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女優と代理人と試みの始まり①(要注意 官能あり)【二人用フリー台本】

※※ 官能シチュボとなります。ご注意くださいませ ※※

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深夜枠用の声劇台本。Stand.fmでのコラボ企画、しおんさん&カナモノさんの「くらげふぁくとりー 大人の秘密基地」にて、このシリーズを読んでいただいております。

「女優と料理人とろうそく」の続編となります。

  1. 女優と料理人とろうそく①:情熱の調理法

  2. 女優と料理人とろうそく②:闇の調理法

  3. 女優と料理人とろうそく③:エピローグの調理法


女優と代理人と試みの始まり①

作:奥村薫

【第一節】

女優:夕暮れ時のささやかな風と、木々のざわめき…。懐かしい風景ね。
あのお方の手紙に指示されたとおりに、この庭園にやってきたけれど。
女優:(ふと立ち止まって、周囲を見渡す)もうそろそろ時間だわ…
(男が静かに現れる)
男:やあ、ごきげんよう
女優:(驚き、戸惑いながら)あなたは…!まさか…
男:久しぶりだね。昔愛した女が、こんなにも美しくなっているとは、男として誇りに思うよ。
女優:でも、どうしてあなたがここに?私は、使いの方が来るのを待っているのだけれど…。
男:あのお方からの使者かな。
女優:えっ
男:ほら、君への手紙だ、あのお方からの。
女優:(手紙を読む)「この男の言葉を、私の言葉と思うように」…とすると、あなたがその…?
男:そう、あのお方とは親しくさせてもらっている。「彼女を試みるように」との仰せなのだ。
女優:そんな...。私たちの過去のことも、あのお方は、知っているの!?
男:知っている。まずは、昔のように、恋人のように、ふるまってみたまえ。ほら。
女優:(戸惑いながら近づく)これでいいかしら…
(肩を寄せ合いながら歩く)
あのころ、私は駆け出しの女優で…、すべてが鮮やかだった。あなたと過ごした時間を思い出してしまうわ。
男:僕も忘れてはいない。
でも、これから、君をある場所に連れて行く。
女優:えっ、どこへ?
男:君はこの試みを辞退してもよい。選択の権利は君にある。
さあ、あそこに車がある。君はどうするかね?
女優:そうだったのですね…。(戸惑った後に)分かりました、行きますわ。

【第二節】

(二人は車に乗る)
​​女優:これから、なにを試されるというのでしょう…
男:『つねに心を開いている事』、これが第一の掟だ。
女優:『心を開いている』…?
男:そう、そのために、今はあえて、これを付けたまえ。目隠しだよ。しっかりと、何も見えないように。
女優:目隠し?何故、そんなものを...?
男:視覚を封じることによって、他の感覚が鋭敏(えいびん)になる。そして自分の心も見えてくる。
女優:「あなたの言葉は、あのお方の言葉」なのね。ええ。これでいいかしら?
男:ああ、では出発しようか。(車をスタートする)
(しばらく沈黙の後)
女優:なにか不思議な感覚だわ。何もみえないからかしら、音がとても鮮明に聞こえる。
男:ああ。その音を、そして声を、そのまま心に染み入らせるとよい。
女優:(ああ、なんて深く響く声なんでしょう。昔もこの声に魅了されていたけれど…いまだに、抗いがたいわ…)
女優:あの頃、あなたは優しく教えてくれた、すべての事を。まだ何も知らなかった私に。
男:君は貪欲な努力家だったし、今でもそうなのだね。ここまで来てしまうとは…。驚いたよ、君があの方のところに来ようとするとはね。
女優:(深く息を吸いながら)そうね、期待と不安が入り混じっているけれど、でも、私は新しい私に出会いたいの。

【第三節】

男:さあ、着いた。もう少し目隠しはそのままで…僕が手を取って、連れていこう。
女優:林に囲まれた静かなところなのでしょうね。どこか幻想的で、霧でも出ていそうな…
男:よくわかるね。ここは「あのお方」が用意した場所だ。
(家に入る)
女優:あら、百合の香りが?ああ、なんだか、くらくらするわ。まるでとっても濃密な時間が流れているような…。
男:香りは、こころの奥深い記憶を揺り動かすという。君にはどんな百合の記憶があるのかな?
女優:それは…定かでは無いのに、なにかとても親密で深い場所、そんな忘れられないところがあったような…なのに思い出せない。

男:さて、この柔らかい毛皮の上に座ると良い。目隠しも取ってあげよう。
女優:(座る)...ここが、その場所...?ここで一体何を...?
男:まずは暖炉に火を入れよう。
女優:あら、あっというまに暖かくなってくるわ…。炎って、いつ見ても不思議ね。いつまでも眺めていたくなる。
男:ああ、炎は闇を際立たせる...。そしてさらには時の感覚をも惑わせる。(間)
さて、一つ目のレッスンだ。まず、唇はいつも軽く開けておくように、いついかなるときでも。そのように緊張で、固く閉じてはいけない。
女優:不思議なルールね…(静かに唇を微かにあける)はい。
男:そしてゆっくりと呼吸をする。その唇の微かな開かれた隙間を通して、君の内側は、常に外側に開かれている。
女優:ええ。(数呼吸して)なんだか、空気が自分の中に入ってくるのって、不思議な感覚ですね。
男:自分を、せき止めてはいけないよ。
女優:……あっ
……
男:さて、すこしは、自分の心も見えてきたかな。
実は、この家には面白い言い伝えがあるのだ。ここに泊まる者は、夢を通して自分の真実と向き合うと言われている。
女優:夢を通して?
男:君が眠りにつくと、夢が君の心の奥深くを探る。嘘かまことかはわからんがね。
女優:少し怖い気もするわ。
男:その怖さもそのまま、受け止めるがよい。震える心は、良きものだ。
女優:そして、何かがおこるのかしら。
男:さて。それは君次第だろうね。
『つねに心を開いておく』ように。
今宵はここで眠るがよい…。

(終わり)

シリーズ紹介


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