老いての身繕い、髪と髭どうしますか?(小原信治)
Official髭男dismってみんな髭面だと思っていた
薄くもなく濃くもない。しかも再生させたスプラウトみたいに貧相。何もかもが中途半端。人口密度でいうと千葉県とか兵庫県くらいだろうか。髭というのは東京の人口密度くらいでないと生やしてもサマにならない。伸ばした、というか、伸びていることはあるけれど、長さを整えたところで汚いだけ。育毛か、永久脱毛したいな。なんて思っているうちに髪より先に髭の8割が枯れ葉舞い散る秋を迎えた。白髭になってしまった。まるで浜辺に群生するススキだ。伸ばしたところで存在感は薄い。とうもろこしの髭みたいだ。
最初に髭が生えたのはいつだったのだろう。記憶にないということは大した感慨もなかったのかもしれない。何日かに一度電気シェーバーをあてるだけで十分お手入れ可能なので父が毎朝使っていたような髭剃りクリームも三枚刃のカミソリもほとんど使ったことがない。あれで髭を剃り始めたら一人前の大人のような気がしていたのに。なんだか大人になり損ねたような肩透かしすらある。まあ、生えたところで母親似の上に童顔なので似合わないことこの上ないのだけれど。こんな末路を迎えるのであれば30代のうちにとっとと脱毛しておくんだった。
生まれて間もない頃は髪を切るのが嫌でずっと伸ばしていた。赤い服が好きだった。
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