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料理を始める人が買うべき3つの鍋

ひとり暮らしのキッチン道具について書いた、『キッチン道具のスタメン発表!』『料理がもっと楽になる、キッチン道具のサブメンバー』に続く第3弾、少し間が空きましたが、いよいよ今回はです。

鍋の良し悪しに絶対はなく、家庭ごとの食べる量や作る料理に合った鍋がベスト鍋であるというのが私の考え。その上でのチョイスだとご理解ください。

これから一人暮らしまたは二人暮らしするために鍋を検討している。料理はそれほど得意ではないけれど、なるべく自炊はこころがけたい。そんな方にはこの3タイプの鍋がおすすめです!

では、ひとつずつ、見ていきましょう。

①ファースト鍋は、16センチの片手鍋

容量は1L少し、素材はステンレス−アルミ多重構造、ふたつきがおすすめ
作れる料理→味噌汁、スープ、インスタントラーメン、煮物、ゆでもの

●サイズは15~16センチ、容量は1Lちょっと

まずは、小回りの利く小鍋です。 このサイズの鍋の用途は広く、味噌汁、小さなゆでものなどはもちろん、牛乳を沸かしたりおじやを作ったり。ゆでたまごやレトルトをあたためるにもいいですし、味噌汁なら3人前ぐらいまで楽々作れます。
サイズは重要。「大は小を兼ねる」は、鍋には通用しません。20センチの鍋でインスタントラーメンや味噌汁を作ろうと思って500mLの水を入れると、水の高さがわずか2センチにしかならず、具が頭を出してしまいます。

●素材はステンレス多重構造鍋

丈夫でさびや腐食に強く、お手入れしやすいステンレスがおすすめ。
ステンレス単体より、熱伝導(熱の伝わりやすさ)の良いアルミと、蓄熱性(冷めにくさ)のあるステンレスを合わせることで性能を高めた多層鋼材が少しお値段はしますが、使いやすいです。

多層鋼材は、主に値段に反映されますが、鍋の側面までそうなっているものと、底だけのものがあります。

イラストは3層構造の場合。アルミなどの素材をステンレスで挟み込んでいます。鍋底だけの場合側面だけが温度が高くなり、焦げ付いたりします。知識として。

ステンレス単層の鍋ほうろう鍋、いわゆる「ゆきひら鍋」に代表されるようなアルミ鍋は、お湯を沸かしたり野菜をゆでるにはまったく問題ないのですが、油をひいて食材を炒めようとすると、焦げ付きやすいなという印象です。

●必ずふたつきの鍋を!

鍋は必ずふたとセットで買ってください。忙しい現代の家庭の食では「蒸し煮」という調理法を多用するといいと思うからです。蒸気抜き穴の開いているふたより、密閉できるふたがよいのです。ガラスふたは中が見えるので安心ですが密閉度は低め。

●おすすめ商品

このタイプで現在私が使っている鍋は、IKEA(右下)無印良品(左下)フライングソーサー(左上)ジオ・プロダクト(右上)の4つ。

定価で比べると、IKEAが1666円、無印良品が4900円、フライングソーサーは13000円、宮崎製作所GEOは8000円ほど。値段による差を知りたく、価格帯を散らして買いました。

鍋の値段は、素材そのものの品質や厚み、蓋の形状、仕上げやデザインなど、さまざまな部分で決まっています。
もちろん、ある程度値段なりということはあります。素材とか、加熱時のふたの密閉度とか、磨きかたとか。
ただ、このサイズの鍋に関していえば、すごく凝った料理はしないと思うので、道具に対するこだわりのない人であれば、どれを選んでも日々の料理には困りません。私自身、4つをまんべんなく使っています。
ツール好きな人は、もう少し高い鍋に目を向けてもいいかもしれません。

4つの中で最も機能・デザイン・価格のバランスが良いのは、無印良品の片手鍋。私はこの無印のすっきりしたデザインが気に入っています。日々使うのに必要十分な機能が備わっていて、膨らんだ握りも持ちやすいです。
ジオ・プロダクトは日本製の鍋で、最近の私のイチ押し。全面7層構造で、この鍋で肉や野菜の焼き付けをしたときの離れの良さは抜群です。

②セカンド鍋は、24センチのテフロン加工フライパン、深めのタイプ

2つめの鍋には、これを鍋と呼んでよいのかわからないのですが、テフロン加工のフライパンです。普通より深さのあるもの。
作れる料理→炒め物全般、肉、魚、卵など焼き物、ゆで物、簡単な揚げ物、スープや煮物

賛否分かれるテフロン加工の鍋。傷つきやすく、消耗品になってしまうデメリットがあります。でもお手入れのしやすさは抜群。特にフライパンは焼き物をやるので、焦げがこびりつかないというのはポイントが高いと思います。

●「深めのフライパン」または「炒め鍋」

写真を見ると、通常のフライパン(右)とは僅かな違いに見えますが、このちょっとした深さが大きな差になります。写真左は「深型フライパン」、もうひとつ「炒め鍋」というもう少し深いタイプがあり、鍋底の径はやや小さいものの、炒める、煮るには向いています。

深型フライパンは本当に万能で、ファースト鍋とこのフライパンを備えると、正しさはともかく一人暮らしの自炊がかなりカバーできます。炒め物、焼き物はもちろん、野菜をゆでたり、焼き目をつけてから水やだしを注いで煮込むようなスープにも大活躍。

1.5リットルぐらいの水がゆったり入り、1~2人分ぐらいなら、シンプルなカレーやシチューもいけちゃいますし、そうめんはゆでられると思います。パスタもギリギリかな。

1/4個分のキャベツを焦がしてスープをつくる

●ベストサイズは22~24センチ

以前は22センチのティファ―ルのフライパンをおすすめしていたのですが、IH対応の商品がなかったので、最近は24センチサイズを推奨。
20センチだと作れるものが限られますし、26センチは一人暮らしに大きすぎます。

●手ごろなものを買ってOK

特にこれというおすすめ製品はなし。一部の高額なものには加工が剥げてきたときにリカバリーしてくれるような商品もあって、道具を大事に使いたい方には良いかと思います。私はニトリで買いました。ティファールに代表されるような取っ手の取れる鍋も、しまうにはよさそうです。

テフロンの鍋はアルミを芯材にしていることが多く、ガスしか使えない製品が案外あります。引っ越しの可能性のある方はあらかじめIH対応のものを選んでおくといいかもしれません。フライパン用のふたも合わせて買いましょう。

③サード鍋は、じっくり煮込み料理に使う厚手の鍋

3つ目の鍋は、径20センチの煮込み鍋。素材は、アルミ、鋳鉄ほうろう、多層鋼ステンレスなど。厚手で、ふたつきのもの。
作れる料理→シチューやカレー、煮込み、ゆで物、麺類、野菜や肉・魚の無水調理

それほど料理をしない方なら、通常の料理は今紹介した小さな鍋とフライパンで事足りるでしょう。ただ、カレーやシチューなど本格的に煮込む料理を楽しみたいというようなとき、あるいは、野菜の蒸し煮などシンプルに素材を調理したいときには「深さのある鍋」「厚手の鍋」が欲しくなります。二人分ぐらいまででしたら、サイズは20センチ、あるいは22センチが手ごろです。

良い鍋には、20センチで2万から3万するものも多いです。そんなに出せない方もいるでしょう。それでも、サード鍋にはあえて、高額な鍋をとりあげました。

鍋は買い替えにくく、仮に安い鍋を買っても、何十年も使う可能性があるからです。その反対に、思い切って良い鍋を買えばそれはキッチンで大きな戦力になります。高い鍋こそ日常にバンバン使いたいのです。
(私が20代のときに思い切って3万円近く出して買ったビタクラフトの鍋はいまだに現役で活躍していますが、もっと高かったスーツもワンピースもバッグも、私の手元にはもうありません)

良い鍋を手に入れると料理がとても楽しくなります。ですので、ここから先は、今すぐでなくても、いつか買おうという気持ちで読んでいただけたらと思います。少し料理に慣れて、自分の料理の傾向がわかってから買うのもありです。また、どうしても経済的にそれができないという方は、鍋の素材の性質などについて読むだけでも選ぶときの役に立つはずです。

【パスタ派の人へ】煮込みはしないけれどスパゲティを日常的によく食べるという方は、麺をゆでるための大きめの軽い鍋をどうぞ。アルミのゆきひら鍋や軽めのステンレス鍋で、22〜24センチのものがあるといいのではないでしょうか。これから紹介する20cmの鍋だと2人分のパスタがギリギリな感じです。

買うときは素材で比較することが多いと思うので、紹介も素材別に。

●アルミ鍋の名品

熱伝導率が良く、軽いのが強みのアルミ鍋。写真はKING無水鍋(左)、味わい鍋(右)。どちらも日本のメーカーです。ストウブやル・クルーゼは重すぎる…という方に。

超ロングセラーのKING無水鍋はなんといっても美しいミニマルデザインが魅力で、多くのセレクトショップでも扱われています。ふたにつまみがなく、鍋のふたを開けるときは専用の鍋つかみで。これが少し面倒という人もいるかもしれません。そのかわりこれがフライパンにもなります。

アルミは熱伝導はよい一方、酸に弱く、酢の入った煮込みなどは向きません。また、ちょっと焦げ付きやすい。その弱点をテフロン加工することで補ったのが、昔の“文化鍋”から商品を発展させた味わい鍋です。写真の鍋は22センチの両手鍋ですが、20cmの片手鍋が使いやすいのではないかと思います(片手鍋はふたにつまみつき)。お手入れのラクさはピカイチ。

●料理がサマになる、鋳物ほうろう鍋

美しいビジュアルが人気の、鋳物ほうろう鍋。鉄鍋ですので機能としては熱伝導は悪いですが一度あたたまると蓄熱性が高く、塊肉で長時間煮込むポトフや煮豚などにぴったりです。ほうろうは鉄の錆を防止し清潔を保つだけでなく、見た目がおしゃれなのでそのまま卓上に出したり、土鍋のかわりに鍋にも。とにかく「料理した感」が満たされます。

写真は、ストウブ(右下)、ル・クルーゼ(左下)、バーミキュラ(右上)、ユニロイ(左上)。サイズがバラバラなのはご容赦を。

プロが好むストウブ、カラフルさと可愛い丸みのル・クルーゼ、密閉度の高い日本製のバーミキュラと、一長一短あり、好みでとしか言えません。鋳物ほうろう鍋の比較記事はネット上によく出ているので、ご参照ください。私も気が向いたら書きます。
人気の鋳鉄鍋はずっしりした重さが欠点。それを解消したのが燕三条発の、ユニロイ。他の3つと比べると格段に軽いです。ちなみに私はル・クルーゼ派。

ちなみに同じ「ほうろう鍋」でも、もっと軽い(たとえばアルミなど)鍋をほうろうびきした鍋があります。野田琺瑯や、DANSKなど。美しく清潔、ジャムづくりなどにはぴったりです。焼き付けなどにはあまり向かないかもしれません。これらの鍋とは区別して考えてください。

●海外ブランドの名品が多いステンレス

デパートの鍋売り場でもっともよくみかける、ステンレス鍋。これもファースト鍋同様、多層構造鍋(クラッド鋼)をおすすめします。ステンレスの間にさまざまな金属を挟み込んで機能を高めた鍋は、料理のしやすさがあります。

ステンレスの鍋は実にたくさんあるのでお勧め絞りづらいのですが、私の持っている2つをご紹介しますね。クラッド鋼鍋の双璧、アメリカのビタクラフトとドイツのフィスラーです鋳物ほど重くなく、丈夫で毎日の料理にハードに使えます。無水調理も普通にできる。

ビタクラフトは、私が結婚したときからずっと使っている鍋のひとつ。ラインもたくさんあります。スタンダードモデルのスーパーファイブシリーズはリニューアルするのかな?みつけたら買いです。

フィスラーの20cmのシチュー鍋は、深さがポイントで、径は小さくても容量が格段に増えます。大量のカレーやシチューなど作るときに。フィスラーの鍋は、ガラス蓋のものもあるのですが、ステンレスのふたの方が密閉度があると、伊勢丹の鍋売り場の方に聞きました。

さきほど片手鍋で紹介したジオ・プロダクトもよいです。20cmで1万円ほど(ネットではもっと安くなっています)と、海外の高級鍋に比べて格段に安いのも魅力。性能もすばらしいです。

++
アルミ、鋳鉄ほうろう、ステンレス以外の素材では、ダッチオーブンや南部鉄器などの鉄鍋、また鍋の中でも熱伝導が高くプロに愛用者が多い銅鍋、冬の鍋に欠かせない土鍋、さらに圧力鍋や保温鍋などの機能鍋などがあります。決して、こうした鍋が悪いわけではありません。今回はシンプルで丈夫、日常使いしやすい3素材をサード鍋として優先しました。

私の愛用鍋と買い物参考リンク

ここで紹介した鍋たちは人気もあり、選択肢の中心になってくるはずのもの。初心者の方にも自信を持っておすすめできる鍋ばかりです。

これは完全に私の好みでしかありませんが、私が一番好きな鍋はル・クルーゼ。出番も多いです。あと、最近のお気に入りはGEO。私は仕事で数を使うのですが、使いやすい鍋は手近にあるとつい選んでしまいます。無水鍋も愛していて息子が一人暮らしするとき持たせたぐらいですが、残念なことにミングルがIHなので出番がめっきりなくなってしまいました。(今販売されているものは、IH対応になっています)

でも最初にお話したように、鍋はその人の料理やキッチン、体にフィットしたものがベスト鍋です。売り場へ行ってぜひ手に持ってみてください。

と、いうことで、今回もかなり長くなってしまいましたが、いかがでしたでしょうか。これから自炊をスタートする方の参考になれば幸いです。みなさんにとって、長年愛用できる鍋がご紹介した中にみつかることを願っています。

【お買い物参考リンク】


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読んでくださってありがとうございました。日本をスープの国にする野望を持っています。サポートがたまったらあたらしい鍋を買ってレポートしますね。

ありがとう、スープは今日も湯気をたてています。
400
スープ作家。365日、毎朝スープ。手数は減らしておいしさ増やし、料理で暮らしを守ります。幸せは思うより簡単に作れる。cakes連載『スープ・レッスン』https://cakes.mu/series/3722
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