春の野菜が主役の、赤いミネストローネ~ラボレシピ&スープの基本構造
トマトベースの、基本形ミネストローネ。肉は一切入れずだしも使わず、野菜のうまみととろみだけで作ります。今の季節はキャベツやじゃがいも、にんじんがやわらかくみずみずしいタイプのものなので、フレッシュトマトを入れたり豆を小さな手亡豆にして、全体をあっさり軽めに仕上げました。
最後に私のミネストローネの基本構造を解説しています!
材料 作りやすい量
(A)
たまねぎ 1/2個
にんじん 1/2本
セロリの茎 1/3本
にんにく 1片
(B)
ズッキーニ 1/2本
マッシュルーム 5個
じゃがいも 中1個
キャベツ 1/6個
フレッシュトマト 1個
(C)
トマト缶詰 1缶
白インゲン豆(手亡・水煮したもの)100g
ファルファッレ 30g ※お好みのパスタ何でも
(D)
オリーブオイル
塩
使用した鍋:ル・クルーゼ ココットロンド 22cm
使った材料はこれ!
1.
たまねぎ、にんじん、セロリ、ズッキーニ、マッシュルーム、じゃがいも、トマトはすべて1cm角切り。キャベツは2cmの色紙切り。キャベツの芯は別にして角切りにする。にんにくは半割にして芽をとり、つぶしてみじん切り。
2.
たまねぎとにんにくを厚手の鍋に入れ、オリーブオイルを多めに回しかけて中火にかける。透き通ってきたらにんじんとセロリも入れて小さじ1ほどの塩を加えて炒める。野菜の水分が足りなくなって焦げ付きそうなら、水を足して蒸すように炒める。続いてキャベツの芯のところとマッシュルーム、キャベツの葉、じゃがいも、生トマトの順で炒める。野菜から水分が出て全体が8分がた煮えるまで、火を通してしまう。
3.
水とトマト缶(手でつぶす、水ごと)、白いんげんも加えて煮る。20~30分ほど煮たら、ファルファッレを加えて煮る。パスタに火が通ったところで味を見て、塩で調節する。
【ミネストローネの基本構造】
(A)香味野菜
たまねぎ、にんじん、セロリ、にんにくなど、香りとうまみのベースになる野菜。他の野菜はともかく、これらはまず最初にしっかりと甘味が出るまで炒めて使います。水分が抜けて香りが変わるのが目安。長ねぎやポロねぎなどもここに入ります。
(B)具になる野菜
ズッキーニ、マッシュルーム、キャベツ、じゃがいも、生のトマトは、具として捉える野菜。主役になるような季節の野菜をたっぷりと。残り野菜もどんどん入れてOKです。もちろん、Aで使う野菜がこのグループに入っても構いません。きのこは何か一種類入るとうまみがアップします。葉ものはキャベツがポピュラーですが、小松菜やほうれんそうなど青菜もよいもの。冬はごぼうやれんこんなどの根菜も美味しいです。
野菜からそれますが、ベーコンやソーセージ、鶏肉など肉類もこのグループに入ります。本来ミネストローネは野菜のみで作るもので、入れすぎるとミネストローネらしさがなくなりますが、やはり肉のうまみは捨てがたいですよね。
Q.野菜を入れる順番は?
具になる野菜は煮えやすいものから順番に、が基本なのですが、たとえば歯ごたえを残したい野菜は後から入れてもよいのであって、あくまでも仕上がりのイメージから逆算して決めます。じゃがいもなどは煮崩れを嫌う人は最後のほうで加えてください。
(C)トマト缶、豆、パスタ
ミネストローネを語る時に重要なアイテムについて一つずつ解説します。
まず、トマト缶を具のトマトと分けた理由は、トマト缶は味のベースとだしの中心になると考えているからです。また、野菜を炒めるときに水煮缶を入れてしまうと、水分がきちんと飛ばないので、後から入れるという理由もあります。私は生のトマトも後のほうで入れることが多いです。酸っぱさが気になる人は、一度別鍋で加熱しておくとよいのですが、面倒ならトマトケチャップや砂糖を加えるという手もあります。
豆は、どんな豆でもほとんど合います。いんげん豆やえんどう豆は煮崩れてとろみにもなりますし、大豆ならうまみがしっかりと出ます。また、レンズ豆やひきわりのえんどう豆(スプリットピー)などは早煮えで、浸水しなくても使えるのでスープには便利です。繊細に煮上げるわけではないので、缶詰や冷凍でも大丈夫です。
パスタをはじめとする穀類(麦や米など)は、スープ一皿で食事を済ませるときにとても良いものですし、入っているとみんな喜びます。ただ、少人数で大鍋のスープを数日に分けて食べるときはちょっと注意です。小麦のとろみが粘りに変わるので、スープの味の持ちは悪くなります。最初の日はパスタなしで、二日目、三日目からはパスタを入れる、という方法もあります。
トマト、豆、パスタは絶対入れなくてはならない、というものではありません。日本ではミネストローネというとトマト味が一般的ですが、イタリアにもトマトなしのミネストローネはたくさんあります。淡い野菜のうまみが感じられて美味しいです。豆やパスタも同様です。他におかずがあってボリュームを押さえたいときは、どちらか一方にしたり、両方外すのもありでしょう。
トマト、豆、穀類は、私は野菜を炒め終わって加水するときに投入します。
(D)
基本のミネストローネで私が使用した調味料は、オリーブオイルと塩だけですが、仕上げたいイメージによって、これに胡椒やバジルなどさまざまな調味料やスパイスを加えていきます。
オイルについて。野菜だけのスープでは、オイルはうまみとコク、風味を与えるのに重要な役割を果たします。ミネストローネといえばオリーブオイルが基本だと思いますが、私はミネストローネをもう少し広義の野菜スープと捉えているので、バターや菜種油、ごま油なども使います。
また、粉チーズやパセリ、チリソースなど、味のアクセントになるトッピングは、スープが弱いときに味を補ったり、あるいは強いときに和らげたりする調節役としても活躍します。粉チーズを使うときはスープの塩分を控えめに。
<だしについて>
さまざまなミネストローネのレシピを読んでいて、ブイヨンを使うレシピがとても多いことに気がつきました。家庭ではコンソメキューブを使う方がほとんどではないでしょうか。自分や家族の舌の感覚に合わせて使うのが一番です。でも一度、全くだしを使わない方法でやってみてはいかがでしょう。野菜をしっかりと炒めてから煮るとうまみも十分と感じられると思います。
ミネストローネはおうちスープですから作り方も入れる具材も自由です。私は、今説明したようなスープの骨組みを作り、ここにさまざまな野菜を入れかえて毎朝のスープを作っています。
みなさんのご参考になれば幸いです。
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5月18日、スープラボ・ミネストローネ大会の様子をどうぞご覧ください。
(前編)https://note.mu/kaorun/n/n9cf21683df0a
(後編)https://note.mu/kaorun/n/n1a9b1eb25da9
読んでくださってありがとうございました。日本をスープの国にする野望を持っています。サポートがたまったらあたらしい鍋を買ってレポートしますね。