本当の気持ち

日本人っていうものは特に「和」を大切にする民族です。
海外から訪れる外国人からも、ことあるごとに褒められる
素敵な文化でもあります。
ただ度が過ぎたり、内的な問題によってなされる他人優先主義
とでも言うべきものは、人生を生きる上でとかく大きな影を
落とすことになります。

「本当の気持ち」をなぜ包み隠すのでしょう？
そこには何か自分自身にとって良いと思われることが
あるに違いありません。
日本人の、単に些細な本音と建前ということとは違って、
そこには自分を守るためという実利があるのです。

「本当の気持ち」は誤解されると、ただのワガママと取られかねません。
この人生で、なかなか自己実現出来ていない人の多くが、実は
意外にも「エゴ」の強い人達です。

エゴはとにかく自分を守ろうとすることに長けています。
自分を守るためなら自分にとって大切なあらゆることすら
投げ出すことがあるのです。
「本当の気持ち」を隠して生きるのも、他人からの評価を
気にするからです。
他人からの悪い評価は、エゴにとって死も同然です。

周囲と協調するという意味で「和」を大切にするということではなく、
エゴとして、自分を守るためという、姑息な手段としての自分の真意、
本当の気持ちを無視することの選択は、人生そのものをダメにします。

どういうことでしょう？

「本当の気持ち」を長い間無視し続けていると、
ついには何が本当の気持ちなのか、本当は何をしたいのか、
どうしたいのかがわからなくなってしまいます。
自分にとって何が本当はいいのかが分からないということは、
まるで目隠しして歩くようなものです。
結果、何をしてもそこから喜びを得ることが出来ません。
本当にしたいことではないからです。

自分の本当の気持ちに気づく第一歩は、自分の原点に帰ることです。
人間、まだ幼い頃は何を言うにも、何をするのも、
周囲を気にかけることなどありません。
子供の頃には、エゴはまだ発達していないからです。
子供は本能のまま、言い換えれば常に本当の自分の気持ちに従って
生きています。

もちろん子供のように、大人となってからのこの社会性を無視して、
何んでもかんでも自由にしたらいいということではありません。
それでも、もはや理由も意味もなく、自分自身に押し付けた、
凝り固まった嘘のルールから自分を解き放つことが、
もう一度心からの笑顔を取り戻すことの第一歩になるのです。

それには瞬間ごと、自分の心に尋ねることです。
今、自分はどうしたいのか？
今、自分は何が食べたいのか？
今、自分は何を感じたいのか？
今、自分は何を言いたいのか？

実際に言動を外に出さなくても、
今の自分の本当の気持ちに気づけるだけでも、人生は確実に変化します。
誤解を恐れずに言うならば、この人生で最も大切な人はあなた自身です。
あなた自身が幸せでなければ、
他人の幸せを作り出すことなど出来ない相談です。
あなたはあなたの持っているものしか与えることが出来ないからです。