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メモリーツリーの作り方 ~学習の定着のために~

私は中学校で数学を教えていた頃、
生徒たちがその授業中に理解してできていたことが、
次の授業になると忘れてしまっているという状況によく出くわし、

(知識・技能をうまく定着させるためはどうすればいいか?)

と頭を悩ませていました。

少しでも定着が促進するようにいろいろと試行錯誤していく中で、ある時、私の愛読書である漫画『ドラゴン桜』に紹介されていた

メモリーツリー

を活用できないかと考えました。

メモリーツリーとは

直訳すると「記憶の木」のことで、
大量の知識や情報を
樹木の根や幹、枝、葉のようにつなげていき
そこにイラストや色をそえることで覚えたいことの印象を強調し、
忘れにくく、かつ、思い出しやすくするための技法です。

メモリーツリーを作ることによって
知識は単品ではなく、
1つの物語のように意味をつなげた知識のグループとしてとらえるので
覚えやすくなり、さらに、イラストを添えることによって、

言語を司る左脳で思い出せなければ、映像を司る右脳で思い出す

という効果が期待できるようになります。

特に、知識量が多い理科や社会では、
有効に活用できそうであることを知りました。

「これや!」

と思った私は、早速、そのとき教えていた中学3年生で学習する

【2次方程式】

メモリーツリーを作ってみました。

メモリーツリーの作り方

※知識のつなげ方は、人それぞれ異なるので、
あくまでも1つの例だと考えてもらえればと思います。

ステップ1 覚えたい内容の題材(テーマ)を決定する

樹木の真ん中にそのテーマをおいて、知識をつなげていくイメージをふくらませます。

ステップ2 題材と関連するキーワード(知識・情報)を思いつくまま書き出す

白紙の紙を準備し、ステップ1で決めたテーマを真ん中に書きます。
残りの余白にはそのテーマに関連するキーワードをなるべく文章ではなく、単語でどんどん思いつくまま羅列していきます。
知識を広げてつなげることが重要なので思いつかない場合は、
教科書や参考書などで調べるようにします。

また、このときメモリーツリーの完成形をイメージしやすいように、
思いついたキーワードの中で

似ている内容のものは、同じ場所に集めておき

さらに真ん中より

下側にはテーマの原因や理由、元となる知識や情報を、
上側にはテーマを活用して発展していく知識や情報

書いておくとまとめやすくなります。

ステップ3 キーワード(知識・情報)の関連付けをし、分類する

ステップ2で羅列したキーワードを
色ペンなどを使って関連させ、
矢印でその関係性を表し、
どこに配置するかをイメージします。ここまでが準備です。

ステップ4 メモリーツリーを作成する

ステップ3で分類したキーワードを一目で意味がわかるように配置し、
知識の木を作ります。

覚えやすく、思い出しやすくするためのポイントは、

・重要な部分を色ペンなどを活用して目立たせ、印象に残るように強調する
・知識の関連性の強弱を、つなぐ線の太さで調整する
・オリジナルの語呂合わせを作る
・インパクトのあるイラスト(似顔絵など、関連するダジャレでもいい)で
 その知識をイメージできるようにする

です。

例えば、個性的な織田信長の似顔絵をかけば、
脳に強烈な印象を与えることになり、
そのイラスト周辺の情報もまとめて記憶に定着しやすくなるので、
むしろ私のように絵心がないほうが覚えやすくなるかもしれません。

とにかく遊び心をもって、
印象に残るメモリーツリーを作成することが重要です。
私自身、作成するときにかなり楽しく学習できたので、
勉強の面白さにもつながるのではないかと思いました。

ただ、教科の特性から数学ではメモリーツリーは作成しにくく、
参考例としてはあまりふさわしくなかったようです。
実際、生徒たちに2次方程式のメモリーツリーを例に作り方を
レクチャーしましたが、あまり浸透することはありませんでした。

また、覚えるためのメモリーツリーであるはずですが、
その覚えたい知識についてある程度の理解がなければ
作成するのが大変であるという問題点もあり、
学習の初期状態からメモリーツリー作成すると、
かなりの時間を要してしまうことも
生徒たちの腑に落ちなかった原因かと思われます。

数学ではなく、
もっとメモリーツリーの良さがわかりやすい教科の例を示せば
学習の楽しさを実感し、メモリーツリーによる学習の定着が見込めたのではないかと反省しました。

ちなみに後日、社会の参考書を元に
古代文明あたりのメモリーツリーを作成して、
社会の先生に見てもらったところ、
何故か赤いペンの字が増えたので、
生徒たちの目に入ることはありませんでした…。


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