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私の読書●小説家志望の読書日記⑩大沢在昌『売れる作家の全技術』・東野圭吾『容疑者Xの献身』

 大沢在昌『売れる作家の全技術』(角川文庫)によると、「どうすれば読者の記憶に残るような魅力的なキャラクターを作れるようになるのか。大事なことは一つしかありません。『観察』です。『人間ウォッチング』、それしかない。……会社や職場、あるいは通勤電車で見かける人たちを、想像しながら観察してください。いつも同じような服装か、本を読んでいるか、音楽を聴いているか、どんな仕事をしているんだろう、家族はいるのか、一人暮らしか……」。

 読んでいて、思い出すものがある。
 東野圭吾『容疑者Xの献身』の冒頭のシーン。散歩する石神の「人間ウォッチング」はまさにこういったもので、読んでいて、作家の手の内を見せられるような興奮を覚えたものだった。
 ここまではっきりと書かれていなくても、プロの文章を読んでいると、いたるところにそういった「観察」の跡を見出すことが出来る。

 今度は私も、いつもの文庫本を持たずに電車に乗ろう。スマホもかばんから出さないように。
 きっとすぐに自分の想像力の貧困に泣くことになるだろうけれど、そんなことは気にせず、やってみようと思う。


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