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【はがきサイズの即興物語】テーマ:平易

今回も国語辞典からお題を頂きました!左上から五番目と決めてページをめくった運命の言葉、「平易」です。

今回はちゃんと15分で書ききれました!(ギリギリ)




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平易星からきた平易星人は、わかりやすいものが大好きだ。

例えば、赤い球体のリンゴ。四角い窓。本。1+1が2になること。人間は音楽が好きということ。満員電車に乗るのは、仕事に行かなくてはいけないからということ。生きるために他の動物を絞めて食べるということ。

地球に降り立った平易星人は、たいへん愛らしい姿をしていた。丸と丸が組み合わさったような、ひと昔前のパソコンで作ったチラシに出てきそうな、簡単でかわいいうさぎのような宇宙人だ。

そんな彼らは、地球で一番「かわいい」カルチャーがさかんな日本に降り立った。瞬く間に大人気の宇宙生物ペットとして普及し、平易なものをバクバクと食べる彼らを見て、人類は幸せのため息をついた。

さて、僕もこの平易星人を自宅に迎えた。犬や猫と違って、世話いらずで平易なものを与えるだけで彼らはむじゃきに喜び、生きてゆくそうだ。

ようこそ!

平易星人をゲージから出したとき、彼はその丸い目を見開いてそのまま溶けて液状となった。

僕の仕事は現代アーティスト。平易星人は、複雑で難解なものは苦手らしい。


Fin


ここまで読んでくださり、ありがとうございます!

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