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老いての階段住宅、どうですか? (藤村公洋)
声を使いこなす
酒場で、レストランで、職場で、はたまた路上の世間話でも、我々は常に「声と言葉」を意識しながら日々を過ごしている。いや、意識している人ばかりではないかもしれないけども、多くの人が無意識ながら相手に合わせ、場所に合わせ、シチュエーションに合わせて言葉を選び、声の大きさや抑揚をチューニングしながら暮らしているんじゃないかしら。そう考えると人生というのは面倒くさい作業の連続ともいえますな。
とはいえね、長いことカウンターの内側からお客さんとの会話を通して世間ってものを眺めていると、魅力的な人ってのは決まってそのあたりの塩梅が実に上手なことに気づくのですよ。的確な声の大きさで、的確なスピードで、的確な間でもって的確な言葉を発する。天性なのか意識しているのかはわかりませんが、そういう人の周りはハッピーな空気感に包まれて接客しているこちら側を含めて心地いいものなのですよ。声を使いこなすっていうかね。ポーっとなってくる。
じゃあいったいそれは具体的にどんな塩梅なのかと問われればね、「ホン・サンスの映画のよう」という答えもできるんじゃなかろうか。
というわけで、今回の『渋谷のラジオの惑星』はホン・サンス『WALK UP』での映画メシでございました。編集後記のはじまり〜
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