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フリーダカーロ わたしを忘れないで

初演を見て衝撃を受けたフリーダカーロが再演!!初演の時は、本当に大ショックを受けて、よくある「感想書いてください」の紙に感想を書ききれなくて、おうちに帰ってA4、3枚にワープロで書いた狂気の感想文を二度目の観劇の時に提出するというやばい人になりました(だいたいいつもやばい)。

再演は東京芸術劇場で!!なんかすごいね!tiptapを東京芸術劇場で!でも、劇場とすごくあってる!!

お話はフリーダカーロの一代記。でも、時系列がゴンゴン入れ替わるの。っていうか、フリーダカーロの気持ちの順番で描いてるから時間的な時系列が前後するって感じなのかな。時系列はあっちにこっちにどんどん飛んでいくんだけどそれがむしろ自然な感じがする。

フリーダカーロはメキシコの女性画家。多分みんな見たことある。眉毛繋がってる美人。あの時代、メキシコで初めて誰かの配偶者とかじゃなくて、その人本人に着目されて才能を評価された女性。

大事故にあったり、足を切り落としたり、奔放な恋をしたり、共産主義活動の中で生きたり、まさに波瀾万丈な人生を生きていて、それも描かれているのだけど、それよりも何よりも、ひたむきなまでの「わたしを忘れないで」っていう彼女の思いにただただ圧倒された2時間弱なの。

彼女にとって、人生はずっと痛くて、苦しいものだったけれど、自分という存在を世界に残したいっていう強い思いでずっと生きてきたのだと思うの。それは、有名になりたいとか、友達とか夫とかにわたしが死んでも忘れられないように生きたいとか、生きている自分に返ってくる評価じゃなくて、もっと強くて深いものだった。地球に刃物を立てて、ぎゅううううって自分を刻みつけたいような、強くて純粋な気持ちな感じがしたの。

彩吹真央さんのフリーダはほんっとうにフリーダカーロだった。多分わたし今目の前にフリーダカーロと彩吹真央さん並べられても、彩吹真央さんのことフリーダカーロっておもっちゃう!!初演の時は、なんとなく。第三者がフリーダを語るって感じの客観性を感じたのだけど、今回は本当の本当にフリーダだった。

前にコリ伽路さんがされていた、フリーダの分身はMARIAーEさんだったの。前は、もうちょっと抽象的な感じがあったのだけど、MARIAーEさんはフリーダが忘れないでいてほしい自分の具現化だったのかな?
わたしを忘れないでって歌を、彩吹真央さんが歌ったり、MARIAーEさんが歌ったりするんだけど、それぞれに違う質感の声で、どっちも素敵で、この声の質感の違いがよかったの。MARIAーEさんの声が持つ情感みたいなのが、フリーダの想いの強さに化体した感じがしたの。

もう、現れる人現れる人みんなとんでもなくお歌も何もかも上手で、豪華がすぎる。フリーダの夫、ディエゴリベラの今井清隆さんは、色気があって、物語の中の描かれ方ではフリーダの妹と関係を持ったりして、嫌悪感を持ってもおかしくないはずなのに、謎のチャーミングさと清潔感でぎりぎり、こういう、みんながすきになっちゃう精力的でだらしなくて魅力的な人いるよねってなる。
そして、綿引さやかさんも、なんか妹の夫と関係をもっちゃう弱さと、ちょっとなんかかわいそうなだけじゃない色気みたいなのが、なんかドキッとするーー。好き!

石川禅さんの声の迫力やばい。トロツキー!!だし、ちょっとクスッとさせるお芝居だったり、柔らかい声の語りのお歌だったり、八面六臂の活躍すぎる。

あととにかく遠山さんが好きです。

お話が進むごとに、フリーダカーロの作品が舞台上に架けられて行って、作品の解釈を歌で聞いてる感じにもなるの。最後は、舞台上が彼女の絵で溢れて、最後に描かれた絵が大きく現れて、今まで聞いてきた彼女の物語と、絵が語るメッセージが重なるみたい。どちらも「わたしを忘れないで」って言っているようで、忘れられないよってなる。

曲が本当に素敵なの。チェロの印象的な旋律があったり、ピアノを叩きつけるようなダイナミックな曲があったり、そして、メキシコの香りもするの。ピアノ弾く小澤さんもすごかった。ダイナミック!!

痛みがテーマの一つで、小児麻痺、体を貫かれる事故、繰り返される手術、足の切断が彼女の「生」をより色濃くしている感じがするの。痛みで自分を世界に繋ぎ止めてる感じが独特で、お芝居や音楽や絵の助けで、自分も痛みの中にいるような感じになっちゃう。なので、見終わった後なんかすごい腹筋使ってたし、肩バッキバキだった。体に力入れてたんだろうなあ。

すっごくしんどいけど、すっごく心に刺さる観劇体験だったの。
覚悟がいるけど、見てよかった!!!!DVD出るらしいのよ。
見てない人はDVD買うしかない!!!!

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