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これでいいのか?全国学力・学習状況調査!?

令和5年4月18日に実施された全国学力・学習状況調査の結果が
7月31日に国立教育政策研究所から公表されました。

私は教員の頃から、毎年チェックし、
素人ながら分析して生徒たちの学力向上に生かせないかと
考えていましたが、結果を見るたびにむなしく感じてしまいます。

データを調べる指標の1つに相関係数というものがあります。
これは、2種類のデータの間には、
どのくらいの関連性があるのかを[-1~1]の間の数値で
表したものです。

相関係数が1に近い場合(0.5より大)
 →正の相関がある(一方が増えたら、もう一方が増える傾向)

相関係数が0に近い場合(-0.5~0.5)
 →相関がほとんどない(関連性がない)

相関係数が-1に近い場合(-0.5より小)
 →負の相関がある(一方が増えたら、もう一方が減る傾向)

というように
相関係数がだいたい絶対値である0.5を境に
関連性の有無が判断できるといわれています。

令和5年度の相関係数を見ると、
学校や生徒に80を超える質問をしているにも関わらず、
相関係数の絶対値が0.5を超えているものは

国語で1つ
数学で1つ

たった2つだけした。
英語に至ってはすべて相関係数が0に近いため、
英語の正答率とすべての質問内容に関連性がないということになります。

ちなみに
国語の相関係数が0.547、数学の相関係数が0.556であるデータは
次のようになっています。

(参照)国立教育政策研究所
(参照)国立教育政策研究所

この結果は別に相関係数を調べなくてもわかる事実で、
全く解答しなかった生徒の正答率が低いのは当たり前のことです。

しかも、相関係数はあくまで、
相関関係(関連性)の有無がわかるのであって
因果関係がわかるのではありません。

「最後まで解答を書こうと努力した(原因)から、
 正答率が高くなった(結果)のか」

「もともと学力が高い生徒は問題を解くことができる(原因)から、
 結果的に最後まで解こうと努力したことになった(結果)のか」

もしくは、別の見えない要因が隠れていて、たまたま

「最後まで解答を書こうと努力したから、
 正答率が高くなったような結果に見えているのか」

は、わからないということです。

普通に考えると
努力しても答えが合わなければ正答率が高くなることはないので、

因果関係は逆

【学力が高いから解答を書こうと努力している傾向にある】

と推測できるのはないでしょうか。

この推測が正しければ
最後まで解答を書こうと努力する行為が
学力を向上させるための要因としては考えられなくなるので、
この質問は無意味になってしまいます。
(個人的にはこの推測は正しいと思っています。)

相関係数が0.5を超えるデータでこの状況ですから、
他のデータは相関係数が0に近いため、
さらに無意味なものであるといわざるを得ません。

そして、このようなデータをもとに
統計の専門知識がない現場の教師たちが毎年、
自校の生徒たちを分析してレポートを提出するという
無意味なサイクルが何年も続いています。

「調査は国が主導で行い、データを整理したので、
 後は各学校の責任で学力向上に向けて工夫しなさい」
という丸投げ状態なので現場の教師は大変です。

今のままでは、数十億もの費用が毎年消費されるだけなのではないかと
懸念されますが、統計について全くの素人のため、
私には改善策や代案(調査方法、質問内容、分析の仕方など)が
全く浮かびません。

どの都道府県の平均点が高かったなどの結果に注目するのではなく、
このビックデータを解析して、

〇〇をすれば学力向上につながる
■■をすれば学力を押し下げてしまう
★★をしても効果はない

などというエビデンスを示すような調査になってほしいと思うのですが…

大学教授あたりのお偉いさんなどが指摘して、
生徒たちの学力向上に還元できるような調査にしてほしいと
願うばかりです。


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