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ほろほろ崩れるブロッコリーの煮込みスープ

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ブロッコリーとトマト缶だけで、シンプルにおいしいスープができます。ほろほろになったブロッコリーをシンプルな風味で味わってみてください。
スープ作家の有賀薫さんによる、旬の野菜をたっぷり食べるベーシック・スープのレッスンです。

この記事は2017年のcakes連載の再掲です。

ブロッコリーとトマト缶だけ、ポイントは油の量と煮込み時間

今回は、ブロッコリーの最高の食べ方をご紹介しましょう。
形がなくなるまで煮崩してトマト味がしっかり絡んだブロッコリーのスープです。

これほんとうに野菜だけで作ったの?と驚くほどのとろみとコク。独特のプチプチ食感も楽しく、葉物や根菜とはまた一味違った野菜の楽しみが生まれます。

用意するのはブロッコリー1個、トマト1缶。調味料もオリーブオイルと塩だけというシンプルさです。コンソメキューブはもちろん、肉、たまねぎ、にんにくなど、おいしくするためによく入れるようなものは必要ありません。時間がおいしくしてくれます。

食べ応えもたっぷりで、野菜のシチューと呼びたくなるようなスープです。さあ、作ってみましょう。

ブロッコリーとトマトの煮込みスープ

材料(2人分) 所要時間約35分

ブロッコリー 1個
トマト缶(カット缶が便利) 1缶
塩 小さじ1
オリーブオイル 60mL
水 400〜500mL

作り方

1.ブロッコリーを切る
ブロッコリーは、房も茎も、小さく切る。★1

2.材料を鍋に入れる
鍋にブロッコリーを入れ、トマト缶をその上にあけ(ホールトマトの場合は手でつぶしながら)、オリーブオイル全量と塩小さじ1を入れ、水300mLほどを加えてひたひたになるようにし、ひと混ぜする。★2

3.煮る
鍋を中火にかける。煮立ったら中弱火に落として少しずらしてふたをし、25~30分煮る。20分たった頃に水を100mLほど足す。
ブロッコリーが煮崩れて柔らかくなったら、味を見て塩で調節する。★3

レシピのポイント解説

・ブロッコリーの選び方と切り方
・トマト缶、オリーブオイルについて
・ブロッコリーの煮加減について

★1 ブロッコリーの選び方と切り方

ブロッコリーは、花蕾、つまりつぼみを食べる野菜です。
12月過ぎから2月頃までの寒い時期が旬となります。

選ぶときは、花蕾がかっちり締まって、こんもりした丸いものを。軸に空洞(す)が入っていないものが理想的です。

鮮度が落ちると花蕾が黄色に。紫色なのは寒さの中で育った証拠で糖度も高い

ブロッコリーは、細かく刻みます。まず、房の部分と茎の部分で分けましょう。

切り口は汚れていることが多いので、カットする
茎は捨てずに!

大きく切ったままでも作れるのですが、その分煮込み時間がかかってしまいます。小さめに切っておきましょう。

ゆでてそのまま食べるときはこのぐらいの大きさだが…
このぐらいまで切ると煮崩れやすい
花蕾は3~4㎝、茎は1.5~2cmぐらいがめやす

このスープでは、茎も入れます。茎も適当に刻んでください。先にいくつかに縦割りしてから、端から刻むと楽に切れます。みっちりとした密度のある茎こそ、甘みとうまみがぐっと感じられる部分なのです。皮をむいてあげるとより柔らかく食べられます。

★2 トマト缶とオリーブオイルについて

トマト缶にはホールタイプとカットタイプがありますが、カット缶が切ったりつぶしたりする手間がなく、便利です。今回は手間を省略するために、カットを使いましょう。
(ホールタイプのトマトを使うときは、手で潰しながら入れましょう)

ちなみに、ホールタイプでは細長く柔らかいトマト、カット缶では果肉の煮崩れしにくい丸いトマトが使われていることが多く、厳密に言えば味も多少違いますが、どちらも加工用のトマトですから生のトマトと比べればわずかな差です。

さまざまなトマト缶。箱入りのものは若干量が少なめだがこれでも問題なし

厳密に言えば味も多少違いますが、どちらも加工用のトマトですから生のトマトと比べればわずかな差です。完全に煮崩した感じがよければホール、少しトマトの形が残るほうがよければ、カットを使いましょう。

ホールトマト缶とカットトマト缶の違いについてもっとくわしく知りたい人はnoteの記事で!

★3 煮方について

材料をすべて鍋に入れます。

混ぜてしまうので順番は気にせずに

水は鍋の大きさによって違いますが、約300mLぐらい。ブロッコリーに対して、ひたひたの量で煮始めます。水の分量はだいたいで大丈夫です

ちなみに一般的なトマト缶は、400mLですので、トマトを鍋に空けたらその缶に3/4ほど水を入れて鍋にあければ、缶に残ったトマトもきれいにさらうことができ、缶もきれいになって一石二鳥です。

20cm径の鍋に具材と調味料、300mLの水を入れたところ

このスープは煮込み時間が大きなポイントです。煮込む間に油が野菜の煮汁と混ざり合って、とろりとしてきます。鍋の中の対流によって野菜がぶつかり合って煮崩れていくため、レンジでショートカットはできないのです。

煮始めて10分。ブロッコリーにもトマトにも火が入って食べられる状態にはなるものの、まだ煮汁はシャバシャバで、食べても一体感がありません。

10分:まだまだトマトとブロッコリーがなじんでいない

さらに10分煮ると、ブロッコリーはかなり柔らかくなり、スープも煮詰まってきます。
この段階で、水が減り具が大きく顔を出してしまうようなら、50~100mL水を足してやります。

20分:まだ房の形はしっかり残っている

20分ぐらいでも食べておいしいと感じるでしょうが、できればあと10分、煮込みましょう。
ブロッコリーの花蕾がほどけるように煮崩れてきます。

30分:ここまできたら、少しお玉の背でつぶしてやってもOK
花蕾が煮崩れた状態になったら完成!

最後に味をみて、塩で味を調節します。
トマトの酸味がもし気になるようでしたら、砂糖を小さじ1ほど隠し味で加えるとぐっとまろやかになりますので、お試しください。

ブロッコリーの美味しさに目覚めよう

ブロッコリーは、ゆでて塩やマヨネーズで食べるのが王道の食べ方ですが、ゆでると花蕾に水が入り込んでしまうため、水っぽくなってしまい、ちょっと残念に思うことがあります。

煮汁でとことん煮てそのまま一緒に食べるスープは、形や色は悪くなるものの、ブロッコリーの濃いうまみをまるごと味わえます。新しいブロッコリーの食べ方として、ぜひレパートリーに入れていただけたらと思います。

【アレンジ】汎用性の高いトマト味だから、何を入れても。

トマト味のスープは、いろいろな素材との組み合わせで広がります。ベーコンやソーセージを入れるのは王道。
また、パスタや豆、じゃがいもなど炭水化物を入れればぐっとボリュームアップして、一皿で食事として成り立つようなものになります。

ソーセージ入りブロッコリーとトマトのスープ

基本のレシピにソーセージを入れただけ。小さいソーセージなら朝食に、フランクフルトのように大ぶりのものなら、夕飯にも十分です。ソーセージは破裂してしまうので最後に入れましょう。
ベーコンや鶏肉など生の肉を入れる場合は最初から入れて一緒に煮込みます。

ブロッコリーとトマトのペンネ

このスープはそのままパスタソースになります。スパゲティでもいいですが、ソースと一緒にスプーンですくって食べられるショートパスタが似合います。

写真はペンネ。ゆでてから鍋の中に入れて軽く煮込むと、穴の中にもブロッコリーが入り込んでおいしいのです。

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読んでくださってありがとうございました。日本をスープの国にする野望を持っています。サポートがたまったらあたらしい鍋を買ってレポートしますね。