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子供や孫の行く末を案じて・・・

生徒さんが作品に取りかかる前に何を描くのかを
話し合う時間を設けています。
・こんなに素敵な風景を、こんなにかわいいペットを絵にしたい。
・こんなに哀しかった思いを、絵に残しておきたい。
・こんなに嬉しい事を、みんなに伝える為に絵にしたい。
それぞれの想いや感動や想像があって、モチーフは決まって来ます。
そんな想いのこもった生徒さんの作品を、
ご紹介していきたいと思います。           若林 薫



未来への光   F30号(91.0×72.7)㎝  アクリル画   MIさん


この作品は「未来への光」をテーマに制作しています。
今 世界の情勢は混迷しカオス状態です。

子供や孫の行く末を案じる年齢に達した作者が
最も強く思っている事は各国が主義主張を唱え
武力で押し切ろうとする世界の行動に
不安を感じている事だと思います。

いつ戦争が起こり日本もその中に巻き込まれるかもしれないのです。
その時 子供や孫が戦場へ駆り出される事の無い
世の中であって欲しいと考えているのだと思います。

戦争は人の心を大きく変えます。
勝者も敗者も心の奥深くに耐え難い傷を持つ事になります。
混迷する世界と不安に 希望の光を見出そうとする
作者の姿勢が読み取れる作品になっていると思います。

制作にあたっては、まず木製パネル30号に地塗りを施し
その上にドリッピング技法で彩色しています。
ドリッピングした色と同色を楊枝に塗りパネルにキリで下穴を開け
その穴に楊枝の高低差をつけながら
一本ずつボンドを着けて配置しています。
手間と時間と体力が必要な作業です。
使用した楊枝の数も6000本程を数える事が出来ます。
根気よく根気よく同じ作業を繰り返す姿は
ひとすじの光を求める修行僧の様にも思えてなりません。

制作に入ったすぐの頃は厳しい顔付きでしたが
次第に穏やかな人相になり 終盤には笑みさえこぼれる程になりました。
制作する中で何かを感じえたのかもしれません。

更に額も 作者自身が制作しました。
ホームセンターで木材を裁断してもらい 裏板と四方の板を接着させて
アクリル絵の具で塗り上げ仕上げにマットメデュウムを塗布しています。
作者は大工仕事や工作が大好きな女性です。
大抵の事は自分で作業します。
今回の作品も平面絵画ではありますが
立体的なオブジェの要素を多分に含んでいると思います。

この作品は第70回記念となる平塚市文化祭へ出品し
優秀賞を受賞しました。
今後の作品作りにも注目したい存在です。
   
                          絵画講師 若林薫 評




ドリッピング技法のやり方




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