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女優と代理人と試みの始まり②(要注意 官能あり)【二人用フリー台本】


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深夜枠用の声劇台本。Stand.fmでのコラボ企画、しおんさん&カナモノさんの「くらげふぁくとりー 大人の秘密基地」にて、このシリーズを読んでいただいております。

「女優と料理人とろうそく」

  1. 女優と料理人とろうそく①:情熱の調理法

  2. 女優と料理人とろうそく②:闇の調理法

  3. 女優と料理人とろうそく③:エピローグの調理法

情熱的な料理人と神秘的な女優が織りなす物語。ろうそくの炎を前に、二人は欲望と危険を暗示する会話を交わす。料理人は女優に特別な料理を提供し、お互いの深い欲望を探求する。しかし、彼らの関係は、消えゆくろうそくの炎のように儚いかもしれない。最後に、女優は重要な決断を下す。

「女優と料理人とろうそく」あらすじ

「女優と代理人と試みの始まり」

  1.  「女優と代理人と試みの始まり①」

「あの方」のところへ行くことを決めた女優は、指定された場所へと向かう。そこで彼女を待っていたのは、かつて愛した男性だった。男は、「これはあの方からの試みである」と告げ、彼の言葉に従うよう女優に指示する。そして男は彼女を秘密の家へと連れて行き、そこで女優の試みが始まるのだった。

「女優と代理人と試みの始まり」第一話までのあらすじ

[☆本編、ここから☆]

女優と代理人と試みの始まり②

作:奥村薫

【第一節】

女優:【モノローグ】もう、明け方が、近いのかしら...。
少し前に、ひとしきり鳥たちが鳴いていたような気がする。
ふうわりとした羽根布団に暖かく包まれて、肌に触れるのは、乾いたリネンの感触。
目を閉じたまま、深く大きく息を吸うと…、濃密な空気が、ゆっくりと気管と肺とを満たしていく...。
夢の世界は、まだ心の中にありありと残っている。なにか満ち足りた長い夢を見ていた。
この家に泊まるとき、夢がその人の心を探ると、昨日聴いた...。
私の心の真実、それは…

男:おはよう。
女優:あっ…おはよう…ございます。
男:どうだったかな、この家での初めての夜は?
女優:ええ、なにか長い夢を見ていたわ、あれが明晰夢というものでしょか。
男:ふむ、興味深い。その夢は君の心に何かを問いかけてきたのかな。
女優:まるで、私の深い願望を探るかのように…
男:それから?
女優:(はじらい)
 
男:『つねに心を開いておく』こと。この掟に従うように。
女優:(はにかみながら)そうね…
男:夢に見たことを実践してみるのもいいかもしれない。
女優:えっ…でも。
男:大丈夫、僕はここにいるよ。

(時間経過)

【第二節】

男:さて、朝の紅茶を持ってきた。
女優:ありがとう。嬉しいわ、喉が渇いていたから…
男:君の新しい一日を祝福して…
女優:本当に素敵な香りね。
男:さて、第一の掟は、なんだったかな?
女優:(うなずきながら)ええ、『つねに心を開いておく』こと。
男:それは実践できているかな?
女優:そう、そう思うのですけれども…
男:では、もう一つの掟を伝えよう。『つねに感じたこと思ったことと誠実に向きあう』こと。
女優:つねに、感じた事や、思った事と、誠実に向き合う…?
今まで、意識的にはしていなかったかもしれません。
男:そう、まずは自分で自分の想いに気づく。そして向きあう。そして初めて語ることができるようになる。
女優:難しい、かもしれません…
男:君にこの手帖をあげよう。ここに、君の感じたこと、思ったことを出来るだけ詳しく書き留めるのだ。
女優:(手帖を受け取りながら)随分ずっしりした手帖ですね。
男:そうだ。良いことも、悪いことも、恥ずかしいと思うことも、これからは必ず書き留める時間を作るように。
女優:この手帖に…
男:それは君の心のトレーニングとなる。
女優:私の心の旅を記録するのね。
 
(時間経過)

【第三節】

男:さて、では家の中を少し見てまわろうか。
いや、君には、目隠しが有効だったね。
女優:えっ。そんな(恥じらいを隠しつつ)
男:そう、(目隠しをとってきて)これは柔らかい布だから、とても快適な筈だよ。
さあ、(目隠しをする)これでいいかな。どうだい?
女優:はい。本当に、瞼(まぶた)にしっとりと密着して…完璧に閉ざされた感じ。
光さえも、わからない。
男:手を引いてあげよう。ゆっくりどうぞ。
まずは廊下に出たよ。右側に行こう。そうして、この部屋だ。(ドアを開ける)
女優:重そうなドアですね。
男:足元に気を付けて...。さあ、ドアを閉めた。手を放すから、自分でこの部屋を探索してみなさい。
女優:ふらつかないか心配だわ。
(ゆっくりと手を伸ばしてこわごわ歩き始める)
床は良く磨かれた板張りなのでしょうか。
壁がどこにあるか分からないのが、すこし怖い。
男:ゆっくりとで構わない。感覚を研ぎ澄まして…
女優:あっ、壁だ。冷たくて少しざらざらしている。
男:そうだね、それは石壁だ。
女優:壁に触れていると、なんだか安定します。あっ(躓きかける)、この足元にあるのは…
男:小さなペルシャ絨毯があるのだ。分かるかな。
女優:ああ、なるほど。しっかり目の詰まった絨毯?
そして…、これは書き物机かしら

女優:【モノローグ】視覚を遮断したまま、未知の場所を探索するという新鮮な経験は、私を魅了した。机の上の小物、椅子、そして家具…、私の指先は、それぞれの質感をまさぐり、部屋のレイアウトを心の中で想像した。耳は微かな音に敏感に反応し、空気の質感の違い、あるいは突然訪れた暖かさに、おそらくは薄いカーテン越しの日の光を実感する。周りの世界が、いつも以上にリアルに感じられて、より生き生きと語りかけてくるようだ。

男:(優しく)ストップ
そこで、壁から手を放して、五歩ぶん壁から離れて。
女優:あ、はい。
男:そう、そこで、僕の声のするようを向くように。
女優:(ゆらりとしてしまって)あら…。支えなしだと、まっすぐ立つのさえ、難しいわ
男:さて、すでに君は視覚によらず、外界を見ることを試した。今度は、君自身の中、君の身体を内側から見る訓練をしてみよう。ゆっくりと…。自分の身体自体を内側から感じるのだ。
女優:はい…。
男:すっと頭の上から吊られているように、自由に身体を伸ばすんだ。
そして身体はすっきりと左右対称になる。
身体のそれぞれの部分を意識してみるのも良いだろう。
女優:ふらついていたのが、少し落ち着いてきたかも。
男:そうだ。そして、自分の中心が見えたら、こちらにゆっくりと一歩を踏み出す。
『開かれた身体(からだ)』として…
まっすぐに声のほうに歩いてこい。
大丈夫、ぶつかりそうになったら教えるから。
 
女優:【モノローグ】そうして、どのくらいの間、私は見えないまま、まっすぐ歩いては、反転し、歩くということを続けたのだろうか。時間感覚はとうにくるってしまった。
 
男:ストップ。(女優は歩くのをやめる)
(間)どうだね。
女優:はい…。
男:目隠しをとるから、目をつぶっておいて…。ほら取れた。ゆっくり目を開けていい。
女優:(息をのむ)
男:どうだね?
新しい世界にようこそ。
女優:(みまわして)この部屋…不思議、もう、とてもよく知っている気がするわ。
そして(手を伸ばして)
男:触れてみるがよい。より鮮明になったその感覚で
女優:いいの?
男:ああ
女優:(間)あぁ 

(終わり)

シリーズ紹介

  • 音声配信 :カナモノさん「オトナクラゲ」にて
    12月28日深夜ライブ配信予定

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