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その7分で、人は何をするのだろう

時間のない人、料理の苦手な人のために、10分以内で仕上がるスープのレシピを出したら「7分でできるスープの本を出しませんか」と声をかけられた。ちなみに、500mLのお湯が沸くまでに、だいたい3~4分はかかる。

この話はスケジュールの関係で断ってしまったが、その後、また別の編集者に「3分でスープができませんか?」と言われ、この先1分でスープを作れと言われても驚かないようにしようと誓った。

そのとき私の頭に浮かんだのは、できるできないの話より、10分の調理時間を3分に縮めたとして、そこで得た時間をみんなは何に使うのだろう、ということだった。

単なる時短競争なら、10分より7分が偉く、それより3分がすごいに決まっている。でも時間というのはあれば良い、というものでもない。

その7分は、別の何かをするために有効に使える7分なのだろうか。それとも、泡のように消えてしまう7分か。
10分なら作れなかったスープが3分だったら作れる。あるいは作ろうという気持ちになる。ここにはどんな心の動きがあるのか。

どう時間を縮めるかを考えるよりまず、なんのために縮めたいのかを、もっと考えたほうが幸せには近づけそうだ。

そんなことを思いつつ、今日もスープを作っています。


読んでくださってありがとうございました。日本をスープの国にする野望を持っています。サポートがたまったらあたらしい鍋を買ってレポートしますね。