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老いてのひとり旅、鞄の中に入れておきたいものは何ですか?(小原信治)

明日を知らずにぼくらは今日を生きている

 2024年1月2日午後9時。ラジオで話している自分の声を聴いた。年の瀬のぼくがいた。年明けに何が起きているのか何も知らないぼくだった。今日のぼくは明日のぼくを知らない。未来を知らずにぼくらは今日を生きている。その無力さを改めて思い知った。年明けの重苦しい空気の中でこれを書いているぼくからすると未来を何も知らずに話している脳天気な自分が眩しくもある一方、滑稽にも感じられた。未来に対して無責任に放たれる言の葉の中に今この状況でラジオを聴いている誰かを傷つける「何か」が潜んでいないか最後まで肝を冷やし続けた。

人は余白に過去を偲び、未来を描く

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