安であり、
それでいてこの危うさに何かを期待してしまう自分に驚く。」

男:良い考察だね。一日でそこに至るとは…、筋がいいのかな。
(間。なでなでしてる。女優の声がここで入るのも良し)
男:Good Girl…
(注:あるいは、「いい子だ」。心がこもるほうの台詞でいってください。ここ重要な一言!)

(時間経過)

【第二節】

男:さて、日が差してきたようだね。すこし、そのまま庭に出てみないか。
女優:えっ、はい...。
(男は女優をいざない、ベランダから庭へと歩く)
女優:ここは...木立に囲まれていて、ほかの家は見えませんね。
男:そうだね、そこのベンチでは如何かな?まだ少し肌寒いかもしれないから、ブランケットを敷いてあげよう。
女優:(ベンチに腰をおろす)雨上がりのような、樹の香りがしますね。
男:そう、自然の中では、おのずと感覚が開かれる。君には今何が見えているのかな?
女優:ええっと...。木の葉が揺れている...。微かな風にもかかわらず、小刻みに、そしてあらゆる方向に打ち震えている。
男:不安なのかね?打ち震えている心は、とても繊細で可憐だ。君のような大女優でも、あるいはだからこそ...。
女優:風の流れに身を任せろと言っているのかしら。でも本当に飛ばされてしまったら…と思うと怖い。
男:その怖れは、自然なことだ。怖れとともに風の流れに乗っていくがよい。
女優:風の流れとともに?
男:小鳥たちのさえずりも聞こえるだろう。とても純粋な唄だ。
女優:それに木の葉や枝が触れ合う音、そして、ああ…!風が寄せてくるわ、ここまで…。それから、これは何の香りなのかしら?
男:この林の奥に、隠れて咲く花の群れがある。
女優:見知らぬ香り。でも、なんとも印象的な...。
男:花の香りのかぐわしさは、秘められていたものが花開くときの美しさでもある。そしてこれからは、君はこの香りとともに、この家のことを思い出すことになるだろう。
女優:ええ、林の奥の秘められた花を想像しながら...。この香りと、木々のざわめきと、そして澄んだ空気と…。
男:そうだ、この秘密の林の中で、自らの感覚を花開いていくがよい 。

(時間経過)

【第三節】

(間奏曲的意味合いの章です)

男:さて、君はいろんな愛を見てきた。
君はいろんな愛を演じてきた。
そして君は、新しい愛を学びつつある。
君は今、愛をどのように定義する?
女優:愛とは、それはまるで重力…。
見えないけども、確実にそこに存在していて、
引き寄せられてしまう。
男:なるほど、君は、それから逃れられない?
では、愛に終わりはないのか?
女優:そうね、永遠だと信じているときもあれば、虚ろいゆくものと絶望するときもある…。
男:愛とは、自由か、それとも束縛か?
女優:愛は鳥のように自由に羽ばたく。
そして、その自分の幻想に縛られる。
男:愛とは運命なのか、それとも選択なのか?
女優:愛は…必然。突然に降ってくるんだもの。
なのに、私が選んだもの。不思議よね。矛盾してるのに。
男:ふっ、愛とは、それ自身が、ミステリーなのだろう。
女優:どれほど探し求めても、解き明かされることのないミステリー?
男:まさに…。さて君は、その深みに、さらなる一歩を踏み出そうとしているわけだ。 

(おわり)

シリーズ紹介

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